コンサルティング支援と研修支援の違い

経営コンサルティングとは何ぞや?この単純な命題に、どれくらいの中小企業診断士(経営コンサルタント)が答えれるでしょうか?結構な割合で、答えに詰まってしまうのではないかと考えています。

経営コンサルティングは、「コンサルタントが経営の現場に肉薄し、個別具体的な経営課題を、個別具体的な手法で、個別具体的に解決提案・実行支援する取り組み」であると僕は定義しています。

経営コンサルタントの中には、コンサルティングと称して「人財研修事業」に落とし込む人たちもいます。それはそれで結構なのですが、経営コンサルティングは「人財研修」を包括した広義の課題解決概念です。

経営コンサルティングが、「価値と価値を掛け合わせて新しい価値を創造する(あるいはそのお手伝いをする)」取り組みとして、コンサルタントは全知全能を駆使するのです。

新しい価値は、中小企業経営にさまざまな果実をもたらしてくれます。

これが、僕が推奨している「中小企業のブランディング経営」です。他にはない斬新でユニークな価値を創造し、自社に収益をもたらし、顧客の満足度を最大化するブランディング経営は、コンサルティング支援の中でも王道だと考えています。

研修事業もいいでしょう。人財が中小企業経営の唯一無二の経営資源ですから。

人財を躍動させ、社員や取引先、そしてお客様に喜びをもたらすブランディング経営。これからもコンサルティング支援の中心として推奨していきたいと考えています。

投稿日: 2022年9月6日 | 5:07 am

粗利益率重視経営への転換

経営者がもっとも重視する経営指標は、売上高でしょう。損益計算書(P /L)のもっとも上に書かれているのも頷けます。しかし、現在の減収型経済環境において、売上のみ追求していくのはリスクが大きい。

売上高というのは、膨張係数(膨れ上がらせることができる係数)ですので、追求しすぎると経営判断を誤ります。

では、何を重視すべきか?それは、粗利益(売上総利益)です。しかも、粗利益額ではなく「粗利益率」。実は、この指標を軽視している企業、経営者が意外と多い。

理想は「売上高を追求して、粗利益率を最大化(最適化)する」です。ただし、注意点があります。粗利益率を追求するということは、「粗利益率が低ければ低いほどいい」というわけではないのです。

粗利益率を追求しすぎるあまり、原価額を下げてしまうと「品質」が下がってしますことがあります。

中小企業企業経営の王道戦略「ブランディング」は、「品質」(クオリティ)が生命線です。基本的な考え方は、「原価を惜しまず、ハイクオリティ製品を創り(仕入れ)、高価格で市場投下する」です。

この適正原価率は、緻密な原価計算の上設定しましょう。「我が社が求める適正な原価率」を算出したら、付加価値を確保するための価格を設定します。

業態によって適正原価率は違います。当然ですが…。

サービス業は0〜10% 製造業(メーカー)は20〜30% 卸売業は40〜50% 小売業は50〜70 以上が理想でしょう。

投稿日: 2022年9月5日 | 5:16 am

中小企業経営の予防学

中小企業経営は短期的な利益を追求するのでなく、長期的な永続発展を目指すべきである…。これは普遍の真理だと確信しています。短期的に企業価値を上げて、M&Aで企業を売り、創業者利益を手に入れる…一見かっこよく思えます。ところがこのロジックには、社員(メンバー)の幸福感という最も大切なファクターが欠落しています。

企業は、金儲けのために存在しているのではありません。短期的な利益を追求しようとする思考だから、長期的な永続発展戦略が疎かになってしまうのです。

中小企業には予防学的思考が絶対に必要です。つまり、利益追求型の短期的・対処的療法でなく、長く長く続いていくような長期的戦略です。そのためには、人財を地道に育て、素敵な商品・サービスを地道に研究開発し、お客様を顧客様へと地道に育てる戦略です。

