関節部門は効率的に…直接部門は手間暇かけて…

DX(デジタルトランスフォーメーション)ろいう概念が、中小企業経営に与える影響について考察したいと思います。IT技術を駆使して(使いこなして)、経営をスムーズに運営するという考え方です。しかし、これは経営資源に乏しい中小企業にとって、全肯定する考え方ではありません。というのが僕の所見です。

結論を言うと、中小企業の関節部門(総務や経理、事務関係)は、DXを駆使して効率化を図るほうが断然いい。一方で、直接部門に対して無理に導入すると、ともすればUSP(絶対的な強み)を失ってしまうことになりかねないのです。

デジタルの良さは、圧倒的に効率性です。アナログと違って、手間暇がかからない管理・戦略が可能になること。

しかし、中小零細企業の良さは実のところ「手間暇かけたお客様との繋がりや絆」にあると言えます。

つまり関節部門にはDXが効果を発揮しますが、直接部門にはDXは諸刃の剣となりかねないリスクもあるということ。

中小企業経営のブランディングを推奨する立場から主張しますが、中小零細企業のブランディングの源は「めんどうくさい」「手間がかかる」「時間が必要」「非効率的」…こういうポイントに眠っています。

オンリーワン戦略を目指すべき中小企業経営においては、大企業戦略とまったく違うステージで勝負しなければなりません。

価格競争を回避し、逆に価格主導権を握る…これが中小企業経営の理想ですから。

お客様との接点に立つ直接部門は、過度に効率性を追及するのでなく、アナログ的な「心と心のつながり」で勝負したいものです。

投稿日: 2022年5月23日 | 5:53 am

業績マネジメントの考え方

日々刻々と上下する業績は、経営者が最も気になるファクターでしょう。しかし、業績というのは所詮結果現象にしか過ぎません。「がんばった結果」「経営理念に向き合って日々努力した結果」「人を大切にする経営にに向き合った結果」なのです。

業績は管理するものでなく、マネジメントするもの…これは僕の主張です。マネジメントという文言には「モチベーション」の概念が含まれ、管理よりもマネジメントを推奨することが基本となります。

営業会議などで業績のPDCAを回していくとき、メンバーのモチベーションを抜きにしては不可能です。特に企業経営の血液たる「金=カネ」の厳選である営業・販売に関するサイクルならなおさら。

では、スタッフのモチベーションが下がる時はどんな時か…。様々ありますが、大きな要因のひとつに「高すぎる業績目標」というものがあります。これは百害あって一利なし!まさに愚策とも言うべき戦略です。

このブログで時々紹介しますが、目標管理制度という名の下、「高い目標をあえて設置し、それに向き合うPDCAを回す。結果的に目標に届かなくても、肉薄することが大事」とする戦略がありますが、全くのナンセンス。

そもそも目標というのは、管理するものではなく「向き合うもの」なのです。

ですので、「がんばれば現実的に届く」目標が妥当です。モチベーションは「小さな成功体験」により上がっていくもの。

業績マネジメントは、最前線メンバーのモチベーション重視。高揚感あふれるマネジメントを実行していただきたいものです。

投稿日: 2022年5月9日 | 5:28 am

値引き戦略は愚策である!

中小企業経営における様々な会議に参加していると、業績向上のための販促戦略を考案する場面に直面します。そこで大きく勝敗を分けるのが、価格に関する議論です。

中小企業経営における最大のタブーは価格戦略である…これは僕の普遍の主張ですが、様々な中小企業経営において未だに議論されていることが多いです。価格戦略そのものは、例えると麻薬のようなもの。これでしか打ち手のない市場…これがあるとしたら、その商売は終わっているということになります。

それこそ、中小零細企業にとってレッドオーシャンであると言えます。

残念ながら、士業をはじめとする中小企業経営支援の専門家の中にも、値引き戦略を推奨する輩もいます。

値引きという愚策は、利益の源泉である「粗利益(売上総利益)」を圧迫します。そのため、「いくら稼いでも儲からない」という現象に陥ります。これは、中小企業経営にとって大きなリスクとなります。

また値引きを柱とした販促戦略は、販売(営業)スタッフのプレゼン力を阻害します。

値引きしか打ち手がない商品は、そもそも中小企業が揃える商品ではない…とも言えるのです。

中小企業経営は、オンリーワン戦略である…。オンリーワンとは「差別化」のことであり、商品政策においては「他社にはない、こだわった素敵商品を揃える」ということになります。

中小企業経営者の皆さん。御社の商品政策は間違いないですか?

