中小企業の経営者像 【経営者?プロデューサー?】

中小企業診断士として現場を駆け回っていると、さまざまなスタイルの経営者とご縁があり、出会うことができます。基本的に、中小企業の経営者は、診断士にとって尊敬すべき存在だと思っています。

僕も一応、コンサルティングオフィスを株式会社形式で運営していますが、それは、中小企業の経営実態に少しでも肉薄したいという思いからです。会社を経営すると、さまざまな困難や障壁にあたります。

困難や障壁を克服することを”課題”と言います。中小企業経営は、まさに課題の連続なのです。

さておき、今回は「経営者とプロデューサー」という話をしましょう。

プロデューサーと化してしまう。これは現場型の経営者に多いパターンです。経営者がプロデューサーになってしまうと、社長業が疎かになってしまいます。

社長とプロデューサーとして言動できるのは、社員が自分一人の時まで。スタッフを雇用した瞬間に、経営は別の次元に入ります。

つまり、経営者は「社長業」も手掛けなければならなくなります。

社長業とは何か?経営資源「ヒト」「モノ」「カネ」「ジョウホウ」の戦略立案と意思決定、そして適性配分の最終判断に他なりません。

プロデューサー型経営者がよく陥る失敗に、スタッフ、メンバーの心が離れていくことがあります。経営者は、何よりもヒトに注力した戦略を意識して立案する必要があるのです。

つまり、人を採用し、育て、モチベーションを上げていく戦略です。これを怠ると、企業は成長・拡大とともに脆い基盤が出来上がり、不幸な結果を招いてしまうことになります。

投稿日: 2021年6月15日 | 5:51 am

中小企業経営に見る予防学

経営と人間の体や健康は、時として比喩的な表現で語られることがあります。資金は血液、経営陣は頭脳、取締役は右腕…などといったように。

昨今のコロナ禍を鑑みると、中小企業経営にとっても予防額がとても重要だということに気づかされます。つまり、リスク管理のことです。

経営にも病気があります。人間は、時として病気になった音の処置を一生懸命考えがちです。しかしながら、大切なのは予防学だと考えています。

病気にならないような体質作り。または、病気になったときの処置方法をシミュレーションし、備えておくことです。

中小企業診断士は町医者漢方医学¥であるべきというのは、僕の変わらぬ主張です。

このコロナ禍において特にそのことを考える機会が多くなりました。経営をしていると、様々な紆余曲折があります。課題なき経営は皆無と言ってもいいでしょう。

しかし、課題があるこそ健全と言えるのです。

注意したいのは、致命的課題の発生です。これは、予防により回避できます。中小企業経営における最大の予防は、人財の育成と財務管理でしょう。

つまり、ヒトとカネの問題発生に備えて準備をしておく。

人を育て、人財を育成し、理念を共有する。また、ギリギリの資金管理をするのでなく、自己資本率を日頃から可能な限り高めるような、オペレーションをしておくことが大切です。

中小企業診断士として、クライアントを支援する際に、特に予防学を念頭に入れて「戦略立案」「支援実行」していきたいものです。

投稿日: 2021年6月14日 | 5:26 am

何よりも志(こころざし)!

創業当時のメンバーが、何年後かに”袂を分かつ”事例は、じつは珍しくないことです。チームメンバーが、それぞれの道を歩んでいくことは、二つのプロセスを考えなければなりません。