以前から主張していることですが、外部環境に翻弄されやすい中小企業経営においては、しっかりとした経営基盤を構築することが最大の予防学です。

では経営基盤とは何か?他ならない優秀な人財と、顧客様の絶対数に他なりません。しっかりとした人財と顧客(ファン)さえ構築できていれば、外部環境に翻弄されない企業経営を遂行できるのです。

もちろんそのためには、関係先(取引先や外注先、協力企業・事業者)との関係性を大切にし、敵を作らない支えられる経営を実行することが前提となるのです。

今後ますます先行き不透明な経営環境になるでしょう。普段から不断の経営努力を地道に実行していくこと…これしかありません。

投稿日: 2022年8月30日 | 5:08 am

正しい経営計画を立案しましょう!

会計事務所が提供するサービスの一つに、MAS監査(マネジメント・アドバイザリー・サービス)というものがあります。どんなものか…?会計事務所の会議室に1日こもって、5ヵ年経営計画書(将軍の日と呼ばれています)とか単年度経営計画(軍議の日と呼ばれています)などを立案し、毎月そのPDCAを回していくというもの。

それ自体は素晴らしい取り組みなのですが、よくあるのが「経営計画に立てられた目標が高すぎる…」という現象です。これは会計事務所のMAS監査に限ったことではありませんが、下手なコンサルタントが経営者に提言することがよくあるものです。

経営者はできるだけ高い目標を設定しようとします。あたりまえです。経営者目線というのは、そういうものですから。

経営計画書は、経営者だけ(コンサルタント含む)で策定すると、いいものができません。つまり絵に描いた餅のような計画書になっていまいがちなのです。以前も、MAS監査を推奨する会計事務所と並行してコンサル支援したことがありました。ところが結果は、現場の疲弊感が募り、到底計画(目標)が達成できるはずもなく…。

その会計事務所の論理(ロジック)は、「できるだけ高い目標を立てましょう。到達できなくてもいいのです。肉薄することが大切ですから…」。

なるほど会計事務所らしい(数字ばかりを追いかける)論調です。はっきり言いますが、目標は達成するためにあるものです。人間には感情というものがあり、感情に行動が左右されます。マシン(機械)ではなのですから。その感情は経営学的にいうとモチベーションと呼ばれるもの。

モチベーションは、目標を達成した時にMAXになるのです。小さな成功体験が、人のやる気を引き出すのです。

いつの時代も正しい経営計画を立案して、正しく運営(PDCA)していきましょう!

 

投稿日: 2022年8月29日 | 5:19 am

役職を褒賞的に付与する間違い

最近の中小企業経営に関する相談事として人事に関することが多いですね。人事と言っても「人事戦略」のことであり、人事戦略とは「ヒト=人財」に関する制度・仕組みのことを指します。

人事に関する相談が、個別のスタッフや幹部の所作・言動に関することでしたら、深刻に受け止める必要はありません。意外と解決策は簡単です。ところが、その根にある課題の真の要因は根深い場合が多い。

先日も、ある中小企業経営者から組織づくりに関する悩みを打ち明けられました。

内容は「役職者(主任以上)ばかりの組織になってしまって、一体感がなくなった」というもの。現象として「新入社員がすぐにやめてしまう」「決まり事やルールがバラバラで守らない」などの問題が発生していました。

ヒアリングを進めていくと、根本的な要因に当たりました。

昇進というのは、組織のキャリアップのことを指します。スタッフが主任に、主任が課長に…という具合に。つまり役職を付与し、より責任ある業務・ミッションにあたってもらうことです。

本企業様では、人事に関するガイドラインが整備されておらず、褒賞(ご褒美)的に役職を付与していた訳です。

結果、新しく入ってきたスタッフが、複数の役職者から指示・命令が降りてきて混乱する…。それぞれの役職者がそれぞれのルールで業務を進めて、品質が統一されない…。などの問題が発生していたわけです。

