会計事務所がM&Aを提案するとき…

会計事務所(税理士事務所)の最近の傾向として、企業のM&Aを手がけることがあります。後継者のいない企業にとっては、事業継続のための手段としてM&Aがあるのというのは十分理解できます。しかし、「M&Aありき」の提案はやめていただきたいと切に思います。

最近ありましたが、僕のクライアントに対して「M&Aも選択肢ですよ」と会計事務所担当が提案した例。これは、「事業継続をあきらめる選択肢もありますよ」という提案と論理的には一緒です。

その会計事務所は、M&Aを手がけるコンサル会社をグループに置いているから、提案した結果なのでしょう。

企業というのは、想いの集合体です。これまで苦労してきて長年商売をされてきた我が社。きっと子供のような愛情を持つのが、経営者の普通の感情のはず。

それを、業績や資金繰りの状況だけで判断して、M&Aの話をするとは…。これが会計事務所の現状ですね。

経営には目に見えない(数字に現れない)価値があります。当然、打ち手(戦略)もあります。その戦略実行の選択肢がある限り、優先順位のナンバー1は「打ち手の実行」でしょう。

「万策尽きそうだ、後継者もいない、事業意欲も下がっている…」という判断を経営者がしたとき、初めてM&Aを検討すべき。

「事業が好調なうちに、売った方が高値で売れる」から。これがM&Aコンサル企業の論法でしょう。ところが、それこそ机上の空論です。

今回の例も一緒。まだまだ前向きに戦略実行しようとしているときは、会計事務所もその方針沿った財務コンサルをしていただきたい。

企業は「金では換算できない価値がある」という考えを持たないと、今後の会計事務所も将来性が危ういですよ。

M&Aは最終手段。十分なデューデリジェンスを行い、できるだけ事業継続を第一に考えて、タイミングをみたM&A提案をしてほしいものです。

企業を数字(結果)だけで判断してはいけないのです。

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