中小企業診断士が手掛ける経営改善計画書

【経営改善計画書は、収益構造改革を具体的に!】

先日のこと。ご縁のあった新しいクライアント様の企業で、以前中小企業診断士が策定した経営改善計画書を拝見しました。正直は感想ですが、そのあまりにも説得力性が欠ける内容に愕然としました。

特徴は、主な改善内容はコストカットに徹しています。コストカットも、企業の体力を削ぐような内容になっていのです。はっきり言いますが、中小企業のコストカットは、企業の体力を著しく削ぎます。特に投資型(未来型)コストは、「闘えない会社」になってしまうリスクを覚悟しなければなりません。

過去の処理を主な生業とする、税理士や公認会計士が策定した経営改善計画書ならまだしも、中小企業診断士が手掛ける経営改善計画書は、その出来栄えを意識しなければなりません。

つまり、収益構造の抜本的改革を「具体的詳細に」策定する必要があるのです。

具体性に欠ける収益構造改革は、全く説得力に欠けます。金融機関の欲するまま、返済計画の条件変更(リスケ)を目的とした経営改善計画書は、正直全く価値がありません。

収益構造改善計画として、

「新しい販路先を開拓する」とだけしか記されていない計画書…。アクションプランが全く分かりません。戦略というのは「何を、どこへ」。戦術として「どんな手段で」を明記しないと全く説得力がないのです。

「仕入れ先を工夫する」…これも意味がわからない。どんな仕入れ先に、どのようなアプローチをし、どのような提案をして、どのような物をいくらくらいで仕入れる…。そのように記載しないと説得力に欠けませんか?

投稿日: 2022年4月11日 | 5:56 am

社員第一主義経営の難しさと価値

恩師、坂本光司先生の研究によると、日本の中小企業の中で約1割の企業が「好況不況に関係なく断続的に黒字を継続している企業であり、その共通点が社員第一主義である」と言います。

この社員第一主義という究極の経営戦略は、一歩間違えると大失敗してしまう諸刃の剣でもあります。まず大切なのは、経営の覚悟でしょう。社員第一主義は、経営者の覚悟なしではありえません。真の意味で「いい会社」にしていきたいという覚悟が絶対条件です。

また、長期的視野に立った言動が要求されます。目の前の業績に囚われない、長期的な視野でのモノの見方考え方が必要になります。

何よりも、社員第一主義の捉え間違いは大失敗を招くので気をつけたいところです。

社員第一主義は、社員を甘やかしたり、高い給料を払ったり(それも重要ですが)、社員のいうことを全て導入したりすることではありません。

何よりも「愉しんで仕事に取り組む仕組み・ガイドラインをつくる」「意見が言いやすい、伝えやすい、報告・連絡・相談しやすい社風をつくる」…何よりモチベーションを上げるための取り組みが必要なのです。

しかし、これがなかなか難しい。経営者は「内(社内)より外(お客様)」に目が行きがちです。顧客第一主義に賛同する経営者は多い傾向がありますが、社員第一主義はなかなか賛同しない。

しかしこれこそ、中小企業経営の王道。いい社員でないとお客様にいいサービス(価値)を提供することはできません。

投稿日: 2022年4月7日 | 5:37 am

情報を『価値』に変える接客術

先日のこと。あるクライアント先での営業会議に参画しました。その企業様は、人財が揃ったとても新進気鋭の企業です。経営者も社員想いが強く、コロナ禍で多少の苦戦を強いられていますが、これから盛り返しをするため虎視眈々と「次の一手」を立案中です。

さて、営業会議上で担当課長から「苦戦するのは商品知識が不足しているから…」という言葉がありました。

すかざず小生が修正・補足的に発言したのですが、「商品説明とプレゼンテーションは根本的に違うので、気をつけましょう」という具合に…。

この認識は極めて重要です。

例えばアパレル小売業の場合。この商品の素材や生産国、特徴などよりも、お客様は「素敵か?」「かわいいか?」「美しいか?」「似合っているか?」に興味を持つモノです。

それを高揚感を持って伝えることこそ、プレゼンテーションの極意であり、プロのなせる技というモノ。

商品の知識は、そのプレゼンテーションを補完する情報に他なりません。

これが「情報を『価値』に変える接客術」です。営業や販売活動は、製品に会社の想いを付加した「価値」を伝えて成約に結びつける活動です。そのため、熱意が大切ですし、何よりも高揚感が必要です。

