コロナ禍がもたらす経営環境変化 〜会議の場合〜

昨今のコロナ情勢は、中小企業の経営環境に対しても大小の影響を及ぼすことは間違いないようです。特にインターネット利用による情報伝達手段は、「オンライン飲み会」や「Zoom飲み会」と言ったこれまでなかった文化をもたらしました。

中小企業経営の現場においても、オンラインを使用したミーティングなどが普及していくことでしょう。しかし、だからと言ってありとあらゆる会議が、オンラインという手法で成立するわけではありません。

一昔前に「TV会議」というものは流行りましたが、それほどの普及はなりませんでした。なぜか?やはり、大切な意思決定をする場合の議論(ディスカッション)は、同じ空気感の中で展開することが重要だからだと思います。

例えば、伝達事項で済むような簡単なミーティングや報告会などは、オンラインで十分ですし、コストをかけて移動するには非効率でしょう。社員が移動すれば、移動時間だけでコストです。これが削減できるのならば、導入をした方がいい。

しかし、何でもオンラインによる会議形態にしてしまうと、議論が深まらずに大切な意思決定に支障が出ます。

いつに時代でも、そんな場面でも、”想い”と伝え”想い”を受け取るような重要な会議場面では、フェイストゥフェイスのライブ会議が最も効果的ですし、間違いのない議論が可能になるのです。

経費削減や時間短縮、効率性を重視するあまりに、大切な経営会議をオンラインで実施しようという愚行をしないよう留意して欲しいものです。

投稿日: 2020年8月10日 | 11:01 pm

会計事務所(税理士事務所)との上手な付き合い方

創業したての零細企業でも、ある程度の売上規模になってきたら決算業務を会計事務所に委託することをお勧めいたします。税理士は全国に9万もいますので、どの税理士に依頼するかは悩みますよね。そして、会社の経営状態(業績や経営数値)を明らかにしなければならない、税理士との付き合いは慎重にならざるを得ません。

時々、税理士事務所とうまく付き合えないという(ほとんどが会計事務所への不満ですが)相談を受けることがあります。

税理士(会計)事務所は、明確に「提案型」をセレクトしてください。「うちの事務所は、経理代行と決算申告書を作るだけですから」と開き直る会計事務所は付き合うに値しません。

そして、会計事務所は金融機関と同じ感覚で付き合う方がベターです。

様々な会計上や利益、税金に関する相談を遠慮なく問い合わせる。その相談に真摯に対応してくれる事務所がお勧めです。

税理士(会計事務所)の得意分野といえば、資金繰りや経費管理、節税や納税と行ったところです。

しかし、それに加えて保険や設備投資などの提案をしてくれる事務所とは付き合うに値します。

厄介なのは、付き合ってみないとその会計事務所の特徴やサービス品質が測定できないことです。

経営コンサルタント(中小企業診断士)のセレクトよりも、もっと慎重に吟味した方がいい。

一度顧問契約した会計事務所から、他の事務所に切り替えるときは、会計ソフトや手続き、書類の統一などかなりの労力や手間を必要とします。

もちろん上から目線で、アドバイスしたりしてくる税理士は言語道断。お付き合いする価値すらありません。

投稿日: 2020年8月9日 | 8:20 pm

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【28】

【中小企業診断士のコンサルティング技術〜ベンチマーク〜】

自社企業の経営を振り返る時、ベンチマークという経営手法が役に立ちます。ベンチマークとは、「自社の経営戦略を改善するために、優良他社の手法や指標を参考にすること」を言います。

参考にした指標や手法は、自社の経営におけるそれと比較して、ギャップを分析し「取り入れるべきは取り入れる」ことが大切です。

中小企業診断士として現場でコンサルティングしていると、このベンチマークという手法がとても役に立つ技法であることが分かります。

ただし、下手なコンサルタントは大きなミスを犯してしまうことがあるので要注意です。

以前、こんなことがありました。

自称コンサルタントと、クライアントのコンサルティング支援について打ち合わせしていた時のことです。

クライアントは、京都にある観光旅館でした。

小生 「ベンチマークを取り入れて、スタッフの皆様に接客研修をしてもらったらいかがでしょう?」

自称コンサルタント 「もうやったから必要ないよ。」

小生 「そうなんですね。どこをベンチマークされたんですか?」

自称コンサルタント 「リッ◯◯ールトン!!」(ドヤ顔)