ひとつは、ポジティブ・ファクター。円満な話し合いのもと、今後のビジネス連携などを構想して”絆”を結んだまま、進めること。

もうひとつは、ネガティブ・ファクター。何らかの不満点が沸点に達し、負の感情を持ちつつ退社してしまうことです。

ネガティブ・ファクターは、悲劇以外の何者でもありません。悲劇は極力避けるべきです。

この悲劇は、損得(給与・賃金)に関する不満が原因となっていることが多い…というのは、目に見えた要因です。

真の問題点は、実は他のところにあるのです。創業メンバーが、ネガティブ・ファクターによって退社する事例をいくつか研究すると、共通点が垣間見えます。

それは、創業当時の”志”を見失っているということ。それが一番大きい。

人間は損得(給与や賃金)だけに不満は持ちません。同じ志を共有できない、あるいは見失った時に”心が離れていく”のです。

経営は、何よりも”志(こころざし)”が大切です。志を明文化したものこそ、「経営理念」と呼ぶものでしょう。

なので、理念やビジョンが大切ですし、会議や研修の場でメンバー全員がその志を共有することが重要なのです。

定期的に経営課題を共有し、解決(PDCA)する会議が必要なのは、こうした理由からなのです。

投稿日: 2021年6月11日 | 5:59 am

中小企業診断士のスケジュール管理

プロコンとして活動しているということは、ある意味時間を切り売りしているものと同じであると考えています。ですので、いかに効率よくスケジュール管理ができるか?が問われる訳ですが、これがなかなか難しい。

なぜなら、相手のクライアント様にも”都合”というものがありからです。現在、僕のスケジュールは約1ヶ月半先のスケジュールが埋まっていく状況です。

しかしながら、月30日のうち可動(クライアント様の会社に出向き、コンサルティング現場で展開すること)しているのは、やく15〜16日。

つまり半月は、訪問をしていないということになります。このスケジュールで約14社のコンサルティング支援を展開しています。もちろん、月に2〜3回訪問するクライアントもありますので、なるほど忙しい訳です。

僕ばスケジュール管理を、あくまでアナログでしています。手書きの手帳(16年近く愛用しているヴィトンの手帳)を使っています。

支援後に、次回の日程を押さえ、その場で経営者に確認できるように”目の前”で記入するようにしているのです。

そうすると、ダブルブッキングによるトラブルを極力回避できます。

何度も言いますが、時間を切り売りするコンサルティングという業務は、スケジュール管理が大切。スケジュール管理をしっかりとしていれば、次回訪問に向けた準備も抜かりなくできます。

さすがプロ!

そう経営者に思ってもらえるような言動・基本動作は、コンサルタントにとって必須だということを認識しましょう!

投稿日: 2021年6月10日 | 5:47 am

ブランドコンサルタントが創る人事考課制度

俗に言う、人事考課制度は社会保険労務士などの法律家の専門分野と考えられがちです。しかし、僕は長年のコンサルティング経験の中で、法律家が作った人事考課制度の中で”唸るほど良くできた”仕組みというものを見たことがない。

法律家が作ると、得てして「血の通わない冷たい」印象の人事考課制度が出来上がりがちになります(すべての事例がそうではありませんよ。念のため)。

人事考課制度は、人材成長制度と言い換えてもいい。企業にとっての最大で最強、唯一の経営資源「ヒト」を磨き輝かせる未来指向型の仕組みであることを認識しましょう。

ですので、血の通った(使える)みとベーションが上がる制度を、丹念に精魂込めて作り上げるべきです。

もっとも使えない人事考課制度は「評価(過去の反省)」が中止になっている制度です。人が人を評価するというのは、とても難しい。

もしも、人格に問題のある経営幹部に評価される現場スタッフは悲劇です。僕は、サラリーマン時代に苦い経験があります。

「なんであんたに評価されなきゃならない?」と思うと、すこぶるモチベーションが下がるものです。まあ、その上司は部下を潰す名人のような幹部でしたが…。

したがって、人事考課(成長)制度は明らかに中小企業診断士や経営コンサルタントの登場領域です。

「人材が人財として成長し、企業ブランディングを経営していく…」この価値観を根底にした、未来志向型の人事考課制度。ブランドコンサルタントのなせる技を十二分に発揮して挑戦してもらいたいと願います。

