経営コンサルタントの実像−2

前回のブログで、経営コンサルタントはコストカッターではないと断言しました。この考え方は、ブレることはないでしょう。

そんなコストカッター型コンサルタントに共通する言葉。

「業績を悪いのなら、よくするためにまずは人件費を第一に大幅に削り、経費削減を断行すべき」です。

間違っていますよね。業績が悪いのなら、収入を上げるための施策をまずは、考えます。

ビジネスモデルを根本的に見直し、収益構造を再構築する…ここからスタートすべきです。

コストカッターは、コンサルタントがやらなくてもいい。コストカットは誰でもできます。

 

また、経営コンサルタント(中小企業診断士)は、企業ドクターやビジネスドクターなどという表現もされます。

たしかに「診断する」こと自体は、大切なタスクの一つです。しかし、診断するだけではクライアントは満足されません。

経営コンサルタントは、「価値と価値を掛け合わせ、新しい価値を創造する(あるいは創造するお手伝いをする)」プロです。

ですから、市場(お客様)開拓、新市場開拓などを通じて、つねに新しい価値をクリエイトしなくてはなりません。

小生は、漢方・町医者でありたいと思っています。

業績(病気)が悪化(発覚)した時の対処法を考えるよりも、業績(病気)にならないような体づくりの支援をするプロでありたい。

少なくとも自分自身はそんな経営コンサルタント(中小企業診断士)でありたいと思っています。

投稿日: 2017年8月16日 | 1:00 am

経営コンサルタントの実像−1

経営コンサルタントの仕事をはじめて、今年で10年という節目を迎えています。

 

この仕事に巡り合えて本当に毎日が愉しいですし、毎日がドラマチックです。つくづく、この仕事に巡り合えた幸せを感じています。

経営コンサルタント(中小企業診断士)は、何をしている人なの?と尋ねられることがありますが、まだまだこの仕事の認知度にはのびしろがあるな…と思っています。

この経営コンサルタントいう仕事、ときどきマスコミで詐欺紛いの事件を起こす“自称経営コンサルタント”なんていますよね。

まあ、コンサルタントには特段資格は必要ありません。小生が登録している中小企業診断士も、独占業務などありません。

誰でも、どこでも、いつでも明日から名刺に「経営コンサルタント」と記載すれば、名乗れる仕事です。

 

重要なのは、クライアントに対してどんな価値を提供することができるか…です。

様々なタイプの自主コンサルタントが存在しているのも、この業界の特徴です。

あえていいます。コンサルティングというのは、コストカッティングやM&Aだけ手がけるような売買業務ではない!

また、コンサルティングと題して、結局のところ社員研修に持ち込むコンサルタントもいますが、それも違います。

以前、一緒に仕事をした自称コンサルタント(女性)は、研修が得意な人でしたが、経営者の前で社員を平気で叱りつけていました。

そんなコンサルタントは、一見して経営者には気に入られますが、現場スタッフはシラケます。研修をしても効果が出るはずもありません。

社員研修も大切ですが、研修を通じてクライアントにどんな価値を提供するかを、プロコンとしては考えたいものです。

投稿日: 2017年8月15日 | 1:00 am

企業のM&Aビジネスに思う…

コンサルティング会社が、M&Aビジネスを手がける事例が増えています。

一時期のブーム的な扱いはなくなったとはいえ、事業承継に悩む中小企業が多い中、その取り組みには一定の敬意を持っています。

しかしながら、M&Aビジネスがなかなか上手くいかないのも事実です。

なぜか??

企業は、その構成員(経営者、幹部、現場スタッフ、メンバー etc)の”想い”の集合体であるからだと考えています。

企業価値を机上の空論で算定し、その価値で売買を成立させ、売り手側買い手側から報酬を得る、M&Aビジネス。

その事業自体を否定はしません。しかし、本気でその分野に飛び込む覚悟と事業継続の意識がない限り、やめた方が無難です。

決して、ニーズがあるからだとか、儲かりそうだとかいう理由で取り組めるようなビジネスではありません。

ひとつだけ考えることは、M&A成立後の組織融合(想いの融合)まで支援するような取り組みでない限り、顧客満足度は高まらないだろうということです。

企業価値をただただ算定して、売買成立させるようなブローカー的事業は限界があるでしょう。

 