こうなると課題解決は深刻になります。長期にわたってじっくりと人事戦略再構築に取り組まないと、根本的な課題解決にはなりません。

結果として企業が成長していかない事態になっていきます。

投稿日: 2022年8月25日 | 5:15 am

独立診断士の定義ー6

中小企業診断士の役割や立ち位置、そしてミッションを、クライアントに対して明確にしておくこと…これは長期的支援のための必要条件です。

経営者の中には(これは実際に経験したことです)、「あなたは経営のプロだし、言っていることは間違いがない。だから貴方の言う通りに経営していこうと思っている」などと発言する方がいます。特に創業したての経営者や、現場あがりの経営者に多いパターンです。

正直言いまして、この手の関わり方はコンサルタントとして危険です。

中小企業診断士(経営コンサルタント)は、あくまでも参謀役!経験や研究から導き出した、情報を取捨選択してクライアントに提供・提案し軌道修正したり判断の後押しをすること…。これが立ち位置ですから。

判断・決断・断行ができない経営者は、さっさと降りた方がいい。社員が路頭に迷ってしまいます。

そういう意味で、コンサルタント責任は重大なものがあります。経営判断の際の情報提供を的確にしなければ、クライアント企業の行く末を左右する訳ですから。

中小企業診断士が自称経営コンサルタントと違う点は、国家試験という難関に挑戦する過程で様々な理論や体系を知識習得したことにあります。

つまり、説得力が違う訳です。そのため、自信を持って提案・提言するためには、コンサルタント実務経験(最低5年以上)を踏むことが理想。

経験と知識が融合して、正解に限りなく近い経営判断を促す助言を導く…これが自称コンサルタントとの最大の相違点でしょう。

投稿日: 2022年8月24日 | 5:28 am

独立診断士の定義ー5

中小企業診断士としての仕事の理想は、クライアントの経営現場に入り込み、様々な課題解決のために伴走型で支援する…ことです。この主張は、一片のブレがありません。

全く否定している訳ではありませんが…補助金申請支援やスポット型の研修での関わりよりも、実にドラマチックでダイナミズムのあるミッションであると言えます。

顧問契約の得点として、補助金申請や研修事業をアイテムオンして提案する…。これも収入アップにつながります。

さておき、独立診断士の理想は「長期にわたってクライアントの成長をサポートする」ことです、理想はやはり10年以上。これくらい長い付き合いになれば、クライアントの質的・量的成長が実感として感じられるものです。

長期にわたって支援する…そのためには、中小企業診断士(コンサルタント)としての立ち位置を、現場・経営陣に明確にしておく必要があります。

経営者が過度にコンサルタントに依存する場合、長期的支援は黄色信号が点ります。例えば、何かにつけてコンサルタントに「経営判断」を求めてくる経営者です。

頼られるのは問題ないのですが、経営における最終判断は「経営者の仕事」だからです。この場合、経営者の発言に「◯◯先生に聞いてみるよ」などという言葉が多くなります。

メンバー(社員)は、「あなたの会社じゃないですか?」という感情を持ち、コンサルタントに対する嫌悪感につながっていくのです。

明確に言いますが、現場のメンバー(社員)から不信感のあるコンサルタントは長期的支援は無理です。

 

投稿日: 2022年8月22日 | 5:27 am

価値経営へのイノベーション

最近、ブランディング経営に関して研究と実務を展開しています。このブランディング経営は、一方で「価値経営」(バリュービジネス)ともいうべき戦略であると考えています。つまり、他社や競合企業、同業界にはない価値を取り入れ(あるいは創造し)、磨き上げていく…。

中小企業経営が価格競争になると、大企業に太刀打ちできません。大規模な品揃え、コストをかけた広告広報、規模の経済性を活かした低価格戦略…。中小企業がまともに戦う余地など全くないのです。

ではどうするか…?

価値経営しかないのです。ブランディング経営しかないのです。

さすが!と言われる経営(商売)をして、価格ではない選択肢で勝負しましょう!

