中小企業経営者のARIKATA学【自社の正しい現状認識】

【中小企業と大企業の違い】

日々大勢の中小企業経営者と触れ合っていると、考え方に特徴的な要素を感じることがあります。価値観は多様ですから、良いとか悪いとかの線引きはできません。当たり前ですが…。

しかし時々ですが、自社を大企業のような錯覚をお持ちの経営者に出会うことがあります。スタッフが50人を超えても、立派な中小企業です(小売業、資本金が5千万円以下の場合)。

中小企業の経営は、大企業のそれとは全く違うパラダイムとアクションが必要となります。

全方位型、豊富な品揃え、価格戦略…どれをとっても大規模な戦略を仕掛けるのが大企業です。なぜなら、経営資源が豊富だからです。

ヒトもモノもカネも、そしてジョウホウも…。

中小企業はそうはいきません。ものの見方考え方に、根本的な違いがあります。

一点集中型、高品質な品揃え、高付加価値戦略…大企業とは正反対の戦略なのです。

このような違いがっても、自社が豊富な人財や商品に恵まれていると勘違いなさっている経営者を、ときどき発見いたします。

経営は「やり方」ではなく「あり方」で勝負が決しますから、中小企業経営者であれば「あり方」をマッチしなければなりません。

大企業病(あえてそう言います)に陥った経営者は、自社のマネジメントを間違ってしまいます。特に、中小企業経営は「人本主義」を取ること。

人を大切にし、人が活躍できる環境を整えること…。つまり、メンバーの可能性を十分に引き出すマネジメントを取るのです。

投稿日: 2021年12月1日 | 6:36 am

打ち手がなくなるリスク

中小企業経営は、リスク(危険性)との共存です。波のように次から次に押し寄せるリスクを、どう回避し、どう受け止めて前に進むか?が問われる営みです。

リスクの種類は様々です。経営資源別に分析すると、

⒈  ヒト:人材採用や育成のリスク…まずもって採用できない、結果人材不足に陥る。思ったように育成できない、結果戦力にならない。また、せっかく育った人財が退社していくリスクもありますね。

⒉  モノ:商品や製品のリスク…思ったような品質ができない。そもそも商品開発(仕入れ)が困難。オンリーワンの商品が揃えられない。競合他社から模倣されるリスクもありますね。

⒊  カネ:資金繰りや内部留保のリスク…業績悪化による事業資金の枯渇リスク。また、資金繰りや回収のリスク。カネは事業の血液であり、リスクも深刻です。

⒋  ジョウホウ:知的財産や情報管理のリスク…ノウハウの漏洩や非効率管理のリスク。目に見えない資源のため、優先順位が低くなりがちですが、このリスクマネジメントはとても重要です。

このように様々なタイプのリスクに囲まれる中小企業経営ですが、最大のリスクは「打ち手がなくなる」ことです。

つまり、万策尽きて戦略が立案・実行できないこと。

もしも、戦略実行の打ち手がまだまだあるならば、企業存続の望みはあります。

長引くコロナで、万策尽きたと経営を断念する企業・事業も多い。経営はリスクとの共存…常時リスクを想定しながら、ブランディング戦略を実行していく姿勢が求められるのです。

投稿日: 2021年11月30日 | 5:25 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【56】

【中小企業診断士の成長プロセス 〜診断士の基本的提案思考ー3〜】

中小企業診断士は、プロの経営コンサルタント国家資格ですから、当然報酬をいただいて仕事をします。報酬と言うのは、コンサルティング支援サービスの対価ですから、その価値が高ければ高報酬をいただくことができます。

ただし、国家資格ホルダーたる中小企業診断士は、巷の自称経営コンサルタントと一線を画して、「一定の社会貢献」をしていく必要がると”勝手に(笑)”思っています。

具体的には、専門家派遣などを快く引き受けて、報酬が難しい中小零細企業への支援も、誠心誠意対応する…などです。

経験を言うと、以前上司だった自称コンサルタントは、仕事の内容や価値よりも「報酬」を気にするような輩でした。その言動の稚拙さ、チープさに辟易としながら業務にあたっていた訳です。