まちがっても、販売(営業)スタッフの「口八丁手八丁」による販売戦術にたよった販促戦略を立ててはいけません。

チームの疲弊を招くだけです。

投稿日: 2022年5月2日 | 5:06 am

ハートで勝負する中小企業、仕組みで勝負する大企業

先日のこと。小生がお手伝いしているクライアントで営業戦略会議を実施していました。販促企画について議論していましたが、「それは手間がかかる」とか「ん〜それは時間が必要」とか「面倒くさい」などというネガティブな発言が出ていました。

すかさず小生は、「中小企業は、面倒くさいとか手間がかかるとか、そういう取り組みこそ戦略として実行すべき。そこにチャンスがある!」と助言したわけです。

例えばCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)を考えた時、中小企業は「お客様ひとりひとり(一社一社)との心のつながりを大切にすべき」なのです。まさに、中小企業はハートで勝負すもの。

逆に大企業は「仕組み」で勝負をかけてきます。仕組みを整えて、効率化し、最終的に価格で勝負してくるわけです。

中小企業が生き残るためには、価格競争を回避しなければなりません。つまり「多少価格が高いけど、いいものだし、あなたから売ってもらいたい」とお客様から思われる関係性づくりこそ重要なのです。

中小企業が、さまざまな仕組みに依存すると、細やかな対応力や暖かい(人間味のある)接客・接遇などが薄れていく傾向にあります。

価格競争できない中小企業経営は、「商品・サービス」「情報・ノウハウ」「人財・メンバー」「企業そのものの希少な取り組み」この4ファクターでブランディングします。

そして心の通った、お客様との関係性構築を目指す必要があります。

ついつい人間は「面倒くさい」ことを回避する傾向にあります。「面倒くさい、手間がかかる」…だからこそ中小企業のチャンスが生まれるのだということを認識しましょう。

投稿日: 2022年4月27日 | 8:27 am

ご縁という絆、繋がり、そして幸福感…

福岡市内。障がい者の方々を警備員として雇用し躍進中のATUホールディングス株式会社。先日(4月23日)は、社員懇親会にお呼ばれして楽しんできました。

恩師:坂本光司先生の愛弟子でもある、経営者:岩崎龍太郎さん。約1年前にクラインアントとしてご支援させていただいています。この会社はスゴイ!障がい者雇用率は約6割を誇ります。障がいを持つ方々に「働く喜び、働く幸せ」を提供している…そんな会社なのです。

待ち合わせはココ。福岡市西区今宿にある「カリフォルニアBBQ」!

懇親会(バーベキューパーティ)は、午後5時からということで、岩崎さん操船のモーターボートでルアーフィッシングに繰り出しました。

最近船舶免許を取ったとは思えない操船技術!岩崎さん、カッコいい!!

会計事務所の橋本くんです。まだ27歳と若い監査社員ですが、とても熱心で優秀なサポーター。

そして、小生。楽しそうな雰囲気が伝わりますか?

17時からはバーベキュースタート。ATUホールディングスの社員のみなさんは、とても仲がいい。愉しい時間はあっという間に過ぎますね。

経営者である岩崎さんご夫妻とパシャリ!

