”こだわり”は、ブランディングの重要ファクターである。

あなたの会社が取り扱う商品やサービスに、”こだわり”はありますか?

これは、ブランディング戦略を立案する際に、経営者に必ず尋ねる重要なヒアリング項目です。高品質に寄るべき中小企業経営において、”こだわり”を最大の武器に変える、イノベーション力が問われていきます。

問題は、その”こだわり”がお客様に求められているものであるかどうか…です。お客様が求めていない”こだわり”はただのウザい代物に過ぎません。この”こだわり”は、USP(Unique Selling Proposition)と呼ばれ、絶対的な強みに変貌させることができます。

絶対的な強みは、そのままトンガった特徴として、価格競争を回避する高付加価値経営実現のための重要な味方になってくれます。

中小企業経営の目指すべき戦略は、ブランディング戦略に他なりません。ブランディングに成功すると、高付加価値(高粗利)経営が可能になります。高付加価値経営は、中小企業経営を劇的に改善させることが可能になります。

ですので、我が社で追及すべき”こだわり”部分を抽出して、USPに変換する作戦を立案しましょう。もしも、”こだわり”のファクターが思いつかなかった場合は、商品(サービス)の開発段階から、”こだわり”部分を付加するようにしてください。

何の”こだわり”もない、中小企業の商品はたちまち大企業の「大規模品揃え(MD)」や「大量仕入れによる低価格戦略」に対抗できません。

投稿日: 2020年10月16日 | 6:01 am

中小企業経営戦略のタブー 

中小企業の経営実態と、大企業のそれは根本的に違います。大資本を持って経営戦略を展開する大規模企業は、そもそも経営資源が豊富であり、実は戦略立案や実行がスピーディです。

中小企業が機動力を生かせるように思いますが、それは意思決定が早いだけのこと。資本に乏しい中小企業は、知恵(叡智)を駆使して、高付加価値経営を展開していくことが重要になります。

中小企業経営の戦略の基本は、いつもいいますが「高品質、高価格、高付加価値経営」に他なりません。

逆に言うと、低品質、低価格、低付加価値経営は、タブー(禁じ手)なのです。

まず、低品質ですが「安かろう、悪かろう」は絶対に商売になりません。お客様は、すぐに敏感にその品質(出来栄え)を感じ取ります。低品質な商品は、リピートが来ません。ただ一度のお買い物で終わり…の傾向があります。

中小企業経営は、リピート客の開拓と確保こそ命題なのです。

次に低価格戦略ですが、価格競争は絶対に避けるべき戦略です。低価格戦略は、必ず利益を圧迫します。利益の圧迫は、キャッシュフローの枯渇につながります。つまり、低価格戦略は、低付加価値戦略を招き”全く儲からない”商売になってしまいます。

儲からない商売は、成り立ちません。企業は結果として、儲からないと経営の意味がありませんから。

例えば、飲食店の場合も「こだわり抜いた食材と器にで提供される、感動的に美味しい料理」をお客様に出す訳です。その際も原価を的確に算出し、高付加価値経営を実現するような価格設定をします。

高付加価値経営は、高粗利経営と考えてください。適正な粗利益率を確保するための品質と価格設定を、間違わないようにしていただきたいと思います。

 

投稿日: 2020年10月15日 | 6:31 am

多様な人材がいる会社

会社には、実に多種多様な特徴のメンバーがいます。経営者は、その個性ある人財を操る手綱を取り、存分に能力を発揮してくれるような社風と仕組みを作ることが求められます。

過去に見てきた経営者で、「とにかく稼ぐことができる社員が好きで優遇する」人がいました。なるほど、経営は稼いでナンボ!利益は結果であり、結果が全てのプロの世界では稼ぐことこそ価値がある…その考えも理解できないわけではありません。

会社は役割分担で成り立っています。稼ぐことが優遇される社風や仕組みでは、ギスギスした雰囲気を形成しかねません。事実その会社は、営業成績が上がる社員の給与が高い仕組みを作っていましたから、稼ぐことが苦手な社員は、”虫けらのような扱い”を受けがちでした。

人財の強みを伸ばし、せっかく縁があって入ってきた社員が、存分に動き回り能力が発揮できるような仕組みづくりは、先述しましたが経営者の役目です。

稼ぐことが全ての人事考課制度を時々見ますが、”ロクでもない幹部が蔓延る”傾向があります。出てくる(頑張る)社員の活躍を歓迎するような、社風が形成されないからです。