「その仕事、いくらで引き受けたの?」これが、当時の上司にコンサルティング契約の報告をした際の言葉です。

中小企業診断士は、「報酬ありき」のコンサルティング提案をしてはいけません。経営コンサルティングは、サービス業です。

サービス業というのは、極上のサービスの上に報酬が成り立つ仕事です。「極上のコンサルティングサービスの先に、フィー(報酬)がある」この提案思考をもつこと。

例えば、予備調査なども積極的に引き受けて「仮説立て」し、仮説が浮かばないコンサルティングの仕事は引き受けないことです。

コンルティングは、課題解決のための個別具体的な仮説を立てて、地道に仮説を実証検証していく作業とも言えるのです。

投稿日: 2021年11月29日 | 5:47 am

『顧客接触率』という考え方

企業全体のブランンディングを確立し、全体戦略で生き抜く中小企業経営において、売上を上げていくための重要な指標として『顧客接触率」というものがあります。

つまり、直接部門(営業部や販売部)における業務時間内の、顧客様に接触しプレゼンしたりご案内したりする時間の比率のことです。

計算式は、(顧客様に接している時間)/(業務時間)です。8時間勤務のうち、顧客様に接している時間が1時間ならば、12.5%ということになります。

この顧客接触率の「顧客」は、厳密にいうと顧客様(つまりファンやリピーター)のことを指します。「たまたま客」ではなく「わざわざ客」のこと。

この顧客接触率を調査すると、驚くような結果が出ることが多い。

顧客接触率をアップさせるためには、外商営業なら「移動手段と時間の効率化」や「報告書やレポート、請求書など事務処理の効率化」がマストになります。

小売業などの対面販売ならば、「品出し」「陳列」などの作業や「5Sなどの間接作業の効率化」を図っていく必要があります。

最低でも、50%の顧客接触率を実現したいところ。そうすれば、売上は確実に拡大していきます。

顧客をつくり、顧客を育て、接触時間を作り、提案時間を創出する…このための具体的手法を考案して、営業活動・販売活動に取り入れてみてください。

苦戦する売上業績を打破する戦術が、きっと立案できるはずです。

中小企業はブランディング戦略がカギ。ブランディングが実現すれば、顧客に支えられます。顧客様の絶対数が、中小企業経営基盤の正体であることを忘れてはなりません。

投稿日: 2021年11月26日 | 5:57 am

社員の不満を増長する要因

社員満足度を高めて、モチベーションを上げ、生産性を高める…この手法は近年急激に主張されてきた概念です。一昔前(約20年ほど前くらいでしょうか…)までは、顧客満足度のみが主張され、高い給料を払えば社員はモチベーションが上がる…というロジックが一般的でした。

僕は、法政大学経営大学院の門をくぐり、坂本光司先生の「中小企業経営革新論」を受講してから「社員満足度の重要性」を痛感し、コンサルティングの現場でも実証・検証中です。

逆に、社員がどんな点に不満を持つか?この概念を理解していないと、本当の意味で社員満足度を高めることはできません。

明確に主張してきますが、社員は「給料面」や「待遇面」などにさほど不満を持つことは少ないのです。今現在、ブラック企業と呼ばれる企業は、いくら業績面が良くても、社会的に評価されることはないですし、給与面も最低賃金制度(賛否ありますが)で、極端な低賃金はナンセンスな時代になりました。

では、社員は何に対して不満を持つのでしょうか?もっとも優先順位が高い「不満ポイント」。それは、「不明確な制度や仕組み」と「情報の不共有」に他なりません。

例えば、「人事考課制度が不明確」「人事制度自体が不明確」「賞与算定基準と計算方式が不明確」「委員会の内容が不共有」「社内プロジェクトの内容が不共有」「会社の業績が不明確」…など。

このような不明確な要素ばかりの経営は、社員がシラけてしまい、モチベーションが上がりません。

中小企業であればなおさら、ガラス張りの経営が推奨されますし、不満を解消し一体感を醸成する重要な要素なのです。

投稿日: 2021年11月25日 | 5:40 am

”燃える会議”を実践していますか?