とても幸せで、有意義で、愉しくて…。ご縁があったことに、改めて感謝する1日でした。岩崎さん、本当にありがとうございました。

中小企業診断士としてプロコン活動をしていると、クライアント様の酒宴やイベントにお呼ばれすることがよくあります。僕は、こうしてお呼ばれすることは、信頼・信用されているバロメーターだと思い、可能な限り参加させていたいています。

今日も本当に素敵な1日でした。

 

 

投稿日: 2022年4月25日 | 5:13 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【68】

【コンサルティング品質の条件…「実績表示の是非」】

経営コンサルタントを名乗る業者や、中小企業診断士が意外と「コンサルティング実績」を公表していることに驚かされます。例えば、ホームページやブログに「弊社のコンサルティング実績」と題して「売上拡大◯◯%達成」や「顧客獲得数昨年比◯◯人達成」などと、あたかもコンサルタントの実績のように記載している現象です。

自称コンサルタントなら…さもありなんと思う程度です(気を悪くなさらないでほしいのですが…)。僕の周囲にいる経営コンサルタントの先輩は、決してそんなことはなさらない。しかし、中小企業診断士自体がそんなことをインターネットなどで公開していると、怒りを通り越して呆れてしまいます。

その輩は、広告手段として「コンサルティング実績」を公開して、自らの手柄化しているのでしょう。しかし、この行為自体がブランディング価値を落としていることを認識した方がいい。

断言しましょう。コンサルティング支援先の定量的成果(業績、売上・利益、客数・客単価など)は、100%クライアント先の実績です。

コンサルタントは支援者でえあり、サポーターであり参謀役であり助言者であり、共感者でしかない。これから、コンサルタントしての価値を上げていきたいと考えている中小企業診断士の皆さん。

あえて自分の価値を落とすような”恥ずかしい”公表は絶対にやめましょう。コンサルティング実績を我が手柄としなくても、お仕事の依頼はありますから。

投稿日: 2022年4月21日 | 5:05 am

”らしさ”の追求を…

中小企業のブランディング戦略について探究していると、社風や会社の空気感がブランディングに多大な影響を与えることに気づかされます。中小企業は小さな所帯であるため、社風は社員の業務活動や成長、モチベーションに大きく影響するからです。

人間にもその人独特の雰囲気やオーラがあるように、中小企業にもそれぞれの色や空気感があるものです。その空気感が、とても風通しの良いものであるならいいのですが、業績主義の会社によくありがちな「圧迫感」は百害あって一利なし!です。

中小企業経営の社風を形成する秘訣は「らしさ」の追求だと考えています。我が社らしい空気感。我が社らしい価値観。我が社らしい戦略…。すべて「らしさ」を追求することで個性が創出されます。

らしさは、ブランディングの方向性を決めていくヒントになるのです。

「らしさ」の追求は、メンバー個々人のキャラクターを伸ばすこともできます。個性を大切にする企業風土は、萎縮感が出ずに伸び伸びとした風土を形成します。

萎縮感漂う企業風土は、結果的に業績向上に限界を迎えるものです。

らしさを追求し歓迎できない会社は社員(メンバー)の成長を妨げ、会社の成長を妨げます。僕が以前勤めた会社もそんな会社でした。結局その会社は消滅…。優秀なスタッフから会社を去っていきます。

らしさは、適材適所の人財配置戦略の源になります。

らしさを歓迎し、らしさを追求し、らしさを伸ばす会社…。そんな会社に勤めたいものですよね。

投稿日: 2022年4月20日 | 5:08 am

いい季節になってきましたね…。

初夏の匂いがしてきた今日この頃…。気温的にとてもいい季節になってきました。趣味の空手も稽古のたびに半端ない汗をかき、その後のシャワーとビールがすこぶるうまい…笑。そういう意味では、大好きな季節です。

長引くコロナ禍は、中小企業経営に多大な負の影響を与えました。しかしながら、収束の気配は確実に高まってきており、通常の(コロナ前の)経済状況に(完全ではないですが)戻ることを祈念しています。

