敵をつくらない経営

「三方(さんぽう)よし」という言葉。近江商人が心得としたことを言葉にしたものです。

曰く「売り手(企業側)良し」「買い手(お客様)良し」「世間(地域社会)良し」の三つの「良し(満足)」のことで、売り手と買い手がともに満足する。かつ社会貢献もできる商売があるべき姿である…という主張です。

この「三方よし」という言葉は、至極名言だと思っています。

現在の企業経営のありかたに、そのまま直結すると感じているからです。

 

恩師、坂本光司先生から「企業経営とは、5人の幸せを追求・実現することである」と教わりました。

5人とは、「社員・スタッフとその家族」「関係先・仕入先とその家族」「お客さま」「地域社会」「株主」のことを言い、その優先順位に意味がある…と。

 

日々、中小企業経営の現場を駆け回っていると、その教えが正しいということを実感します。

つまり、「敵をつくらない経営」です。

特に、1・2番目の「社員・スタッフ」「関係先・仕入先」からよく思われない経営は、結果としてお客さまからよく思われず、業績も向上しない…という考えです。

 

まず目指すべきは、一番身近な「社員」「関係先」から、この会社が大好きだと思われるような企業経営を目指すべきです。

最大で最強で唯一無二の経営資源は、「ヒト」であり、人財最重視の経営こそが中小企業が目指すべき経営指針だからです。

投稿日: 2018年2月27日 | 11:47 pm

コンサルタントの選定方法−2

経営コンサルタントを職業としている人は、増加傾向にあると言われています。

高齢化社会に乗じ、定年退職後に培ってきた専門スキルを活かす場として、コンサルティング業界に活躍の場を求める方もおられます。

経営者の方々が、経営コンサルタントを選定する際に、気をつけてほしいポイントがいくつかありますのでご紹介しましょう。

こんなコンサルタントは限りなく怪しいのでご注意を…。

 

① やたらと「損得勘定戦略」を提案するコンサルタント

…こういう人は、「売上市場主義型コンサルタント」や「コストカッター型コンサルタント」に多いです。

売上や利益などは、あくまでも短期的結果現象にすぎません。

経営は長期的視野が絶対に必要です。

いくら儲けたかが大切なのではなく、「どんな価値を生み出して、どれだけ多くの人に支持され、どれだけ長く経営できたか?(永続発展といいます)」が大切なのです。

 

② 上から目線で提案するコンサルタント

…コンサルタントは先生ではありません。あくまでもサポーターであり応援団であり、旗振り役です。

コンサルタントにとって、中小企業の経営者は尊敬すべき方々です。

ですので、その業務・ミッションを限りなくリスペクトし、寄り添う必要があります。

 

③ 「私は失敗したことがありません。」と断言するコンサルタント

…スーパードクターのドラマではないんですから。こう断言できるコンサルタントは限りなく怪しいです。

以前、こんなコンサルタントと一緒に仕事をした経験がありますが、同じ業界にいることが恥ずかしい。

もし、そのようなコンサルタントを見かけたら、「だったら、あなたがその商売をすればいいじゃないですか?」と提案してみてください。

きっと返事に困窮しますよ。

 

④ コンサルタント経験が10年もないのに、関与実績300社!などと断言するコンサルタント

…たまにいます。これも以前、見かけたことがあります。

そのコンサルタントは、自らにプロフィールに堂々と掲げていました。

はっきり言って、経験10年のコンサルタントが、関与実績300社なんてありえません。

あえて、「すごい実績数ですね。1年で何社のコンサルティング顧問をされているんですか?」と半分皮肉を込めて指摘したところ、「関与実績300社!」から「関与実績多数」と書き換えられていました。

はったりもいい加減にしてほしいですね。

 

このように、このコンサルタント業界は「怪しい自称コンサルタント」がはびこっている業界でもあります。

①〜④に掲げたコンサルタントは、あまり付き合わない方が…いいと思いますよ。

 

 

投稿日: 2018年2月26日 | 11:47 pm

中小企業経営戦略の基本 〜バリュー・マネジメント〜

中小企業がとるべき経営戦略の中で、最大のタブー(禁じ手)は「低価格競争戦略」です。

このことは以前、ブログにも書きました。

価格競争を回避するため、中小企業経営は知恵を結集する必要があるのです。

では、価格競争を回避するにはどうすればいいか?

「製品で勝負をしない!商品で勝負をする。」ということだと主張します。なんのことか??