特に中小企業経営の営業・販売活動は、価格競争を回避した高付加価値商品のプレゼンテーションです。自信を持って高価格提案を行い、成約に結びつけましょう。

そのために、弛まぬ高品質経営への普段の努力が必要なことは言うまでもありません。

投稿日: 2022年4月6日 | 5:12 am

組織構築(チームづくり)を早急に!

中小企業経営専門のコンサルタントとして現場を駆け回っていると、組織(チーム)づくりよりもビジネスモデルづくりに注力している経営者が多いことに驚かされます。以前、「何よりも大切なのはゼニカネだ!」と公言していた経営者を知っていますが、そこに働いている社員が幸せだったか?甚だ疑問でした。まあ、その経営者は、社員ごと会社を売り飛ばしましたから、さもありなんです。

さて、中小企業経営にとって経営戦略の軌道的立案と実行は、とても重要な強みと言えます。ところが、組織(チーム)の基盤か強固なのもでない場合、せっかくの打ち手が実行されません。

なぜなら、戦略立案も戦略実行も全ては「人財」がなせる技だからです。

コロナが落ち着きを見せるこの頃、これから攻勢をかけていこうとする中小企業もきっと多いことでしょう。

新しい戦略であればあるほど、実行のカロリーは高い。そしてコストもかかります。皆様の会社は、ウィズコロナに備えた組織づくりに着手していますか?

組織づくりは、何よりも「自主性・主体性」を備えたモチベーションが高い人財が集まったチームづくりに他ならない。

中小企業経営にとってのリスクは、機会損失(チャンスロス)です。チャンスロスを回避して機会をモノにするのも「人財」。戦略を立案するのも「人財」です。

人財の集まりが組織(チーム)です。そもそも経営は人が主人公。

今こそ社員を大切にして、強固なチームづくりを着手しましょう。できているならば、同じ志を共有してさらなる強い価値観共有を図りましょう。

投稿日: 2022年4月5日 | 5:11 am

フランチャイズビジネスの失敗リスク

長引くコロナ禍が、ようやく収束の兆しを見せています。ここに来ると、これまでの護りの経営から「攻めの経営」に転じたい!と思う経営者も多いはず。事業家であれば、事業を拡大していくための攻めを今すぐ立案・実行してきたいと考えるのは、ごく当たり前です。また、そうでないと中小零細企業の経営者としては「?」がつくものです。

ところが、この攻めの方向性を間違ってしまうと取り返しのつかないことになりかねません。あるいは、多大な投資の失敗をしてしまう可能性もあります。

たとえば、コロナ禍で収益が悪化したために、リカバリー戦略として「手っ取り早く稼げるビジネス」(実際はそんなものありませんが…)に手を出そうとします。よくありがちなのが、フランチャイズビジネスです。フランチャイザー(本部)は言葉巧みに投資話をしてきますよ。あたかも手っ取り早く儲かります…のような。

はっきり言います。中小企業経営の事業の柱として、フランチャイズビジネスを安易に始めるのは避けた方がいい。

事業(高付加価値経営)の柱がしっかりと存在し、サイドビジネスとしてスタートするなら話は別ですが…。

大方の中小企業は、そんな余力などないのが通常です。

中小企業経営の最大の強みは、無限の打ち手と機動的な判断が可能なこと。フランチャイズビジネスは、手枷足枷をつけられオンリーワン戦略の立案と実行がほぼ不可能です。

どうしても…と言われるなら、あえて止めませんがフランチャイズビジネスを安易にスタートさせるのは、相当なリスクを覚悟しましょう。

 

投稿日: 2022年4月4日 | 5:01 am

ブランディングとは『さすが』と言われること!