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投稿日: 2017年8月14日 | 1:00 am

人材を活かしてこその経営? 〜採用側の責任を考える〜

ある経営者と話をしているときに出てきた言葉。

「社員は稼いでなんぼです」「業績数字は正直。評価の目安は業績第一」「稼がない人材は、やっぱり必要ない」

とても違和感を覚えました。

中小企業とはいえ、企業の規模に関わらず、社員が稼いでなんぼだという考え方は、はっきり言って古い。

結果主義や業績主義だけで、人事考課をする時代はとっくに終焉しました。

仕事がら、人事考課制度を構築したいという相談もあります。本来は社労士の業務範囲なのですが、中小企業診断士として真摯に対応するようにしています。

その人事考課・評価システムを創る際に、気をつけていることが「数字だけで評価しない」という点です。

販売会社ならばともかく、士業や開発会社において業績評価のみで人事考課を構築するのは、危険です。

特に会計事務所や弁護士事務所、社労士事務所などでは全くそぐわないのでご注意くださいね。

企業は役割分担で成り立っています。ましてや知的財産や知恵・知識で勝負する士業においてはなおさらです。

すべての人材が、営業(仕事を創ってくること)が得意というわけではありませんよね。

中には、資料を作ることが得意な人材、企画を考案することが得意な人材もいるでしょう。

そのような人材を採用したならば、活躍の場を設けることこそが経営者の役割でしょう。

この人材は、稼がない(営業できない)から要らない…

業績を創らない社員は、評価を著しく下げて風当たりが強くなる…

などという社風の会社は、その存在すら価値がないのではないでしょうか?…と言いたいですね。

せっかく採用した人材を、人財に育てることは、採用した企業側の最低限の責任でしょう。

投稿日: 2017年8月13日 | 1:00 am

新商品開発〜エイチメソッド〜 売価設定の極意

前回のこのテーマ欄にて、『レシピ作りと原価計算』について書きました。

今回は、売価設定についての考え方と極意(と勝手に思っている)について主張します。

 

低価格路線での売価設定はダブー 高価格戦略で勝負すべし

できるだけリーズナブルに売価を決めたい…というのは、企業側のごくごく自然な考え方だと思います。

中小企業が新商品開発や新規事業開発にて、ブランディング強化戦略に舵を切った際、売価設定は基本的に”高価格戦略”であるべきです。

いつの時代でも、中小企業経営の基本は「高品質・高付加価値・高価格」戦略です。

そして、プロジェクト型で新商品開発や新規事業開発に取り組むときは、売価をあえて高価格設定します。

以前にも述べましたが、製品自体にお客様はお金を払っていません。

新商品開発に込められた、開発者の想い、プロジェクトメンバーの労力、生産部の汗、販売部(営業部)の接客力…引いては企業側の努力にお金を投じてくれるのです。

ですから、高価格で当たり前…です。

安価にすることで、利益を圧迫する必要はありません。

堂々と、この商品にはこの”想い”が込められているという考えに基づいて、価格設定ディスカッションを進めていきましょう。

また、価格を下げるのはいつでもできますが、一度決まった価格を上げるのは至難の技です。

やもすれば、お客様離れを引き起こしかねません。

”高品質・高付加価値・高価格”戦略を実直に実行してみてください。その想いに共感していただけるお客様は、絶対にいらっしゃます!IMG_3874

投稿日: 2017年8月12日 | 8:49 pm

Road to HONG KONG 〜香港へ〜−2

今日は、応援している女性企業家(株)テイクモット 武本さんとバイイング支援をしてきました。

昨日、今日と同行しましたが、なかなかの収穫。佐賀県産の加工食品企業とのマッチングでかなりの手応えを得ました。

ターゲットは香港市場です。この道20年以上の武本さんのキャリアで、佐賀県の企業力をアピールできるという取り組みに賛同しています。

昨日は、県内のとある大手飲料メーカー、今日は有田市の加工食品メーカーでした。

今は明かせませんが、契約が決まったらオープンにしたいと思います。

香港で、佐賀県内の企業力(加工食品)を大々的にアピールする企画を構想中です(平成30年中)。

現在、そのための厳選食品を探索中です。リストアップはしていますが、1件1件アプローチして、面談しセレクトしていく作業はなかなかの仕事。

そして、面談ヒアリングする内容はもちろん、経営者の姿勢や理念も大切です。

Win-Win-Winの構築という、テイクモットの理念に沿うパートナーであるか??も観察させていただきます。

しかし、とても愉しみな取り組みです。コンサルタントして、中小企業診断士として、このようなビジネスに携われる喜びを感じながら、支援していきたいと思っています。

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投稿日: 2017年8月10日 | 9:10 pm

新商品開発〜エイチメソッド〜 レシピ作りと原価計算

例えば飲食物の新商品開発の場合、試作品を創ったあと、そのレシピを記録して残しておく必要があります。

新商品開発は、それ自体が企業にとって貴重なノウハウ(知的財産)になるからです。

知的財産として保管することはもちろん、場合によっては商標登録などの法的保護のことも、考慮しなければなりません。

 