製品と商品というふたつの概念には、根本的な違いがあると考えています。

「製品」…製造された品物  「商品」…商いをする品物  という具合に。

 

商いとは何か?  「価値を提供して、対価(お金)をもらう」という行為です。

この価値というものが問題なのです。

 

製造された品物、つまり「製品」に付加価値(企業努力)を加えて、「商品」化し、それをお客様に提供してお金をいただく。

これを「バリューマネジメント」といいます。

 

中小企業は、バリューマネジメントに対して日夜努力をしなければなりません。

 

大企業は、低価格戦略を大量仕入れや大量製造により実現させます。

そして、全方位型のターゲッティングで君臨します。

 

中小企業は、ニッチ市場に対して注力し、戦略立案・実行していく努力が求められます。

 

投稿日: 2018年2月25日 | 9:19 pm

冒険者たち−6 〜若きチャレンジャーたちの旅路〜

今日2018年2月24日(土)は、PRESSのメンバーにとって忘れられない日になったでしょう。

構想から約2年。カフェ事業「LIFT COFEE」が佐賀市呉服元町に出現しました。

今日は、そのプレオープンの日だったのです。

LIFT COFEEは、佐賀市内では見かけないテイストで、店内の空間を演出しています。

かなり、クールでスタイリッシュです。

マネジメントは、田中君というこれまたナイスガイの頑張り屋。彼が入れたコーヒーの味は、本当に癒されます。

中小企業診断士として、代表の菊池君と知り合って約2年。経営革新計画を共に策定し、構想を練り、メンバー会議を実施して、じっくりと準備してきました。

構想からお手伝いしてきた計画が、形になっていく喜びや楽しみを味わうことができました。

本当にありがとう。

中小企業診断士、経営コンサルタントとしてクライアントの未来創造ほど嬉しいものはありません。

 

今日は、家族でプレオープンに伺いました。

写真は、チョコスムージー。

容器やスプーンもこだわっています。とてもオシャレでかっこいい。

PRESSのメンバーが乗り込んだ船は、まだまだ本格出航していません。

3月には、ダンスタジオ「CARPE DIEM(カルペディエム)」がオープンします。

ダンススタジオ事業の基幹スタッフは、北御門はるかさん。こちらの事業もとても楽しみ。

佐賀のダンスシーンに新風を巻き起こすスタジオとして、乞うご期待ください。

 

彼らの旅路を支援し、記録していくとき、「企業経営は人財が全て」というコンサルタントとしての価値観が間違いないとこを再確認します。

代表の菊池くんのもとに、本当に素晴らしい仲間たちが集い、起業仲間として楽しく仕事をしていく姿は、本当にすがすがしい。

 

彼らの足跡をしっかりと見届けて、これからもずっと応援していきたいと思います。

投稿日: 2018年2月24日 | 11:30 pm

コンサルタントの選定方法−1

経営コンサルタントに相談して、現状の課題解決を図りたいと願う経営者の方々が増加傾向にあるように思います。

特に地方において、その傾向は顕著になりつつあります。

都心部は、様々な企業体や業種・業態も多彩で、同じようにコンサルタントも専門特化しています。

都心部は、情報収集も容易であり様々な刺激を受けます。

しかし地方ではそうはいかず、経営情報に飢えた企業様が本当に増えつつあると感じています。

 

地方に行けば行くほど、医者もゼネラルドクターが増えていくように、コンサルタントも“町医者型”が望まれます。

小生のような、活動の場を(今のところ)地方に限定しているコンサルタント(中小企業診断士)にとっては、登場機会の増加となるチャンスとみています。

 

クライアント様を元気にするために、全身全霊を持って課題解決をお手伝いするこの仕事は、とてもやりがいがありますし、誇りを持っています。

 

ところで、経営者や幹部の方々が、コンサルタントの支援を受けたいと思い立った時、もっとも気をつけてほしい留意点があります。

それは「価値観が共有できているか?」ということです。

 

経営者が「とにかく儲けたい」という考えを持っている時、コンサルタントが「まずは社員のモチベーションを上げて“いい会社”にすることが肝要」との主張をしていると、そのコンサルティングリレーションはほぼ崩壊します。

 

売上至上主義の経営者はおられますし、それ自体否定しません。価値観ですから。

「儲け方教えますよ」とか「増収・増益のノウハウ教えます」などの価値観を主張するコンサルタントへの依頼をお勧めするだけです。

 

小生もコンサルタント業界で、のべ15年のキャリアを持ちました。そのキャリアの中で、こんなコンサルタントは限りなく“怪しい”という輩がいます。

 

次回は、そのような輩の特徴を教えます。

 