アフターコロナを見据えた経営戦略を立案すべし…この主張は以前から発信していますが、準備状況の進捗が成否を分けることになるはずです。

さて、私事ですが弊社コンサルオフィスが、第7期の決算月を迎えております。おかげさまで、クライアント様のご縁に恵まれ、過去最大の業績で着地できそうです。

不思議なもので「叡智を導き、人幸福の企業経営を支援します」という理念をブレずに実行していくと、価値観が共有できる経営者とご縁があるものです。

価値観が共有できる経営者へのコンサルティング支援は本当に愉しい。中小企業診断士は、「経営者と共に夢を追いかけることができる仕事」だと改めて思います。

5月以降第8期に突入します。第8期は末広がりのシーズンにすべく、あらゆる意味で突き抜けたいと思っています。

秋には、中小企業のブランディングに関するビジネス書を出します。セミナー講師も積極的に取り組み、我がコンサルティング価値観を情報発信していきたいと思っています。

投稿日: 2022年4月19日 | 5:09 am

中小企業経営者のARIKATA学【経営者のリスペクトファクター…7】

【中小企業経営者はプロデューサーではない!】

経営資源に乏しい中小企業経営は、ひとり何役という役割やミッションに取り組んでいく必要があります。専門職ばかりの中小企業経営は、運営に限界がやってきます。大企業ならまだしも、中小企業は経営全体を観察できる幹部の存在が不可欠となります。

経営者は、社長業というものに専念する必要があります。経営の全責任は経営者にあり、メンバー(役員除く)には責任がありません。ですから社長業とは企業の舵取り(方向性を示す)を担うことです。

しかしながら、時々プロデューサーに徹している経営者を見ます。これはとても危険なことです。例えば、思いつきで判断した戦略を「宣言するだけ」の現象です。まさに打ち上げ花火だけ打ち上げることを宣言すること。

このような思いつきの戦略を次から次に宣言する経営は、現場が混乱してしまいます。現場が混乱すると、経営者の宣言は「社長の思いつきが、またはじまったよ…」などと白けた雰囲気ができて、立案した戦略が一向に進まないのです。

しかも、その戦略が「損得に基づいた判断」であればなおさら…。損得勘定の戦略は、ほとんど頓挫しますから。

あくまでも経営理念にマッチした戦略か?経営者は吟味してから、宣言し指示命令を伝えるようにしましょう。

中小企業経営者はプロデューサーではありません。プロデューサー的スキルは必要ですが、経営というチームで仕事をする時、さまざまな制約条件を受け入れて想定しながら、戦略立案することが必要なのです。

投稿日: 2022年4月18日 | 5:50 am

中小企業経営者のARIKATA学【経営者のリスペクトファクター…6】

【専制ワンマン経営の末路】

中小企業経営は、人を見つめて人を育て、人を活かす経営だと改めて思う今日この頃です。経営者(特にオーナー経営者)であればあるほど、自社を我がことと思い経営していく傾向があります。当たり前ですが、中小企業は経営者の器で決まるといっても過言ではありません。

中小企業は基本的にワンマン経営です。逆に言うと、ワンマン経営でなければ機動力が発揮できずに、機会損失(チャンスロス)を招きかねません。

ただし…です。企業規模が社員数10人以上を超えてくると、ワンマン経営をレベルアップさせ、周知ワンマンにステージを変える必要があります。

幹部を育て、幹部の意見に耳を傾け、幹部会議機能を充実させて合議制を取っていく経営です。この辺りから、企業規模の成長度合いに差が出てきます。

つまり組織の支柱となる幹部を育成しているか…育成していないか…。大きな分水嶺となるのです。

いざとなった時に、頼れる人財を長期的な視野に立って育成しましょう。幹部の育成自体は、経営者の仕事です。幹部が育つ土壌は、「専制ワンマン」か「周知ワンマン」かによって大きな違いが出ます。

日頃から幹部と対話して、意見をよく聞き、できるだけ現場の所見を反映させる意思決定が大切です。

経営者が幹部を信頼しないと、その幹部は経営者を信頼しません。信頼されていないと感じる人財は、それ以上育って行きません。

専制ワンマン経営の末路は、幹部人財が育たずに企業の成長を止めてしまうのです。

投稿日: 2022年4月12日 | 5:18 am