かつて所属した会社の社長の言葉が忘れられません。「賞与は、業績(回収)額によって決定するから」。

小生は、その社長に尋ねました。「計算式を教えてください」これは当然の疑問ですよね。その社長(コンサル会社のトップですよ)は、答えをはぐらかすばかり。結局は、”鉛筆ナメナメ”で決めていたのですよ。何をか言わんや…です。

そのような社風の会社の末路は悲惨です。人財が退出する(辞める)傾向を作り、人財が育たず、結果として業績が頭打ちになります。

多種多様な人材がいて結構!人財の強みを活かし、伸ばし、活躍するようなステージを作ること。これが経営者の大きなミッションなのですから。

 

投稿日: 2020年10月14日 | 6:20 am

『燃える人事考課制度』のメカニズムー11

【評価要素の抽出・創出方法】

評価要素というのは、人事考課の評価視点というべきものです。つまり、そのメンバーの”何を”評価するのかという大変重要なキーワードです。キーワードですので、”見出し”的な分かりやすい文言を抽出します。

ではどこから抽出するのか…?それは紛れも無く”経営理念”や”行動基準”からに他なりません。人事考課は、評価がそのまま経営理念の体現や実現にベクトルが向かっていることが重要なのです。

例えば…建設業の中小企業の場合

経営理念が「我が社は、質の高い技術と品位ある顧客対応で社会の大切なインフラを構築していきます」であった場合、評価要素(案)として「質の高い技術」や「品位ある顧客対応」を抽出することができます。

他にも…食品製造業の場合

経営理念が「我が社は、お客様の笑顔溢れる幸せのために、美味しさを追求し続けます」であった場合、評価要素(案)として「美味しさを追求し続ける」を抽出できます。

経営理念の実現のためには、行動基準が必要です。つまり社員・メンバーとしての行動の”約束事”です。

例えば…アパレル企業の場合

お客様のために「私たちは、お客様の人生を豊にするオシャレを提案し、新しい自分発見のお手伝いをお約束します」という行動基準の時。

評価要素(案)として「人生を豊かにするオシャレの提案」や「新しい自分発見のお手伝い」が抽出できます。

評価要素というのは、「何を持って評価するのか」という”What”を明確にするものですから、設定を間違わないようにすることが大切です。

この評価要素は、理想として9〜10項目の抽出を推奨します。考課・評価する要素は全体で12項目がマックスだと考えています。あまり多いと考課者のモチベーションが下がりますし、あまりにも少ないと考課点数が偏ってしまうものです。

投稿日: 2020年10月13日 | 6:12 am

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【39】

【中小企業診断士が成すコンサルティングサービス:パートプロジェクト】

中小企業診断士として、クライアントの経営参謀を務め、戦略会議や経営会議のPDCAを回す支援をしていると、様々な経営課題が発生します。経営は課題発生の連続です。その課題は、中小企業診断士として向き合わなければならない命題です。

その場合、パートプロジェクトという形で期間契約を新たに結び、新して解決することになります。パートプロジェクトは、実に様々な課題解決命題があります。無限と言っても過言ではないでしょう。中小企業診断士は、連続発生する課題を「それは専門外ですから…」と言って避けるわけにはいきません。

経営者の不安を、少しでも和らげることから始めることが大切ですから、お悩みを聞いた瞬間に”ある程度”の「解決仮説」を描き、提案することが大切です。

専門外でのお悩みでも、”我関せず”という発言は、経営者の信頼を得ることはできません。むしろ、参謀役として失格です。

望ましい発言としては、「今お答えするには、確証がありませんので、後ほどお答えします」です。そして必ず、速やかにプロとしての見解をお伝えすることが大切です。

さて、パートプロジェクトを支援する場合、期間と内容を示したガントチャートで進捗管理をしていきます。またゴールイメージを明確にします。

小生もこれまで様々なパートプロジェクトを支援してきました。実例をお示ししましょう。

◉新商品開発プロジェクト  ◉人材採用・育成制度導入プロジェクト  ◉人事考課制度策定プロジェクト ◉経営改善計画書策定・金融機関交渉・リスケジュールプロジェクト  ◉M&A、分社化プロジェクト etc.