投稿日: 2018年2月21日 | 6:25 pm

志の航跡 〜仲間たちへのエール〜

平成17年4月。最愛の息子の誕生は、中小企業診断士第一次試験突破に向けたエネルギーに火をつけてくれました。

夜泣きや食事・入浴などの子育てと、勉強の両立は大変なものがありましたが、それもまた愉しい思い出となっています。

2回目となる平成17年8月の第一次試験。会場は前年と同じ、西南学院大学でした。

模擬試験でも、それなりの得点を挙げていましたし、かなりの自信をもって臨んだ2回目の一次試験。

結果は…556点。前年よりも成績が悪いという最悪な結果…。

2回目の挑戦も敗北でした。

これか国家試験なんだと、改めて思いました。国家がプロとしてこの仕事で活躍していいよ、という許可をくれる試験です。

簡単ではありません。

しかし、あんなに頑張って臨んだ2回目の試験で不合格。心がポッキリと折れる瞬間を経験しましたね。

それから、モチベーションがなかなか上がず、テキストに向き合えない日々。

そんな日々が2ヶ月ほどあったでしょうか?

その年、盟友のワタナベくんが見事合格を勝ち取ります。一緒に励ましあって頑張ってきた仲間の、一次試験突破は、心から嬉しかったですし、とても励みになりました。

1歳の息子を抱くたびに、3回目の挑戦に向けたハートに火をつけました。

この年、試験勉強の攻略戦略を大きく変えました。

中小企業診断士の第一次試験は、他の検定試験と重複する科目があります。

例えば、「財務会計」は簿記検定3級。「経営情報システム」は、初級シスアド(当時)、現ITパスポート。「経営法務」はビジネス実務法務検定2級といったものです。

その検定試験を受けて、本番の第一次試験に備えるというものです。結果、それが良かった。

初級シスアドと、ビジネス実務法務検定3級に合格。

本番試験でも、得点源(経営法務76点、経営情報システム82点)となりました。

〜to be continued〜

投稿日: 2018年2月19日 | 1:00 am

人事考課・評価制度の目的

人事考課・評価制度を新しく策定したい、あるいは刷新したいという相談が多いですね。

以前、税理士の先生と話をしている時、人事考課制度の目的は何か?という話を聞きました。

曰く、「一定の規模の会社になると、人事考課・評価制度が必ず必要になる。その目的は、人件費の適正配分と削減にある。」と。

その方は、税理士法人のトップをされている方でした。

小生は、その言葉にとても違和感を覚えました。

 

人事考課・評価制度を、現場で策定支援しながら考えること…。

まず、人が人を評価することはとても難しい作業だということ。完全はなく、不完全を限りなく完全に近づける作業とも言えます。

そして、人事考課制度・評価制度は、人件費の適正配分のためにあるのではない!

その目的は、社員および構成員の”モチベーションを上げること”に他ならないのです。

 

その税理士は、「社員が定着するのは、給与が高いから」「人事考課は、成果(稼いだ粗利)でのみ評価する」という主張の持ち主でしたので、目的の価値観が違うのもうなずけます。

 

社員がイキイキと働いて、自立して自主的に頑張ってくれるような、”いい会社”を目指すならば成果のみで評価するようなシステムはナンセンスです。

実際、そのような会社は社内にギスギス感が生まれて、そこに働く人たちはハッピーに離れません。

 

もちろん、成果評価(定量評価とも言います)は必要です。しかしながら、定性評価(数字に表れない評価)項目をじっくりと作り上げ、社員のモチベーションを上げるよう努力しましょう。

社員は、何に不満を持つか?それは、給料が安いからではありません。

自らの業務の評価に対して、経営者がきちんと向き合っているか?ということなのです。

経営者が、スタッフの仕事ぶりに目を・気を配っているよ…というツールとして、人事考課・評価制度を策定・活用していきましょう。

投稿日: 2018年2月18日 | 11:12 pm

志の航跡 〜仲間たちへのエール〜

中小企業診断士の国家試験取得に向けた学習を始めて、1ヶ月もしないうちに心が挫折しそうになる思いをします。

とにかく、専門用語が分からないのです。学生中もほとんど勉強らしきものから遠ざかっていた小生は、とにかく勉強の”クセ付け”に苦労しました。

小さな専門用語辞典「中小企業診断士用語辞典」なるものを購入し、とにかくテキストに向き合いました。

福岡市内の専門学校までの土日通学。大雪の日も電車で行きましたね。

特に苦労したのは、「経済学」と「財務会計」という科目です。難解な経済用語や、経営分析の公式を理解するのが本当につらかった。

まさに、クジラに挑む気分です。

何がモチベーションを支えていたのか?それは、「中小企業診断士になってもっともっと愉しい、役に立つ仕事がしたい!」という気持ちだけだったと思います。

 

