大手同業他社を意識する経営戦略

中小企業経営と大企業経営は住んできる世界が違う…この言葉は、恩師・坂本光司先生から教えられた言葉です。

中小企業診断士として、経営の現場を駆け回っていると、この言葉の意味を心から噛み締めます。同時に、大企業(大手企業)の取り組みを、過度に意識している中小企業経営者が意外と多いことに気づきます。

「効率化」や「IT戦略」、「大規模品揃え」そして「価格競争」…。正直言って、この言葉事態の脅威はとてつもなく大きいものを感じます。

中小企業経営戦略は真逆。「非効率を価値にする」、「ハンドメイド」、「商品特化戦略」そして「価格主導権」…。大企業が取らない戦略を取っていくのです。

ですから、我が道をブレずに進むことが最も大切です。大手企業のオペレーションを、過度に意識することはありません。

一見うあらやましく見えますが、彼らが「人を大切にし、幸せにする正しい経営」を実践しているとは限らないのです。

「新しい価値を創る努力」「社員のモチベーションを上げる努力」「仕入れ先・外注先と連携する努力」をブレずに継続していく。

はっきり言いましょう。大手企業の経営戦略は、達観するだけで十分です。参考にすらならない。

参考にするとすれば、同規模同業者の成功事例のベンチマークです。

昔、中小観光旅館のスタッフに、研修と題して「リッツ◯ールトン」に視察にかせたコンサルタントがいましたが、何の参考にもならなかったでしょう。時間とコストのムダです。

我が道をブレずに進んでいきたいものです。

投稿日: 2022年3月18日 | 5:33 am

SDG’sと中小企業経営について想う…

最近の「SDG’s」(持続可能な開発目標)とか「ジェンダー」(性区別を解消する…合ってんのかな?笑)という言葉。考え方はとても素晴らしいと思いますし、そういった社会になれば人々はもっと幸福になる…のではないかと思っています。

しかし、SDG’sやジェンダーに過度に偏った企業戦略を立案すると、戦略自体がブレてしまうことになりかねません。

実際にSDG’sに関してもさまざまな角度から専門家が所見を発表していますし、正直言って賛否両論が存在しています。

僕自身、どちらということではなく中立的な考えで、賛否どの理論も一理あると思っています。

ただ、現実的に企業経営を見つめる仕事を生業としている立場からすると、「理想論」であり「詭弁的」の感は否めません。

否定しているわけではありませんよ。念のため…。

ただ、中小企業経営においては別です。取り組んだ結果が、たまたまSDG’sに沿っていたという現象はあり得ると思いますが、「SGD’sありき」の経営戦略はナンセンスです。

商品開発をする場合も、過度に「SDG’s」に偏った考え方を採用すると、ブランディングがブレまくり失敗します。

正直言って「SDG’sやジェンダーは意識こそすれ、ブランディング戦略の根幹をなす考え方にはならない」というのが僕の結論です。

中小企業経営戦略は、結局のところブランディング戦略である…僕の揺るぎない主張ですが、SDG’sに偏りすぎるとブランディングが成功する可能性は低減します。

 

投稿日: 2022年3月17日 | 5:09 am

DX依存の危険性

DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉…一見かっこいい取り組みのように聞こえますよね。しかし、中小零細企業経営に照らし合わせた場合、そこには大変な危険性を孕んでいることを認識しましょう。

背景はAI(人工知能)を駆使した技術です。そのため、管理や効率化に関しては強みを発揮しますが、創造や開発の根幹支援は無理です。

技術的な専門家ではありませんから、今後この技術がどこまで発展するかは未知数です。

ですが、経営はある意味「クリエイト活動」であるということが言えます。新しい価値を創造していかないと、企業経営は存続成立できません。

クリエイト活動に対して、安易にDXを導入しようとすると、中小企業経営はダメージを喰らうことになりかねません。あくまでも、「効率化重視」「価格競争重視」「大規模品揃え重視」の大企業ならまだしも、ハンドメイドで価値を創っていく中小零細企業にとっては、不具合を招いてしまうのです。

以前にも書きましたが、効率化重視経営は中小企業戦略にマッチしないし、価格競争は最大のタブーです。

中小企業は「心のこもったハンドメイド商品で、フェイストゥフェイスの暖かい商売」を推進していくことが重要なのです。

DXが相応しいのは後方支援。つまり、作業と呼ばれるタスクの時間短縮や効率化。効率化された時間を、価値創造に充てていきましょう。

DX推進業者の安易な言葉に乗せられて、過剰な投資にならないよう気をつけたいものです。

投稿日: 2022年3月16日 | 5:42 am

経営者は最大のリクルーターである!