小生 「そうですか…」(苦笑)

はっきり言っておきますが、ベントマークという手法は「同規模同業他社のベストプラクティス(優良事例)」を実行しないと意味がありません。

ましてや、資本力も桁違いに差がある同業他社と比較しても、参考にも何にもならないのです。持っている経営資源が違うのですから。

中小企業診断士として「お役に立つ」ということは、できるだけ現場の実態に肉薄して、事実確認することがスタートです。

的外れなコンサルティングを提案して、クライアントに無駄な経費を使わせることがないようにしたいものですね。

 

投稿日: 2020年8月8日 | 10:54 pm

中小企業診断士のマインドセットーARIKATA【27】

【中小企業診断士の仕事開発】

中小企業診断士は、経営コンサルタントなので経営課題を解決する支援をすることがミッションとなります。ところが、本来のコンサルティングとは違う業務で生業を立てている診断士が、あまりにも多いような気がしています。

自治体からの調査業務受託、金融機関や信用保証協会からの経営改善計画書策定、経済団体(自治体や国)からの専門家派遣やセミナー講師…。このような業務も、中小企業診断士の立派な仕事だと思います。

ただ、定例的に訪問支援して、個別具体的な経営課題に向き合う現場型のコンサルティング支援が理想でしょう。

では、中小企業診断士がお仕事を開発(いただく)ことができるには、どうしたらいいでしょうか?

「私は中小企業診断士です。何か仕事をいただけませんか?」などと営業活動していく訳にはいきませんよね。

コンサルティングサービスが商品だと勘違いしそうですが、中小企業診断士の商品は「自分」です。

仕事を獲得するには、中小企業診断士としての技術よりも姿勢やハートを磨くことが大切です。

とはいえ、仕事を獲得するための戦略・戦術も存在するので、紹介していきましょう。

経済団体からの講演会やセミナーをきっかけにして、クライアントとのご縁を演出する方法もありますが、かなり難易度が高い。自分にとって「これだけは負けない」というUSPがないと、「では仕事を依頼してみようか?」と思ってもらうことはできません。

また、クライアントからの紹介でお仕事につながることもあります。「友人の経営者が困っているんだ、相談に乗って見てくれないか?」という具合に、紹介してもらう訳ですが、これもかなりの難易度です。現在のクライアントに対して、極上のサービスを提供して満足度が高い条件がつきますから。

このように、中小企業診断士として経営顧問契約を獲得するには、高いハードルが立ちはだかります。高いからと言って、向き合わなければ打開できない課題と言えましょう。

 

投稿日: 2020年8月7日 | 9:16 pm

昨今のような環境時こそ、見直すべき経営戦略

コロナ情勢の先行きが見えない今日ですが、こういう時こそ自社経営の足元を見つめ直す時ではないかと思われます。利益創出のために、会計事務所などが提案するのは「コストダウン」が通例ですが、利益の源泉はあくまでも”売上”です。

ですので、こういうご時世だからこそ「売上=収入」アップのための施策・戦略を立案しておく必要があります。

もちろん、コロナのような世界的社会問題に直面している経済環境の中では、大胆な増収戦略はリスクも伴います。ですから「できることを着実に実施する増収戦略」が重要となるのです。

例えば、コスト削減に走るよりも「お客様ひとりひとり(1社1社)とのリレーションシップ強化」を意図したマンツーマンマーケティングを実施する方策です。

つまり、これまでご縁があったお客様(顧客や受注先)とのコミュニケーションを密にとり、新しい商品やサービス情報を発信すなどのオペレーションです。

情報発信の手段は、現在多様化しています。SNSやブログなどを活用してお客様の囲い込みと、関係性強化を図りましょう。

このような施策を実施すれば、昨今のような環境下では逆にチャンスかもしれません。

このブログで何度も訴えていますが、コスト削減は中小企業経営にとって限界施策です。過度なコスト削減施策は、企業の体力を奪い、メンバーのモチベーションを著しく下げます。無駄使い的なコストは見直す必要はありますが、まず優先施策は「増収戦略」であることを認識ましょう。

