現状認識と先行管理

少し前に、「潰れない会社にするために」という投稿をしました。その時にも書いた、先行管理の重要性についてもう少し述べたいと思います。

先行管理とは、文字通り3ヶ月くらい先の状況を推察しつつ、打ち手を計画しておくことに他なりません。

中小企業の経営者の中には、先行管理をどれだけ意識している方がいらっしゃるでしょうか?

日々の資金繰りや業績、営業状態や商品開発や管理…あらゆる局面で「先行管理」が重要となります。

今は便利なITツールがあります。

ITから得られる情報を、いかに経営の意思決定に活かしてくか?が大切です。

では、ITをどのように活用していくか?ですが、ITからの情報は、ただ一つ「正しい現状認識」のためのツールなのです。それ以上、それ以下でもありません。

高価なIT設備を投資する意義は、実はここにあります。

さておき、正しい現状認識に基づく先行管理を実践することが、失敗を可能な限り回避するための重要事項であることに間違いありません。

もちろん、年間の事業計画書にそった3ヶ月先行管理が大切なので、単年度事業計画はさらに重要となります。

さらに言えば、3〜5年間の中期経営ビジョンの見える化、経営の目的である「経営理念」の明文化による価値観の統一は言うまでもなく重要なのです。

経営者は意思決定の連続です。意思決定が、行き当たりばったりの何の根拠もないものであれば、リスクが大きく、経営の根幹を崩しかねない事態に陥ってしまいます。

投稿日: 2019年12月11日 | 11:51 am

会議支援っていうけれど…。−2

前回、中小企業経営の会議における課題点(事例・現象)について書きました。では、中小企業診断士をはじめとした経営コンサルタントは、どの場面で、どのような価値を会議場面で投下すれば良いのでしょうか?

経営会議における、経営コンサルタントの立ち位置とあり方を考察していきましょう。

まずコンサルタントは、会議の司会進行役(ファシリテーター)を務めます。ここで勘違いして欲しくないのは、ただのアドバイザーでは報酬はいただけません。司会進行をしながら、鋭いアドバイスや判断材料を投じていくことが重要です。

会議は時間が決まっています。中小企業にとって時間というのはとても重要です。貴重な時間を割いて、意思決定する会議を設定するのであれば、内容の濃い会議時間にすることが肝要です。

「今日の会議、あっという間の時間だった…」という言葉が、メンバーから聞かれるような采配…これがプロの技です。

会議では、決定事項を記録しておくことが重要です。

決定事項のない、経営者や幹部の訓話・説教型会議を時々観ますが、何の意味もありません。

説教や訓話は、別室でじっくりと行ってください。

最後に、コンサルタントが采配する各種会議は、「ユーモアと笑い」が重要です。コンサルタントは、ユーモアを駆使して、発言しやすい空気感を演出します。

参加メンバーが、遠慮躊躇なく自分の意見を述べて、会議の意思決定に参画しているという意思を醸成する…重要な役割を担っているのです。

投稿日: 2019年12月10日 | 10:59 am

会議支援っていうけれど…。−1

経営コンサルティング支援のカテゴリのひとつに、「会議支援」というものがあります。会議支援とは、会議がスムーズに進行できるように、コンサルタントがファシリテートすることです。

この会議支援というコンサルティングサービス…。

実は、結構難易度の高いスキルが求められるプロの技が必要です。

「会議の進行を支援することでしょ?」などと安易に仕事を引き受けると、たちまち契約解除になりかねません。

中小企業にとって、各種会議は「形をなしていない」ことが多いのが現状です。

何となく始まり、何となく議論(議論になっていない場合が多いですが)が進められ、決定事項が明確でなく、PDCA機能が確立されていない…のです。

もっともダメな会議…経営者の独壇場で上意下達型の会議…です。これはもはや会議とは呼べない。

独裁ワンマンの中小企業に、よくありがちな光景です。

また、アジェンダ(プログラム、レジュメともよばれます)が用意されていない、議案が不明な会議。

ただの井戸端会議では、時間の無駄というものです。

最近は、中小企業で導入例もあまり見られなくなりましたが、TV会議と呼ばれるもの。

流行りモノが好きな若い経営者が、導入を進めましたが、いまいち普及しませんでしたね。

会議は、同じ空気を吸いながら意思疎通・ディスカッションしていくことが基本だからです。

コミュニケーションの究極形は、いつの時代でも「アナログ」です。

同じ空間の中で、同じ空気を吸いながら、発言者の意思を直接的に皮膚感覚で感じながら、進めていくことが基本なのです。

投稿日: 2019年12月9日 | 10:43 am

中小企業診断士は稼げる資格である−7

中小企業診断士の資格を取得し、経営コンサルタントとして仕事をするとき、フィールドに出て直接的にクライアントの支援をしていきたいものです。

コンサルタントにとっての武器は何か?マーケティングのフレームワークではありません。ましてや口八丁のプレゼンテーション力でもありません(よく勘違いしているコンサルも見ますが…)。