人財採用と育成は、中小企業経営にとってとても大切な課題であり、困っている企業も多いのが現状です。中小企業経営においては、しっかりとした人事部が機能するにはマンパワーやインフラが整うことが大切ですが、これはなかなか難しい。

人財のリクルートは、中小企業経営の根幹を形成する戦略です。ですので、最大のリクルーターは経営者であるということが言えます。

面接は、何度も実施しましょう。できれば、簡単な文章力(書く力)とプレゼン力(話す力)を測定しましょう。簡単でいいのです。

自己PRや作文の採用試験を実施する。そして、面接は最低三度実施します。できれば、職場体験(インターン)などを施しましょう。

最終的には経営者が面接します。経営者は、経営理念をしっかりと語り、理念の共感性を測定してください。

新卒は意外と簡単です。水が砂に染み込むように、さまざまなことを吸収していきますから。

問題は中途採用です。中途採用こそ、しっかりと面接し理念共感性を測定したい。ここで間違うと、あとでさまざまな問題要因を抱え込むことになります。

年齢を重ねれば重ねるだけ、価値観というものはシフト不可能になってくものです。

とにかく、経営者は中小企業にとって最大の看板(顔)です。経営者の姿勢や価値観、経営理念や方針を明確に指し示し、リクルーティング活動に活かすようにしましょう。

いい経営者には、いい人財が、いい会社には、いい人財が自然と集まってくるものなのです。

ブランディングと一緒の考え方です。会社の品質を上げていくことが、人財力を上げる最大の戦略なのです。

投稿日: 2022年3月15日 | 5:58 am

『値決め』は中小企業経営の命である!

中小企業経営戦略における最大のタブーは、「価格競争」です。同業他社と、あるいは大手企業との価格競争は、”百害あって一利なし”。できるだけ安い値段で…という発想は、中小企業経営では歓迎されません。

中小企業経営の値決め判断の前提条件は「できるだけ高く」であることに間違いはありません。

そういう意味では、『値決め』は中小企業経営の命である!ということが言えます。

同じように、中小企業診断士(経営コンサルタント)も「安く売って薄利多売の戦略を実施しましょう」などという提案をするコンサルタントは、付き合わない方がいい。

「高く売って利益を上げましょう!」というコンサルタントが正解です。

商品を高く売るためには、「間違いのない高品質」であることが前提条件です。高品質が、高価格の裏付けとなり、高付加価値を実現する…これをブランディング戦略と言います。

中小企業経営は、まさにブランディング経営。他にはない、お客様が欲しがる、とても希少な…。そんな商品を開発(あるいは仕入れ)し、お客様に高く買っていただく。結果、高粗利(高付加価値)を実現することです。

これは、とてもカロリーが必要な企業の取り組みです。不屈の信念と覚悟と継続性が求められます。小手先やテクニックでは成立しない、足腰から鍛えるような戦略なのです。

ブランディング戦略に成功したら、中小企業経営にとって最大のアドバンテージ『価格決定主導権』を握ることができます。

投稿日: 2022年3月14日 | 5:11 am

金融機関の存在価値って???

相変わらずですが、金融機関の横暴をよく耳にします。先日のこと…僕の大切なクライアント様で実際に起こったことです。

金融機関の助成担当から、短期借入金の借り換えの条件として「先月の試算表の提出をお願いします」と言われたそうです。しかし、申し出があったのは当月5日までという無理な難題。取引が複雑な中小企業は、先月の試算表を当月5日までに準備するなど、到底無理な難題です。

しかも、その申し出はかなり上から目線で言われたようで、さらに、「言った言わないを解消するために、会話を録音しましょうか?」とまで言われたようです。

もはやここまで来れば、中小企業を金融面から応援する地方銀行の存在価値はありません。

ただの金貸しに過ぎない。ここまで、地に落ちたというべき対応は、AI(人工知能)の発達ともに、終焉を迎えるでしょう。

金融機関はこのことを肝に銘じておくべきですし、定性的評価を見ない(見ることができない)のならば、中小企業を金融面から支援するなどという行為は無理です。

融資先は金利を払うお客様です。お客様に対する接遇・接客から、見直さなければならない。もちろん全国津々浦々。融資先に真に寄り添って支援しているバンカーもいるでしょう。

お金貸してやりから、言うことを聞きなさい…というような対応はもはや通用しません。

横柄な対応しかできない金融機関は、市場から淘汰されることを肝に銘じましょう。

さらに、「あたかも融資できます!」のような大口を叩いて営業かけるのは辞めましょう。融資審査が通らなかった時の残念感は大きいですし、徒労に終わりますから。

投稿日: 2022年3月11日 | 5:43 am

幹部がメンバーから目標とされるような会社

企業成長を図るひとつの指標に、社員数(正規・非正規含む)と言うものがあります。企業の社会的責任の一つに「雇用」というものがある以上、やはり企業は結果的に社員が増員されることは喜ばしいことであると言えます。

一方で、なかなか社員が増えない、あるいは「転職形退職者」がけっこういるような会社の問題点に、「幹部がメンバーから目標とされていない」よいう現象があります。

事例として「幹部になるインセンティブが働かない」…というもの。つまり、「この会社で幹部なることは悲劇だ!」と思われるような現象です。これでは企業は社員数が増えていきません。なぜなら幹部が育たない決定的な要因になるからです。

経営者が俗に言うケチな場合、幹部への人件費をケチって「幹部なっても給料が安い」ことになってしまうともっと悲劇です。

また、幹部が責任ばかり取らされて権限を付与されない現象もあります。

どんな組織も「責任と権限は同等」に付与すべきであり、責任ばかり追求されるようでは、「幹部なりたい」というメンバーが育ちません。

経営的なオペレーションとしては、幹部になれば「責任と同等の権限を付与」して「メンバーから目標とされるような給与・賞与」を支給しましょう。

そんな会社こそ、魅力的な会社と言えます。

経営者は「人件費」や「人財育成」「社内の雰囲気やモチベーションアップ」に対して、ケチな思考をしてはいけまん。

「がんばれば、給料も権限も責任も与えられる会社」そんな会社を作っていきましょう!