平成16年8月第1週の土日。九州産業大学で実施された「中小企業診断士第1次試験」の結果は、合格点(1000点満点中6割の600点)まで−32点の568点という成績でした。

ちなみに当時は、今はなき「新規事業開発」という課目もありました(また、8課目合計点の1発合格のみパスできるという制度でした)。

今は、7課目を3年間で合格すれば1次試験パスという制度になっています。

 

当然、1回目の試験で1次試験突破を目論んでいた小生は、不合格の結果にはとてもショックでした。

しかし、気持ちをすぐに切り替えて、次年度の試験への準備に入りました。

また、その年の5月に結婚をしていたため、新しい家族を喜ばせたいという気持ちも後押ししました。

 

勉強時間をいかにして確保したか??

早朝30分、昼休み30分、夜の学習1〜2時間。毎日合計2〜3時間は学習にあてていたと思います。

そして、平成17年4月。小生の人生にとって最も転機となる出来事がありました。

子供(息子)が誕生したのです。

〜to be continued〜

投稿日: 2018年2月16日 | 8:54 pm

ベンチマークという有効な手法

ベンチマークというマーケティング戦略立案の際に有効な手法があります。

様々な定義がありますが、小生のベンチマーク定義は以下です。

「同業種・同業態・同規模程度のベストプラクティス(最善な手法・プロセス)を学ぶこと」。

 

中小の観光旅館の幹部・スタッフに、最上級のサービスを提供するホテル(例:リッ◯・カールトンホテル)などに研修に行かせるという、自称コンサルタントを見たことがありますが、こんなものはベンチマークでも何でもありません。

なぜなら、中小観光旅館と最高級ホテルでは”揃っている経営資源”が全く違うからです。

 

小生はスタッフ研修の際このベンチマーク研修を、プログラムで組み込むことがよくあります。

先述したように、重要なのは「同規模程度の競合他社でベストプラクティス」を学ぶことです。

リサーチ先の選定を間違えてしまうと、スタッフにとって全く意味のない「学び」になりかねません。

結構おすすめです。

スタッフは、普段気づかない自らの業務を振り返ることができます。

気づきを与えて、学ぶだけでは意味がありません。

その後のプレゼンテーションが大切です。

ベンチマークによって、「何が自社より勝っていて、何が自社が優位か?」などの視点をまとめ上げて、情報シェアするようにしましょう。

投稿日: 2018年2月15日 | 10:04 pm

経営理念は組織に浸透していますか?

さまざまなクライアント様を支援していますが、経営理念が組織に与える影響をつくづく考えさせられるこの頃です。

昔、経営理念(社是、使命感、クレドなどとも言います)の意義を、当時の上司に尋ねたところ…「苦しい時や辛い時に理念を唱えて乗りこえるのです。」という答えが返ってきました。

はっきり言いましょう。そんなのウソです。

経営理念の意義は、一言で言うと「全社共通の価値観であり、事業目的そのものを表現したもの」です。

しかし、せっかく明文化した経営理念を組織に浸透(全スタッフの絶対的合意事項として理解)させることがないと、絵に描いたモチ(立派な言葉を使えば使うほど)になりかねません。

小生が支援して経営理念を創出する際は、必ず幹部・スタッフを巻き込みます。

なぜなら、組織に浸透するためには、トップダウン型での制定では限界が見えるからです。

また、理念はできるだけショートなキャッチフレーズで。また、それに続く行動基準は、仲間・同僚へ、お客様へ、関係先へという3点からの切り口で行動基準(約束事)を制定します。

これまで、立派な経営理念を作っているのに、構成員(社員・スタッフ)が全く理解していない会社をかなり見てきました。

その原因は、経営者・役員・幹部自体が理念そのものに沿った言動をしていない、理念からブレてしまうなどの現象が見られることです。

朝礼や会議のスタート時に、経理理念を唱和するのはなぜか?

唱和することで、日々業務にあたるうちについつい忘れがちな”初心=経営理念”を思い出すためなのです。

経営理念が末端のスタッフのハートまで、理解・浸透している企業は強い!

一体感や強固なチームワーク、目標に向き合うための総合力を発揮するために、経営理念の意義を今一度見直してみませんか?

投稿日: 2018年2月14日 | 10:54 pm