今日も、あるクライアントで見ました。使えない人事考課制度。

考課項目自体が曖昧かつ総論すぎて、まったく成長プロセスが実感できませんでした。これで◯百万円のフィー(報酬)をもらっているから、始末に負えません。

クライアントには気の毒ですが、人事考課制度の制定は、パートナー(支援者)を含めてよくよく吟味して決定してください。

使えないものを作ってしまうと、捨て金になりかねません。

投稿日: 2021年6月9日 | 5:23 am

補助金申請で失敗しないために…

先日、地域密着経済団体の商工会のスタッフの方から相談を受けました。

曰く「補助金ありき(補助金をとるために)の事業計画書が、とても多い。その後の運営を危惧している。」と…。

僕のブログで主張していますが、補助金や助成金は「補助金ありきの考え方」では高い確率で失敗(事業が頓挫)します。

「新事業の計画を立案中に、たまたま補助金が適用された…。申請したら承諾されて運が良かった。」これこそが、健全な考え方です。

ちなみに現在、経済産業省のコロナ系事業用補助金「事業再構築補助金」第2回が公募中です(7月5日締め切り)。

僕のところにも、相談案件が3件ほど寄せられていますが、いずれも「補助金ありき」の事業ではありません。補助金は所詮、補助金です。

そして、補助金に依存した事業を継続的に運営している事業家がいるから困ったものです。

今回の事業再構築補助金も、補助率は2/3が基本。1/3は自主資金が必要なのです。

また、事業は事業計画や各種戦略が中心であり、柱です。「どれだけ補助金を申請して、ゲットしようか?」と目論むと大失敗します。

補助金申請を成功報酬で請け負うコンサルタント(中小企業診断士含む)の方々、後々のトラブルに充分注意して契約してください。

ちなみに僕は、絶対に成功報酬型契約は結びません。あくまでも、申請書策定料金の工数を割り出して固定報酬で仕事を受けます。

その方が健全ですし、その後の支援も気持ちよくできます。

千載一遇のチャンスとばかりに、補助金に群がるような愚行は避けたいものです。

投稿日: 2021年6月8日 | 5:27 am

ホームページをカスタマイズしました!

中小企業診断士をはじめとした、経営コンサルタントを生業とする人は、何より自らのコンサルティング理念を発信していく必要があります。なぜなら、ご縁のあるクライアントに対し、価値観を共有することが何より大切だからです。

また、コンサルタントは約10万人ほどいると言われています。まさに玉石混合の状態です。

コンルティングはサービス業ですので、クライアント社長や社風とマッチするかがとても重要になるのです。

ホームページやSNSを活用して、情報を発信していくことが何よりオンリーワンの主張に結びつきます。

今回、僕のホームページをカスタマイズしました。「動画で語る」というサイトを付加して、中小企業診断士の実際や仕事とのご縁、姿勢やマインドのあり方について、語りました。

このシリーズは、一定の期間でコンテンツを増やしていこうと考えています。

ご興味ある方は、是非ご覧ください。

http://www.eichi-con.com/movies/

 

ここまで、ご協力いただいた友人の山下くん、野村さんに心から感謝します。ありがとう。

 

 

投稿日: 2021年6月7日 | 5:08 am

結果を評価される人々

以前勤めていた会社でのこと。経営者が言いました。「仕事は結果が全てである!」。う〜ん。ある意味かっこいい言葉に、納得するはずが、なんかモヤモヤ感があります。

その会社はセミナーとして、プロ野球選手を招聘したりしていましたから。何だか頷けます。

これは僕の主観ですが、結果を評価されるのは「経営者」だけです。一般の現場スタッフは、結果ばかりを評価されては、たまったものではありませんよ。

一般社員は、明らかにプロセス評価をされるべきです。

結果が全て…を宣う経営者は言いました。「結果とは業績、売上。働かざるのも食うべからず!」と。では聞きましょう。関節部門の方々「総務や事務職」などは、どんな結果評価をするのですか?