中小企業は課題の連続…。中小企業診断士は、身近な経営の相談役(町医者)として、どれだけクライアントの課題に寄り添い、解決支援するか…が試されているのです。

パートプロジェクトの特徴は、単に”診断”して助言したり経営資料を策定する仕事ではないことにあります。つまり、何かを”創り出す”クリエイティブ力が試される仕事であることを認識しましょう。

投稿日: 2020年10月12日 | 6:25 am

『燃える人事考課制度』のメカニズムー10

【評価項目の設定】

評価項目というのは、考課(評価)をする際の大枠のカテゴリのことです。一般的な考課制度における評価項目とは、「情意評価」「能力評価」「業績評価」などです。

「燃える人事考課制度」では、評価項目も定型的に固定しているわけではありません。固定してしまうと、業務の実態に添わない考課制度ができてしまうからです。例えば…総務系の仕事に従事しているスタッフが、業績評価をされることは何かと不具合が生じていきます。

総務や経理は、間接部門であり直接お客様と接して、収入を得てくる部門ではありません。そこで安易な人事考課制度では、「情意評価」に重点を置いてしまいます。そのこと自体は否定しませんが、総務系だからといって情意評価ばかりにスポットを当ててしまうと、偏った考課制度になります。

ちなみに情意評価とは、仕事に対する姿勢やマインドを評価する項目で、ただでさえ測定が困難です。

では、「燃える人事考課制度」における評価項目(例)を紹介します。

「期待成果の評価」…いわゆる定量評価(業績評価)です。

「経営方針貢献の評価」…単年度経営絵計画書内の役割分担にどれほど向き合ったか?を測定します。

「チーム(組織)貢献の評価」…チームの一員としてあるべき言動を評価します。

「お客様貢献の評価」…お客様に対するマインド、接遇、接客、CS向上への取り組みに対する評価です。

「知識・スキルの評価」…業務遂行力向上のためのナレッジや能力の成熟度を測定します。

ひとつの事例ですが、このように5つの評価項目を設定することで、評価要素を抽出しやすくなります。ただし、業務の内容によって評価項目も応変する必要があることの注意しましょう。

投稿日: 2020年9月29日 | 11:01 pm

100点満点の経営なんてありえない。

人間は、完璧な存在などありえませんよね。企業経営も同じです。完璧な経営などこの世に存在しないのです。ときどき、経営者とお話ししていると(特に経営幹部に多い現象のですが)、「我が社の経営は全くなってない…」という言葉をときどき聞きます。

はっきり言いますが、経営に100点満点なんてありえません。人間も会社も、悪いところ(表現は良くありませんが)を引きずりながら歩いて行っているのです。

特に経営においては、いったん立ち止まり、課題を解決してから歩き出すなんてことは不可能です。日々、経営資源たる「ヒト、モノ、カネ、ジョウホウ…」は流動的に動いているのですから。

経営者は、走り続けなければなりません。経営は、ゴールのないエンドレスのマラソンのようなものです。

ただし、立ち止まることや逆戻りができない、厳しいマラソンです。そして、競争する相手は自分(自社)です。まさに「敵は内にあり、味方も内にあり」です。

このようなことを鑑みると、100点満点の経営を目指すより、及第点(60〜70点)を実現しながら、末長く経営して行った方が健全です。

中小企業経営は課題の連続です。次から次に迫る経営課題には、時に真っ向から解決することに組み合わずに、サラリとかわして(放っておいて)前に一歩進むことも一案です。

健全な経営の発想は「一足飛びに躍進する」ではなく「三歩進んで二歩下がる…やっと一歩進む」です。

一歩ずつ進んでいき、積み重ねて振り返れば大きく躍進していることに気づくはずです。

投稿日: 2020年9月24日 | 10:23 pm

山積する課題にウンザリするとき…

中小企業経営は課題の連続です。問題・課題のない経営は存在しません。逆に言うと、課題があるだけ健全なのです。

経営会議などに参加してファシリテートしていると、課題の多さ・大きさに少々ウンザリする瞬間があります。そんな時には、全てを同時に解決する発想を捨てることが重要です。

”あれもそれも、どれもこれも”などと、同時にソリューションしようとすれば、それだけ神経をすり減らしますし、精神衛生上良くありません。また、コストや時間も余計に費やしてしまいます。

大切なのは”優先順位付け”です。解決の優先順位をつけて、各個撃破していくことが大切です。優先順位は、まず「カネ」に関わる問題と「ヒト」に関わる問題を比較して取り組みます。