投稿日: 2020年8月6日 | 9:14 pm

リーダーにとって最も必要な要素

前日の記事で、幹部研修の優先について書きました。中小企業経営は”人本経営”です。人財の質が勝負を分けるのです。とりわけ幹部(リーダー)の資質は、中小企業経営の舵取りに多大な影響を及ぼすものです。

俗に、”王将と歩”の経営と呼ばれがちな中小企業経営においては、飛車角・金銀を育てていくことが重要です。ただし、リーダーの資質を的確に見抜かないと、人事登用において重大なミスを犯してしまいます。

ここに経営リーダーにとって必要なファクターを列挙しますので、参考にしてみてください。

① 揺るぎない情熱(パッション)を持っている

② 利他の価値観を持っている

③ 全体意識・全体最適感を持っている

④ 傾聴(人の話に耳を傾ける)スキルを有している

⑤ 状況判断のスピードが速い

⑥ 自己責任感が強い

⑦ ユーモアに溢れた魅力がある

強いリーダーがいる会社は、経営が上手くいく傾向があります。逆に、リーダーが育たない会社はその成長に限界がきます。

仕事ができる(捌ける)ことが、リーダーシップを約束するものではありません。リーダー人事を間違ってしまうと、スタッフが育たず退出者(退職者)が続出したり、ギクシャクした企業風土を生んでしまったりする不幸を招きます。

また、一度リーダーに登用した人材が不適格者だった場合、降格人事という事態に陥る可能性もあります。降格人事は、レアケースを除き多用してはいけません。他メンバーへの心理的影響が大きく、モチベーションに大きく影響してしまうからです。

投稿日: 2020年8月5日 | 10:05 pm

人財教育は幹部研修から着手する。

企業は最大の人材教育の場である…恩師・坂本光司先生の言葉を思い出します。中小企業診断士として、経営の現場を駆け回っていると、スタッフの人間的成長を実感することがよくあります。

ただし、研修や勉強会は刺激を受ける場(きっかけ)にしか過ぎません。人材を人財に変えて成長させるのは、現場での役割です。

さて、人財教育を企業経営の中に仕組みとして導入するとき、気をつけるべき点がいくつかあります。

人財教育制度を、経営に仕組みづくりとして導入する場合、階層別やテーマ別に企画立案することがあります。その際、必ず幹部(リーダー)の研修を盛り込みましょう。

階層別で研修や勉強会を企画実行する時に、幹部(リーダー)のあり方研修は必須です。

なぜなら、現場スタッフの成長過程をサポートするのは、幹部の役割だからです。新入社員研修を実施して、育成したのに退職してしまった…。このような現象は、一概には言えないのですが、現場の受け皿に課題がある場合が多い。

幹部が上手く新しいスタッフを導けることができれば、そのスタッフはみるみる成長していきます。

逆に、幹部に人間的魅力が欠けていれば、新しいスタッフは絶望し退出していく場合が多い。

従って、「幹部研修・勉強会」こそプログラムとして仕組み導入する最優先企画です。「育てるスキルや姿勢」を学んでいただく内容を盛り込んで、企画実行してください。

プロの経営コンサルタント業界においても、幹部の資質にかけて、部下を潰していく輩が多いものです。

投稿日: 2020年8月4日 | 10:14 pm

ヨットクルージングの一日

先日、熊本のクライアント様である株式会社ビックの安樂社長にお誘いいただき、ヨットクルージングに行ってきました。安樂社長は、良き友人でもあり、ヨットマンとしての大先輩でもあり、愉しい人生を送る達人として心からリスペクトする人です。もちろん一人の経営者として、応援している人でもあります。