プロ野球の世界に生きる人々は、完全に結果を問われます。結果を評価される指標(数字)も明らかになりますから。

しかし、企業に勤める社員は、結果ばかりを評価されると疲弊していきます。何よりも、現場スタッフのモチベーションが大切です。

モチベーションが上がる瞬間は、成長プロセスを実感している時です。

ですので、評価は成長プロセスを辿っていることに焦点をあてるべきなのです。

人事考課で成長プロセスを、明確にして具体化した評価基準をつくることが重要です。

ちなみに、結果(業績や売上)が全て(その当時は、”水揚げ”と表現してました。仕事は漁ですか?笑)という組織・チームは、将来いいことがありません。それは歴史が証明しています。

投稿日: 2021年6月3日 | 5:02 am

中小企業診断士に営業をかけてくる輩

先日のこと。弊社のホームページからメールが届きました。ある、メディアからの営業メールです。最近、そのような営業電話やメールが多い…笑。

内容は「メディアを使って、クライアントを開拓してきませんか?クライアント獲得や開拓にお困りでしょう?」的な文言から始まります。

中小企業診断士がクライアントの獲得や市場開拓に困っているというのは、通説ですので、そのような営業案内が来るのも理解できます。

が…、どっこいこちらは経営コンサルタント。中小企業診断士ではありますが、14社のクライアントを現場で支援しているプロです。

よく考えてみてください。

マーケティング戦略を指南する専門家である診断士(プロコン)が、マーケティングで悩むなどあり得ますか?もしそうなら、とても恥ずかしい。

中小企業診断士は、中小企業経営の問題・課題解決に奔走する専門家です。そして、課題を抱える中小企業は無限にあります。それならば、お仕事で困るという事態はあり得ないでしょう。

つまり、クライアント獲得の仕方・やり方などをいくら試したところで、それはナンセンス。

仕事を獲得できないのは、”あり方=姿勢やマインド、ハート”に問題があるのです。「あり方を研究・追求」する勉強会などは、大いに参加・活用する価値があります。

最近、「ホームページを充実させてクライアントをもっと開拓しませんか?」「チャットボットを使って自動的に営業できるようにしませんか?」「メディアに出演して、価値をあげませんか?」などの営業が本当に多い。

僕に提案してもまったく検討の余地はありませんから、他をあたってください。といいたいですね。

 

投稿日: 2021年6月2日 | 5:38 am

いまどきの営業戦略会議

およそ25年前に遡ります。当時コンサルティング会社に勤務していた僕は、先輩コンサルタントと一緒にあるクライアントの営業会議に参加しました。

クライアントは、地元の工務店でした。社員数は50人ほどの会社でした。念のため…ですが佐賀の会社ではありません。

ある営業マンが、営業部長に吊し上げられます。まったく営業成績が上がらないその営業マンは、結婚したばかりの30歳くらいでした。

営業部長「◯◯くん。今月も実績ゼロだねえ。一体どうするの?」

営業マン「すみません。一生懸命訪問して説明しているのですが…。」

営業部長「今月は見込みどうなんだ?」

営業マン「見込みはあるのですが、決定まではまだ…。」突然のことでした。営業部長が突然キレて。「売れないなら、てめえで買え!」

このあとのやりとりは伏せますが。この時の風景を僕は忘れることができません。ただ、経営コンサルタントとして大変勉強になった出来事でした。

以前は、精神論で販売や営業に圧をかける会議が主流でした。ある意味、本当に平気でパワハラが横行していました。

本来営業戦略会議は、科学的にマーケティングを展開する建設的な会議であるべきです。そして、営業スタッフが燃えるようなモチベーションを上げる会議が望ましい。

中小企業診断士として「人幸福の企業経営」を追求していくことを信念としている現在、25年前のような。悲劇的な営業戦略会議を撲滅してきたいと、心から思います。

 

投稿日: 2021年6月1日 | 5:24 am