致命的な「カネ」(例:資金繰りや資金ショートが迫っている状態の回避)は最優先事項です。経営の血液たる「カネ」が亡くなってしまえば、失血死の状態に陥ります。

もし、緊急性の高い「カネ」の問題でなければ、解決の優先順位は明らかに「ヒト」の問題に向き合いましょう。

社員のモチベーションや組織構築の崩壊につながりかねない社内の問題は、経営者が祖先して取り組むべき緊急課題です。

カネの流出よりも、ヒトの流出の方が経営にとって最も痛恨です。人財が中小企業経営にとって、最大の経営資源であり唯一の財産だからです。

「カネ」も「モノ(商品やサービス)」も「ジョウホウ(ノウハウや知的財産)」も人財がもたらす産物にしか過ぎません。

優秀な人財さえ揃っていれば、お金を稼ぐことも、いい商品やサービスを開発・提供することも、ノウハウや知的財産を形成することも可能になるからです。

投稿日: 2020年9月22日 | 10:34 pm

『燃える人事考課制度』のメカニズムー10

【評価項目の制定】

評価項目は、大枠の評価カテゴリのことです。この評価カテゴリを間違うと、評価の視点がズレて「評価して欲しいポイントが外れ、評価しなくていいポイントで評価してしまう」という現象を招きます。

「燃える人事考課制度」では、評価項目を「チーム貢献の評価」「お客様貢献の評価」「知識・スキルの評価」をマスト項目として推奨しています(もちろん、絶対条件ではありません)。

よく、「業績評価」と「能力評価」「情意評価」という評価項目に分けている考課制度をみますが、この「情意評価」というのが曖昧になりがちです。仕事に対する姿勢を評価するのですが、情意評価として評価項目を設定する場合は、「行動観察」を基本とした評価基準を制定しないと”使えない人事考課”になってしまいます。

悪い例の典型) 情熱を持って仕事に向き合っているか?(1・2・3・4・5)…。

一体何を持って評価測定するのでしょうか?評価基準があまりにも曖昧で、測定できかねます。後述しますが、「評価基準」は”できるだけ分かりやすい(測定しやすい)文言を策定する必要があります。

「評価項目」も経営理念とリンクさせることがベターです。経営理念の中の行動基準(約束事)のベクトル(方向性)を評価項目とします。

おそらくそのベクトルは、社内(組織やチーム)と社外(お客様や関与先)に分けられると推察します。

さらに言えば、オリジナルの評価項目を設定することもお勧めです。経営理念の内容を吟味し、中でも最も大切にしたいフレーズを考課に落とし込む手法です。

例えば、「品質」が最も価値がある視点であるとすれば、評価項目に「品質へのコミット」として項目化するのです。

投稿日: 2020年9月20日 | 6:27 pm

道、とおき道 〜中小企業診断士の道しるべ〜

「この道より、我を生かす道なし。この道を歩く」(武者小路実篤)…。経営コンサルタントとして活動して、延15年。中小企業診断士として13年目に入りました。ただひたすらに、コンサルティングとクライアントの繁栄に注力して走った日々。

「この道より、我を生かす道なし。この道を歩く」という言葉が、身にしみて感じられる今日この頃です。

以前、「私は失敗したことはありません。」と宣う自称経営コンサルタントがいました。明確に断言できますが、十戦全勝という経営コンサルタントはこの世に存在しません。

うまくいくこと、うまくいかないこと…うまくいかない時に「どうするか?」を考え、次の手を打つ準備や提案をするのがプロのコンサルタントの使命でしょう。

もしも「経営コンサルティング道」という言葉があるとすれば、まさに”「道、とおき道」だなあ”と思う今日この頃です。

幸い、小生には敬愛すべき経営コンサルタントの先輩に恵まれました。諸先輩方は、どの人も人間として尊敬でき、コンサルティングのマインドやスキル、知識において「まだまだ太刀打ちできない領域におられる」方々です。

先輩方は「中小企業診断士」の国家資格を持ってる方ではありません。

プロの経営コンサルタントとして、自らの知識やスキル、ノウハウで勝負されている方々です。中小企業診断士として、国家から付与された資格を持って看板としている以上、その価値をもっともっと高めたい…そんな想いを強めて、「中小企業診断士のマインドセットーARIKATA」を綴っています。

全国で2万人と言われる中小企業診断士が、もっと中小企業の経営の現場に寄り添い、課題解決に奔走する…。小生の活動が、そんな道しるべでありたい…と願っています。

投稿日: 2020年9月15日 | 10:09 pm