レシピ作りと原価計算

飲食物に限らず、成果物の設計図は必要です。飲食物の設計図はレシピと呼ばれますが、慎重に記録・保管することが必要です。

試作品を創ったら、試食に入ります。

メンバーを集めて、できればマーケティング部(販売や営業部)も含めた方がベターです。

試食してディスカッション、そして改善。改善後の再試作から試食ディスカッションと、試行錯誤していきます。

まさに根気との闘いです。途中で、諦めず根気よく、開発部のモチベーションをケアしながら進めていきます。

試食を繰り返し、完成品として出来上がったら、原価計算に入ります。

1個の商品にかかっているモトデを計算するのです。気をつけたいのは、製造原価の人件費を忘れないこと。材料費だけで原価計算すると正確なモトデはできません。

原価計算が終わったら、売価を設定します。

売価設定の方法については次回に…。

この原価計算は、とても重要なフェーズです。

原価計算せずに、なんとなく売価を設定すると、場合によっては”売れば売るほど赤字”などという事態に陥ることがあるのです。

 

投稿日: 2017年8月9日 | 9:05 pm

役職と職務基準 〜役割分担の見える化〜

創業間もない数名の会社であれば、不要なルールかもしれませんが、社員・メンバーが10人以上になると、職務基準の明確化が必要になります。

会社は、役割分担により成り立っています。以前にも書きましたが、企業経営は”航海”に似ています。

航海には、進むべき方向性を指し示す船長(経営者)が必要ですし、羅針盤(経営方針書)が必要です。

舵を取るクルー(取締役)、実際に櫂を漕ぐクルー(スタッフ)もいますよね。

であれば、それぞれの役職・役割に沿った職務基準を明確にすることが重要となってきます。

”何となく”や”曖昧”な…は、個人個人で受け取り方が違い、明らかにミッションや実務に温度差が生じます。

結果として、マネジメントサイクル(PDCA)が回らなくなり、組織的な不協和音が生じていきます。

役職・役割の明確化(言語化して、見える化する)は、組織(チーム)が大きくなるにつれ、重要になります。

では、いつのタイミングでそれを見える化したほうがいいか??

もっともいいタイミングは、幹部人財が育ったときだと考えています。

組織の階層が、徐々に作られていく過程で、都度決めていくことがベターでしょう。もちろん、途中改訂も構わないのです。

投稿日: 2017年8月8日 | 11:54 pm

町の電気屋さんのイノベーション物語−2

経営革新して、躍進しようと構想されている中小企業は、数あまただと思いますが、実行している経営者はどれほどいらっしゃるでしょうか?

経営革新をしようとする際、経営者の覚悟と理念(想い)が最重要ポイントだということは先述した通りです。

唐津市の呉服商店街のミネデンキ様。一昨日の訪問支援レポートの続きです。

カフェ風に改装した家電ショップの一角に、未利用のスペースがあり、そこを活用して新事業・新商品開発を試みるという夢のある取り組みです。

ディスカッションの結果、飲食物をテイクアウトで提供する事業が決定しました。

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写真は、試作してもらった商品のプロトタイプ。何なのかはナイショです(機会を見て報告します…笑)。

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これもそう。昔から家庭で作られていたおいしいモノ…です。

とても美味しかった。

これから、商品アイテムと商品の提供方法、見せ方などを決めていきます。

それにしても、唐津の人たちはとても気持ちがいい。打ち合わせも途中からビールとおつまみ(ご家庭料理)で話が盛り上がりました。

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次回訪問日は、9月1日(金)。それまでの宿題と準備物をお伝えし、唐津線の最終電車(9:38唐津駅発)で帰路に着いた、とても愉しい一日でした。

〜つづく〜

 

投稿日: 2017年8月6日 | 1:00 am

町の電気屋さんのイノベーション物語−1

昨日は唐津に赴きました。前にも書きましたが、唐津市の商店街は風情のある、とてもいい空気感を持っています。

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訪問企業は、呉服町商店街にある「ミネデンキ」という町の電気屋さんです。

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実はここで、とても楽しみなイノベーションが進行中なのです。今回のミッションは、その街中の電気屋さんの革新物語を支援することです。ん〜〜〜〜楽しみ!

さて、町の電気屋さん(いわゆるパパママショップ)は軒並み減少しています。激減といってもいいでしょう。

大手ディスカウント家電量販店が、店舗数を増やしたのがその主な原因です。

そんな逆風にも負けず、ミネデンキ様は地域から愛されている電気屋さんとして頑張られています。

イノベーションストーリーは、これから徐々に紹介していきます。

面白い取り組みなのが、お店の角に井戸を掘られたことです。

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お客様のキャッチになればという思いと、これから取り組もうとするイノベーションの一助になれば…社長が笑いながら話してくれました。

しっかりと、冷たい井戸水が出てきますよ。

さあ、これからどんな革新物語が書かれていくのでしょう。

コンサルタントして、中小企業診断士として本当に楽しみな小さな小さな町の電気屋さんのお話の始まりです。

〜つづく〜

 

投稿日: 2017年8月5日 | 10:24 am