企業ブランディングを研究・探究している立場から言うと、中小企業経営のブランディング戦略が間違った解釈をされていることに違和感を覚えています。ブランディングとは、おしゃれなパッケージや鋭いコピーを付加することではありません。

それは「ただの見せ方の工夫」であり、ブランディングの本質はそんなに浅はかなものではないのです。中小企業経営はブランディングの追求であり、経営理念は最強のブランディングコピーであること。これは再三にわたり述べて来ているところです。

ブランディングは、商品やサービスの素敵な見せ方や伝え方を磨くという”点”で展開するものではない。企業全体の努力(品質や社会貢献性、雇用や業績など…)である立体的な取り組みなのです。

つまり「さすが!」と言われる企業経営をすること!

経営者の皆様、御社は「さすが!◯◯会社」と言われる評価を周囲からもらっていますか?

経営理念に沿った日々のオペレーションを実直に推敲した結果、また「正しい経営」をブレなく実行していった結果、業績は安定していきます。または向上していきます。

すべては一時的な、短期的な取組によるものではありません。

毎日毎日の積み重ね、実直で継続的な長い長い取り組みの中で培われるもの…それがブランディング経営なのです。

社員から、取引先・外注先から、お客様から…そして地域社会から…。「さすが!」と言われる経営を実現しましょう!

ブランディングが実現すれば、永続発展できる企業体制が構築できるのです。

投稿日: 2022年3月28日 | 5:02 am

組織構築の失敗リスク

【ご褒美的昇進人事の末路】

中小企業経営も軌道に乗り、安定してくるとスタッフ・メンバーの数が増えていく傾向にあります。特に拡大路線をとる経営方針には、なおさら増員がつきものになります。雇用を創出することは、企業の社会的責任ですから、社員が増えること自体はとても価値の取り組みです。

社員が増えていくと、人事戦略が付きものになってきます。

人事戦略を実行していく上で、最大の失敗リスクを紹介しておきます。

それは「昇進・昇格人事」です。つまり、役職者や幹部を決める人事のこと。あるあるな失敗人事は、相応しくないジンザイを幹部に登用してしまう人事です。

この失敗例は、実に厄介です。一度与えられた役職を剥奪するのは、なかなか難しい。組織全体に与える影響は計り知れません。

ですから昇進人事は慎重に吟味して、決断を下しましょう。

時々、ご褒美的昇進人事の失敗例を見ます。仕事の功績を挙げた社員や、社歴の長い社員に役職を付与するというもの。

この末路も厳しい。

昇進人事は、マネジメントスキルとリスペクトされる人間性の両面で、長期的な服務態度や功績を勘案して決定していきたいものです。

メンバー(あえて部下と言います)からリスペクトされないジンザイを役職者にした場合、組織崩壊を招く事態になりかねません、

一度壊れた組織を修復するには、多大な労力とコストがかかることを覚悟する必要があるのです。

幹部人事は、中小企業経営にとって趨勢を決める戦略です。

投稿日: 2022年3月25日 | 5:26 am

COUTION!怪しげな経営セミナー

インターネット時代の到来は、さまざまなビジネスモデルを産み出しました。経営者向けや経営コンサルタント向けのセミナー、勉強会も増えました。また、昨今のコロナ禍においては、オンラインセミナーという新しいカタチも実現させました。

最近特に思うのですが、経営セミナーやコンサルタント向けセミナーの多様性です。

経営セミナーのほとんどが「ITツール」の紹介や「ITツールの使い方指南」への誘いを中心とするセミナーです。

経営は「やり方」ではありません。「あり方」が問われる取り組みです。ですので、経営セミナーも「あり方」を学べる勉強会がおすすめ。ただし、宗教の匂いがするセミナーは避けましょう。受講する意味がありません。