逆にいうと「価格競争でしか戦略の打ち手がない商売」は「終わっている」ということ。さっさとこの分野(商材)から撤退し、価値経営のドメインを模索した方がいい。

新しいドメインで新規事業を立ち上げて、インキュベートする…これも価値経営のひとつです。ただし、気をつけてほしいのは「フランチャイズビジネス」です。

中小企業が社運をかけて取り組む事業としては、フランチャイズはリスクが高い。なぜなら、自らの力で価値を磨く打ち手が限られる(あるいはなくなる)からに他なりません。

中小企業は、オンリーワン経営を目指すべきであり、オンリーワン経営の厳選は「価値を磨くこと」なのです。

現状を打破する「価値経営」「ブランディング経営」こそ、王道戦略であることに間違いはないのです。

投稿日: 2022年8月17日 | 5:30 am

急成長企業のリスクマネジメント

ベンチャー企業にありがちな状況ですが、急成長企業にはそれなりの(というか結構大きな)リスクが伴うと考えて間違いありません。

拡大する組織、支出に伴う資金繰り、法律などの縛りやガイドライン…。どれもこれも、きちんと整備しなければ企業の存続に関わるリスクファクターです。

急成長というのは、成長痛を伴う…これは真理であり、だからこそリスクマネジメントを的確に運営していく必要があります。

急成長企業に”あるある”な現象が、「損得勘定経営」です。つまり、成長する業績にばかり目がいき、創業時の志を忘れて「損得判断」に陥る現象です。資金繰りに逼迫していくと、特にそうなりがちなのがリスクであるとも言えます。

そこで、急成長企業にこそ「内部統制」機能の設置と整備が必要となるのです。

社員が幸せに、伸び伸びと働けるような各種ガイドライン。例えば、法的には就業規則の策定と運営、人事考課制度と給与規定ガイドライン。

もちろん経営理念の創出と見える化。社員教育システムの仕組み化と運営…。どれも大事な内部統制ガイドラインです。

業績ばかりに目がいくと、売上を拡大するために「安売り」に走る傾向も散見されます。中小企業の目指す方針はあくまでも「高品質・高価格」。「高いけど間違いない会社」という印象を作り上げましょう。

ブランディングの立派なリスクマネジメントである…。企業経営は「いくら儲かったか?」よりも「どれだけ永続発展できたか?」ということで評価されることを忘れてはなりません。

投稿日: 2022年8月16日 | 5:08 am

飲食店の経営破綻に思う…

コロナ情勢がもたらした経営破綻という論調の新聞記事。佐賀市内で、多店舗展開していた飲食店の経営破綻を伝える記事でした。飲食店のコンサルティング支援をいくつか手がけたことがありますが、正直いって一旦軌道に乗った経営が破綻するのは、よほどのことが起因しているとしか思えない。

コロナ禍においては、飲食店に手厚い保証制度が発動されました。そもそも飲食店という事業は、一度軌道に乗ると(ファンが付いて)なかなか潰れにくい…そんな商売です。

にもかかわらず、経営破綻する飲食店のニュースを聞くと、よほど内部的杜撰(ずさん)な運営が仮説立てされます(あくまで仮説ですが)。

中小飲食店の経営方針は、「美味しいものを、いいお値段で提供する」…これが理想です。

中小企業のブランディング戦略と考え方は同じです。つまり「高品質(おいしい料理を)、高価格(それなりのお値段で提供し)、高付加価値(利益を上げていく)」のです。

FLコスト(材料費、製造・接客スタッフの人件費)比率が最大でも60%を目指しましょう。

ここで、原材料費をケチってしまうと提供料理の品質が下がる傾向があります。ですので、基本的な考え方は「美味しいものを高価格で」なのです。

もちろん、接客スタッフ・製造スタッフのモチベーション管理は必至。お店の中のクリンリネスも、立派な品質要因です。

メニュー表も見せ方、店内の雰囲気、清潔感…すべて品質であると認識し、磨き上げることが大切です。

現在、新規事業を立ち上げる起業家の中でも、圧倒的に飲食関係が多い。とてもいいことだと思います。

提供品質を磨き上げ、是非利益を上げることができる飲食店経営を実現してほしいものです。

投稿日: 2022年8月11日 | 5:56 am