策士策に溺れるコンサルタントになれば、百戦錬磨の経営者からはそのエセコンぶりを見透かされます。

コンサルタントは、現場で現状を観察し、課題を見抜く観察力が武器になります。

コンサルタントが、クライアントの経営状況に肉薄し現場で事実確認をすることから、「お金をいただけるコンサルティング」は始まります。

コンサルティングスキルは、現場で鍛えられたコンサルティング支援の経験によって鋭く磨かれていきます。

つまり、独特の嗅覚が磨かれて、「リスク」と「チャンス」「断念」と「継続」の判断が直感的に身についてきます。

また、一生懸命クライアントの次の一手を”のたうちまわるくらい”考えると、ふと「グッドアイデア」が浮かんできます。そして、その一手を提案する…。提案するだけでなく、戦略遂行を寄り添いながらサポートする(PDCA)。

これが”稼げるコンサルティング”の本質です。

逆に、クライアントは過去の事例を並べ立てたり、できもしないことを机上の空論と知りながら喋ったり、難しいマーケティング理論の意味を得意げに宣ったり…そんなコンサルタントにお金を払ってくれません。

投稿日: 2019年12月8日 | 10:33 pm

経営戦略とは…その立案手法と方向性

「経営戦略」という言葉…かなりの人が耳にしたことのある、市民権を得た言葉だと考えることができます。

しかし「経営戦略」という言葉を的確に理解しているコンサルタント(士業)や会計事務所スタッフがどれほどいるでしょうか?

前職の会計事務所にも、経営戦略を分かった風で分かっていない言動をする上司コンサルがいましたが、さもありなんですね。

経営戦略は、一言でいうと「何を、どこに」という概念をいいます。

この「何を」は自社のUSP商品やサービスのことを言います。つまり、差別化された、自信のあるユニークな商品・サービスのことです。

「どこに」は、売り込む(提案していく)お客様ターゲットのことです。

ターゲッティングは、絞り込みが必要です。中小企業は、全方位型の商売は向きません。

ニッチで泥臭い、そしてお客様満足度を上げることに注力した商品政策が求められます。

では、「どうやって?」売り込むか?これが戦術と呼ばれているもので、マーケティングやブランディングは実はこのフェーズに当たるのです。

各種経営戦略は、経営者が独断で考案することは極力避けたいものです。

企業は、人財力がその趨勢を決めます。

人材を人財へと育むには、経営者が自ら”育む”姿勢を持つことが大事です。

ですので、戦略会議なるものを開催し、スタッフや幹部を交えた多方面からの多角的で立体的な戦略を立案しましょう。

経営戦略は方向性が大切です。

立案された経営戦略が、経営理念にベクトルが向いているか?事業計画書に盛り込まれているものか?

そして、動機が善なりか?

留意することが絶対条件です。

 

投稿日: 2019年12月6日 | 7:07 am

中小企業診断士は稼げる資格である−6

中小企業診断士の有資格者は、2万人。そのうち、全国各地にある協会に登録している診断士は半分の1万人であると言われています。

この統計が正しいとするならば、実際に知識とスキルを使って、困っている中小零細企業の課題解決に向き合っている診断士は極めて少ないことになります。

中小企業は課題の連続です。課題ある経営は、却って健全であるということもできます。

経営の危機という言葉は、本当の意味では「現状認識に基づく先行管理をしても”打ち手なし”の状態」なのです。

さておき、困っている中小企業の課題解決に立ち向かう、診断士のミッションは”無限”にあります。

無限であるということは、仕事の種はそこらじゅうに隠されているということです。

仕事を獲得できない診断士は、コンサルティングの中身も薄いと言えましょう。

中小企業診断士の理想とする収入方法は、”定期訪問による顧問契約”です。

クライアントの現状認識を正しく行い、事業計画を理念に向けて立案・策定し、計画に基づく戦略を練り、 PDCAを実直に回していく活動です。

月に1〜2度の訪問支援は、それこそあっというまに終わります。時間の経過がとてつもなく早く、それだけ集中しますし、高揚感もあり、夢中になって課題に向き合うからです。