投稿日: 2022年3月9日 | 5:55 am

価値の創造にチャレンジしていますか?

商売の本質は何か?「価値をお客様に与えて、お金をいただくこと」ですよね。ある意味、価値を想像していく行為そのものが経営なのかもしれません。

では価値はだれが決めるか?

それは経営者ではありません。ましてやスタッフ、メンバーでもない。自社が決める価値は、仮説でしかありません。

価値を決める主導権を握るのは、紛れもないお客様(市場)です。

その仮説を、定説に返還していくために「マーケーティング」戦略があると言ってもいいでしょう。

では、戦略の優先順位は「価値を創造することにある」と言えます。

「価値があるものとは一体何か?」ということですが、それは「お客様の感動・感激を実現させる商品・サービス」であると思っています。

ラーメン屋さんで言えば「うめえな!ここのラーメン」とお客様が反応するかどうか?

ホテルで言えば「とてもいやされるホスピタリティだな!」とお客様が反応するかどうか?

製造業で言えば「これはすごい!とてもいい商品だ!」とお客様が反応するかどうか?

そんな単純な反応が、価値のバロメーターなのだと思っています。

経営者の皆様、自社の経営において「価値を想像する取り組み」を戦略実行なさっていますか?競合他社の価格にばかり目が行き、自社の価値創造を怠ってしまうと中小企業は勝負になりません。

何度も言いますが、中小企業経営はブランディング経営です。

「高品質」商品の開発や仕入れこそが、ブランディングの根幹なのです。

投稿日: 2022年3月8日 | 5:28 am

中小企業が投資すべきプライオリティ

財務的制限が大きい中小企業において、投資案件は優先順位をよくよく考える必要があります。刻一刻と変化する社会経済情勢においては、機会を捉える準備を日頃から入念なく実行しておくことこそ大切です。

例えば、新店舗(営業所や支店を含む)を拠点展開しようとする時、立地条件や商圏の市場環境が良好だからといって判断を早めてしまうと、うまくいかないケースがよくあります。

うまくいかないとは、短期的には業績が好調な場合のことを言うのでなく、長期的に永続発展していくことを指します。

メーカーにおいて、機械設備に投資購入する場合も同じです。何を開発し、価値を産むか?の体制作りこそ大切なのは言うまでもありません。

つまり、企業成長を意図したチャンスをものにするための投資プライオリティは「人財づくり・人財育成」にあるのです。

したがって、まず投資すべきは「人材を人財に成長させるための各種仕組みや制度づくり」です。

銀行から好条件で新規出店案件を提案された時、判断基準は「任せる責任者がいるか?いないか?」ということになります。

言っておきますが、銀行をはじめとした投資案件を持ち込み提案する金融機関は、定量的情報(決算書など)でしか判断しません。

定性的情報(人財の存在やモチベーションなど)は全く無視してきますから、ご注意を!

経営はむしろ定性的情報ほど大切。現在赤字でも、人財さえいれば回復していきますから。

投資のプライオリティは、人財投資であることだけは押さえておきましょう!

投稿日: 2022年3月7日 | 5:06 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【67】

【コンサルティング品質の条件…「診断士の全盛期」】

小生現在51歳。今年2022年は6月には52歳になる予定です。今のところ健康体ですから、おそらく何事もなければ52年目を迎えることができるでしょう…笑。

50代は経営コンサルタント(中小企業診断士)として、もっとも油の乗り切った世代ではないか…。棒はそう思っています。社会人としておよそ30年という年月は、辛い経験や愉しい経験をひととおり味わってきました。

また37歳で門を叩いた法政大学経営大学院では、人生のリセットに相応しい学びができました。ご縁をいただいた大勢の方々には、心から感謝する日々です。

僕は診断士をはじめとした経営コンサルタントには、全盛期があると信じています。それが、50代であると考えています。

もちろん、足腰を鍛えて弛まぬ学びを継続している方々、愉しく生きて心身ともに健康な方々には、コンサルタントとしての健康寿命はいくらでも延長できるでしょう。

しかし、人間には必ず老いがやってきます。

老練のコンサルティング支援をクライアントに提供できるためにも、日々の研鑽に励みたいものです。

具体的には、現場に赴くことができる健康的な身体と、五感を研ぎ澄ませた現場観察力…。これはマストです。

また、話に耳を傾ける傾聴力と執筆力(文章を書く力)も必要でしょう。

しかし何より大切なのは、コンサルティングの情熱でしょう。クライアントのお役に立ちたいという、熱いハートは何歳になっても磨き上げたいものです。

投稿日: 2022年3月4日 | 5:02 am