中小企業経営における会議について、思うことがあり今回の記事を書きます。中小企業診断士として、様々なクライアントの各種会議に出席しています。その中で気づくことが多い内容です。

人的資源に限りがある中小企業経営においては、会議もできるだけ効率化し、スリム化し、無駄な時間を削って、さらにモチベーションが上がる内容にしなければなりません。

会議と報告会、ミーティングは全く違う概念でして、会議というのは「会して議する」と書きます。そのため、議論することが大切になります。

中小企業における会議の種類、内容を列挙しておきますので、参考にされてください。あくまでも基本型です。

経営会議(役員以上の会議)…自社の最高意思決定会議。主に中長期的な案件や企業の方向性を議論して、決定する会議。

幹部会議(部門長以上の会議)…自社の短期的な案件を議論し、決定する会議。決定事項は、末端まで情報共有する。

部署会議(各部の会議)…各部署のミッションに向けたPDCAを回していく会議。

以上です。基本的に会議は、月に一度で十分です。多すぎる会議は、精神的・業務的負担が大きい。

そのほかは、報告会とミーティングで十分なのです。

さらにいうと、経営者や経営幹部が一方的に訓示(というより、叱咤しまくる)する会議は全くもってナンセンスです。

中小企業経営は、何よりメンバーのモチベーションが重要です。会議自体も、「会議後からまた頑張ろう!」と参加者が思う会議でないと、開催の意味がありません。

投稿日: 2021年11月24日 | 5:07 am

賞与でモチベーションを上げる?

賞与(いわゆるボーナス)は、社員にとっても会社にとってもありがたい制度だと認識しています。経営者にとっては、人件費がかかって「必要悪」という認識をされている場合もありますが、この考え自体間違っています。

賞与という制度を活用して、社員のモチベーションを上げないと、経営者とは言えません(言い過ぎか…笑)。

賞与に関しては、ぼくも苦い思い出があります。つまり、「もらってモチベーションが下がった」思い出です。

当時の幹部からは、突然メールで「川﨑くん、君の夏の賞与は◯◯円になるから。」と知らされました。

「ん?当初の約束と違うな…」と思い、「算出根拠(計算式)を教えてください。」と尋ねました。答えは「・・・・・・・。」「そんなのないよ。」でした。

こうなると、賞与自体のありがたみも何も感じません。

中小企業経営は、メンバーのモチベーションこそ大切なファクターであり、業績決定要因のひとつです。賞与という機会で、メンバーのモチベーションアップを図る…。これが基本です。

そのためには、賞与の算出根拠(明確な計算式)を決めて公開します。その後、決定した額をアナウンスする時に、面談を設定しましょう。この面談によって社長(スタッフ50人以上ならば、経営幹部)との大切なコミュニケーションが成立するのです。

面談は「社員に対する感謝の気持ち」「賞与の額と算出根拠」「業務対する評価と次のステップへの課題感」などを共有し、明るい雰囲気で進めてください。

メンバーとの絆が、強まる瞬間をはっきりと実感できますよ。

投稿日: 2021年11月22日 | 5:12 am

中小企業経営者のARIKATA学【経営者のパラダイム(考え方)】

【言動の根源はパラダイムである】

中小企業経営者のあるべき姿を考察するとき、人物の考え方が実に多様なことが分かります。経営者は、社員を一人でも雇用した瞬間から、大きな社会的責任を付加して背負うことになります。「社員とその家族を幸せにする」という責任です。

中小企業経営は「家族ではないが、家族的でなければならない」。家族は、喜びも悲しみも楽しみも苦しみも分かち合いますよね。

中小企業経営者は、まずそこのパラダイムをブレなく持つ必要があります。

ところが、中小企業経営の現場を駆け回っていると、結局のところ業績主義・損得勘定の価値観がまだまだ蔓延っていることに気づきます。

そのパラダイムは、日々至る場面で言動として表面化します。

中小企業の社長の言動は、社員のモチベーションにダイレクトに直撃しますから、考え方(価値観)を確立してブレない精神力が必要となります。

経営の全責任は社長が負っています。ですので、様々な経営に関わる障壁は、社長自らが招いた現象であると言っても過言ではないでしょう。

つまり、メンバー(社員・幹部)の言動は、社長の責任ということなのです。社長、貴方にはその実感はありますか?

