『燃える人事考課制度』のメカニズムー9

【定量評価と定性評価】

先述しましたが、人事考課制度を策定するときに必ず議論の対象になるのが、定量評価と定性評価の比率です。定量評価は「量で測れる評価」ですからすなわち「業績評価」ということになります。業績は、正しい経営をした結果現象にしか過ぎませんから、定量評価のみで人事考課制度を作ってしまうと、とんでもない社風を作り上げてしまうことになります。

定性評価は、いわゆるプロセス評価ということになります。どんな行動をして、事業に貢献できたか?を評価するいわば「燃える人事考課制度」の根幹ともいえる考え方です。

業種業態、企業の状態によっても違ってきますから、定量評価と定性評価のバランスはじっくりと議論しなければなりません。

以前、「仕事は結果が全て!」という経営者が、定量評価(業績評価)のみで人事考課をするケースを観ましたが、その後この会社は様々な優秀な人材が流出(辞めて)し、空中分解しました。このように、業績評価のみで人事考課制度を策定することは、簡単かも知れませんが、大きな弊害を招きます。

「燃える人事考課制度」は定性評価(プロセス評価)に重点を置き、徹底的に議論して創り上げます。

ある企業の事例です。以前は定量評価:定性評価の割合を9:1で決めていた仕組みを、思い切って5:5に転換した販売会社があります。販売会社は、「売ってナンボ」の企業風土が定着する傾向がありますが、それでは社員のモチベーションはなかなか上がらないのです。同時に、業績が属人的になり企業全体で”戦っていく”というチームワークが醸成されません。

この事例の販売会社は、今までの業績重視の社風が是正され「働くモチベーション」を重視した社風が醸成されました。結果、ブレない経営基盤を構築して現在も躍進中です。

会社はチームワークの塊ですから、属人的な業績よりも組織的な業績が好ましいということは自明の理です。一人のヒーローが育つよりも、全体的な底上げが望まれます。

定量評価と定性評価をバランスよく議論して決定し、全体最適を図ることが重要です。

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