ベターなのは、事例が学べるセミナーです。成功事例や失敗事例がふんだんに盛り込まれた内容です。

マーケティング戦略の難しい理論やフレームワークの使い方などは、書籍を読めば十分です。

経営コンサルタント向けのセミナーも同様です。よく目につくのが、「クライアントの開拓方法」とか「顧客接点の作り方」また、「クライアントの増やし方」といった全てが「やり方」を学ぶというもの。

経営コンサルタントにとって、もっとも大切なファクターは、コンサルティング・サービスの品質(クオリティ)に他ならない。

「簡単に顧客開拓の手法が身に付く…」など魔法のような手法があったら、きっとノーベル賞ものではないでしょうか?笑

コンサルティングクオリティを磨くことができる…。とか新しいコンサルティングノウハウを学べる…。その手のセミナーこそ、参加する価値があると思われます。

投稿日: 2022年3月24日 | 5:56 am

中小企業経営者のARIKATA学【経営者のリスペクトファクター…5】

【たまには足元を見つめ直す時間を…】

経営者は忙しい。これは当たり前です。誰よりも働き、誰よりも奔走するのが経営者のミッションだからです。しかし、経営者は「たまには、足元を見つめ直す時間や機会を大切にしたいもの」です。

経営者は付き合いによって、ゴルフや宴席もあるでしょう。人間関係の良好な構築も、経営者の立派な責務だと思います。

ここでいう”足元を見つめ直す時間”とは、「読書」や「講演会」、そして「ベンチマークのための小旅行」などを指します。

ゆっくり経営に関する書物を読み、経営者としての心に栄養を注入する…。

講演会やセミナーに赴き、情報収集を兼ねた刺激を受ける…。

市場調査を兼ねて、競合商品の動向を観るため小旅行してみる…。

そんな余裕を持ちたいものです。

経営者の言動は、社員のモチベーションに多大な影響を与えます。経営者に余裕がないと、社内の空気感がせかせかしていきます。良い結果を招くことは、ほとんどありません。

逆に、経営者の言動に余裕が感じられると、発言にも説得力が増します。

社員も余裕を持って業務にあたることができ、ミスやクレームの低減につながります。

時間は全世界の人に与えられた、唯一の平等ファクターです。社長業に没頭して、余裕のない判断をしてしまうより、物事を客観的に見つめることができる時間的・思考的余裕を持ちたいものです。

優れた経営者は、人生を愉しむ達人でもあります。余裕のある颯爽とした言動が、社員・メンバーのリスペクトを産んでいきます。

投稿日: 2022年3月23日 | 5:10 am

できない理由でなく、できる方策を考える…

とあるクライアントの営業戦略会議での席上。なかなか実績が上がらない営業担当課長が、「競合他社の価格競争に辟易している。これでは、我が社の商品は太刀打ちできない…」という発言がありました。

また度重なるコロナによる人流抑制も重なり、外部環境による影響も大きかったのでしょう。気の毒な点も理解できます。

しかし…。営業部長の責務は、自社の価値を販売し、売上・粗利益を稼いでくることです。

できない理由を並べ立てるより、「できる方策」を考えるべきです。当然、コンサルタントとして参加していた僕も、そのように伝えました。

中小企業経営も同じことが言えます。経営者と話をしていると、「◯◯があるから、⬜︎⬜︎ができない」という発言が出てくるのです。

経営は航海のようなもの。大波が来たり、海が時化たりするものです。時には暴風の中を必死で進むこともあるのです。

できない理由を並べるのは、ある意味簡単です。大切なのは「ではどうするか?」なのです。

経営は打ち手の連続です。打ち手があり限り、現状打破の可能性はある。

もっとも危険なのは、打ち手がなくなること。競合他社の低価格攻勢や、大手企業の品揃え攻勢ではないのです。

現状を打破するには、知恵を絞り打ち手を考案し、優先順位をつけて実行。トライアンドエラー(試行錯誤)していくこと。

いつの時代も、どんな環境下においても「敵は内にあり」と心得て、戦略実行していく企業が生き残れるのです。

投稿日: 2022年3月22日 | 5:30 am