社員の失敗は、トドのつまり社長の失敗なのです。失敗を責めるよりも重要なのは、失敗の原因を探り、対処法を考案すること。

「こいつはダメだ…」と思う社員がいても、それは社長(経営者)の責任です。全て社長が背負い、会社を運営していかねばなりません。

ですから、強靭な精神力とブレない考え方が必要なのです。

投稿日: 2021年11月19日 | 5:11 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【55】

【中小企業診断士の成長プロセス 〜診断士の基本的提案思考ー2〜】

中小企業診断士は、新しい価値を創造する(あるいはそれを支援する)専門家ですから、本人自体の価値を上げていく必要があります。あたり前ですが、本人の価値を上げられない診断士に仕事の依頼は来ません。

中小企業診断士の商品は何か?この問いに「ノウハウや知識」と答える診断士は、即刻パラダイムシフトをしましょう。中小企業診断士の商品は、当人そのものです。もっといえば、診断士本人の人間的魅力です。人間的魅力ない診断士は、”その道”で食べていくことはできないのです。

そもそも、考えてみてください。少数といえど中小企業診断士は、日本中に2万数千人が登録しているのです。その中でご縁があったクライアントに対して、誠心誠意尽力することは当たり前です。

明らかに言えますが、自らのノウハウや知識を押し売りすることではありません。

クライアントのニーズと、中小企業診断士の強みとそれに基づく”課題解決のための仮説”がマッチしたときに、はじめて仕事が発生し、報酬をいただくことができます。

理想はもちろん、顧問として契約し、クライアントの社外取締役として最適な意思決定を促す存在です。まさにそれは、経営参謀と呼ぶにふさわしい。

中小企業の経営参謀は、過去の処理を主な生業とする税理士でも公認会計士でもない。未来を創造することを生業とする、中小企業診断士であると断言できます。

 

投稿日: 2021年11月18日 | 5:50 am

大手ECサイトの活用是非

企業経営において、販売フェーズはとても重要です。いくら良いものを創った(仕入れた)としても、販売の出口戦略を考えないと、価値が「お金」に変わっていくとはないからです。

現在のようなインターネット社会において、販売形態は大きくイノベーションしてきました。つまり対面型ではない販売方式が開発され、普及し、一般の人がインターネットを通じて商売(ビジネス)に参加できるようになったのです。

同時に、大手のECサイト運営企業が誕生し、独自の企業ブランドを確立するに至りました。

そして、多くの中小企業が大手ECサイトを活用するようになりました。ここで、あえて提言したいことがあります。低価格路線で自社製品を販売していきたいならともかく、ブランディング(高品質・高価格・高付加価値)戦略を推進しようとするならば、大手ECサイトの活用は慎重に検討したほうがいい。

なぜなら、大手ECサイトは手数料がかなりの比重で課せられますし、当然のことながら価格競争にさらされることになるからです。

ブランド化を推進し、高付加価値経営を目指す中小企業経営にとって、理想のECサイトは自社のホームページに実装することです。

価格ではない訴求ポイントを自社サイトで紹介、プレゼンし、販売していくことが理想です。

中小企業にとってのECサイト運営の考え方は、「高いですよ。しかし高品質です。いかがでしょうか?」です。この考え方は、大手ECサイトでは、中小企業はほぼ不可能。

一定の予算を投下して、自社ホームページを活用した独自のEC戦略を構築しましょう。

投稿日: 2021年11月17日 | 5:28 am