安樂社長のヨットは、「少年海援隊Ⅱ号」と言います。

見てください、この雄姿!いつ見ても実にかっこいい。

写真は今回の航海で向かった先、湯島(猫島とも呼ばれる島)に停泊した姿です。

出港する少年海援隊Ⅱ号です。帆は畳んでいます。当日は、いい風が吹いていまして、とても気持ちの良いクルージングとなりました。

操船する安樂社長です。安樂社長は、若い頃にヨットを自作して、太平洋を横断したことのある筋金入りのヨットマン。本当にかっこいい人です。

「ヨットは、向かい風すら利用して前に少しずつ進む…。経営や人生と同じだよ。」と…。

ボート遊び中の安樂社長です。向かい側に写っているのは、大阪からの大型ヨット。

シーマンシップという言葉がありますが、海の男は実に気持ちの良い人たちばかり。海の上では、人間関係の壁など微塵もありません。

互いにリスペクトし、すぐに交流が始まり、コミュニケーションが生まれます。

中小企業診断士として、現場を駆け回っていると、安樂社長の言われる言葉の意味を心から噛み締めることができます。

「経営はヨット航海と同じ。風(外部環境)を利用し、行動判断(内部環境)を整えていく。」

リフレッシュしながらも、有意義な時間を過ごすことができました。

安樂社長、ありがとうございました!

投稿日: 2020年8月3日 | 9:38 pm

同族会社は利点を活かす。

中小企業診断士として活動していると、我々がご支援しているクライアントの90%以上は「同族会社」だと気づきます。同族会社の定義は、経営者やその一族が大株主であったり、取締役を大半の同族が占めている場合を指します。

近年、事業承継問題が顕在化してきていますが、同族企業であるがゆえに承継がうまくいかない場合が多いことにも気づかされます。

例えば、先代の経営者の時代には、カリスマ的な魅力で社員を率いていた企業風土が、息子に承継された途端、優秀な人財から会社を去っていくという現象。こうした事例は、枚挙にいとまがありません。

逆に、優秀な他人社員が承継した方が、会社に新しい新鮮な風が吹き込み、承継が上手くいったというケースも多くあります。

承継も含めた人事戦略というものは、人間的魅力が備わったリーダーを選ばなければ「大失敗する」例でしょう。

さて、同族企業はその利点を活かすことが大切です。同族であるが故に、「困った時」に有形無形の協力が得られるということが最大の利点でしょう。有形というのは代表的ものは「資金」です。無形は「労働力」など。

逆に仕事ができない、人間的魅力に欠けるような息子を優遇するような人事や給与制度を設けてしまうと組織が崩壊するような事態を招きかねません。

同族人材を入社させると自体は否定しません。むしろ、大きな戦力を得たと喜ぶべきでしょう。ただし、社風形成や人事制度を誤ってしまうと、経営の失敗を招いてしまうことに留意しましょう。

投稿日: 2020年8月1日 | 11:34 pm

情報は鮮度が命。

経営は判断の連続です。経営判断は、その時その時で自社の行く末を決める、重要な決定事項を固定していきます。

経営判断をする際に、判断材料が必要なので、それは経営現場における”情報”というものになります。

経営者の方々とヒアリングさせていただいていると、「昔はこうだった…」「以前は、こんな判断をした…」などと、過去の栄光や挫折を並べられることがよくあります。過去と現在の内部的環境の比較ならまだ判りますが、あまり長期的な過去の振り返りに意味はありません。

経営情報は”鮮度”が命です。

今(現時)、現場で何が起こっているのか?どんな物(商品やサービス、設備)が動いているのか?など…。

現時・現場・現物を常に確認、把握している必要があります。この現場確認(事実確認)の連続が、的確な経営判断を可能にするのです。

中小企業の経営者は、時に現場に降りていき、何が課題となっているかを掌握していきましょう。これを可能にするのは、デジタルではありません。経営者の目や鼻や耳や口、そして感覚などのアナログツールによるのです。

例えば、経営現場をカメラで確認するのではなく、同時に足を運んで確認する…。その地道な行為が、新鮮な経営情報をもたらしてくれます。

経営コンサルタント(中小企業診断士)も同じです。

コンサルタントの最大の武器(ツール)は、経験に基づいて研ぎ澄まされた五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、感覚)です。その感覚は、足で稼ぐ現場での事実確認からもたらされることを認識してください。

投稿日: 2020年7月31日 | 10:55 pm