中小企業診断士として、クライアントに関わっていく最良のフローは、経営理念の策定・見直し・浸透から支援することです。

経営理念は、企業の共通の価値観であり全世界に発信した”企業の約束事”だからです。

約束は絶対に守らなければなりませんよね。

投稿日: 2019年12月5日 | 10:48 am

会計事務所の将来性

会計事務所のこれまでの業務は、クライアントの経理代行に始まり、月次試算表を作成し報告する…そして決算を迎えると申告書・決算書を策定する…といった内容でした。

今でもこの内容での業務が主流となっており、イノベーションが起きにくい業界であったと考えられます…これまでは。

6年間にわたり、会計事務所で勤務した経験から言いますと、これからの業界は大変革を迎えると思われます。

会計事務所自体が、人財育成にこれまで以上に注力していかなかれば、低価格化と自経化(クライアント自体が経理処理をすませること)の波に飲み込まれていくのです。

人財力のベクトルは、経営者に寄り添った支援ができるか…に向けなければなりません。

月次報告で、試算表を持参し会計報告をすませるような訪問活動では、報酬は払ってくれません。

会計事務所業界(税理士事務所、税理士法人、公認会計士など)は、イノベーションの渦の中にいるのです。

AIによる、クラウド自動会計システムの普及というイノベーションです。

小生のコンサルオフィスもクラウド会計(freee)を導入しています。とても便利です。

便利性については後述しますが、これまで会計事務所の収入の柱であった経理代行事業が成り立たないよになります。確実に…。

小生のクライアントが、会計事務所とのリレーションや業績管理に課題があるとき、迷わず「AIによるクラウド自動会計システム」の導入をお勧めします。

そう、会計事務所は必要なくなる??可能性がとてつもなく高いのです。

投稿日: 2019年12月4日 | 2:15 pm

潰れない会社にするために…−2

業績係数管理を「会計事務所任せ」にするリスクは、実はかなり高く、会計事務所はすごい数のクライアントを抱えているのが現状です。

労働集約型の産業の典型であり、1社1社の現状に寄り添うにはマンパワーの不足が現実なのです。

もちろん信頼できる会計事務所もありますが、経営者はある程度の業績数値管理は、「潰れない会社にするために」に必ず必要なタスク(仕事)であると心得ましょう。

優秀な事務スタッフがおられ、管理は万全という会社においても、業績報告はまめに行い現状認識しておくことが必要なのです。

また、経営基盤を強化しておくことが重要です。

経営基盤の強化は「依存度を低くすること」が大切です。

お客様(客数・ファン数)を増やして、契約解除や営業失注のリスクを回避する。

仕入先や外注先も1社独占はリスクが高まります。多ければ良いというわけではありませんが、依存するのはリスクがあります。

見積もりや入札は極力避けて、信用と信頼で結ばれる仕入先・外注先は2社ほど(ひとつの事業につき)ネットワーク化しておくことをお勧めします。

最後に、人財を採用・育成することです。中小企業経営は、人が最大の資産であり資源です。

人を大切にしない経営は、いずれ淘汰されますし将来はありません。

日本の頑張っている中小企業(長期に躍進している企業)は、すべからく人財を大切にする(活躍する)経営に徹底しており、人件費が経営の目的として位置付けている企業もあります。

 

投稿日: 2019年12月3日 | 11:00 pm

潰れない会社にするために…−1

中小零細企業や個人企業(法人化されていない)が、倒産したり事業の断念をせざるを得ない状況を「経営の失敗」と呼びます。

経営は”儲けること”が成功ではなく、事業が継続していくことこそが成功だからです。

一部の会計事務所やコンサルタントが”儲けるため”の支援をしているのを時々見ますが、儲けることが経営の目的ではありません。

経営者は、”黄金の奴隷”になってはいけないのです。

まあ、それも価値観でしょうから、間違いということはありませんが…。

小生はそのような経営者や企業のご支援はしないようにしています。価値観が違うとパートナー・サポーターとして機能できないからです。

さて、残念ながら事業の断念を決断することを余儀なくされる原因を、経験から列挙してみます。

業績管理の現状認識が全くできていないことが、第一に挙げられます。

今現在の経営業績(売上、粗利、コスト、利益)が全く把握できていない。これは、人間が自分の体の血液状態を知らないことと一緒です。

貧血気味なのが、血液が全く不足しているのか、失血多量で瀕死な状態なのか…。

業績管理とキャッシュフロー(現金有高)管理は、3ヶ月先の先行管理が必須です。

難しいからとか(確かに、ある程度の知識は必要ですが)、面倒くさいからとか言って会計事務所任せになってしまうと、危険です。

本当にクライアントに寄り添った経営をされている会計事務所はいいのですが、そのような事務所は見たことがありません。

会計事務所も、AIなどに取って代わる業種として生き残るのに必死です。

投稿日: 2019年12月2日 | 11:06 am

中小企業診断士は稼げる資格である−5

中小企業診断士の男女比を見てみると、およそ9:1で男性が圧倒的に多いことが分かります。何度も言いますが、中小企業診断士は高収入が実現できる資格です。

男性が圧倒的に多い理由は分かりませんが、女性にも是非挑戦してもらい、困っている中小企業のサポートをしていただきたいと思います。

男性と違い女性特有のしなやかな感性は、中小企業の経営にきっと役立てることできるはずですし、喜ばれるはずです。

とある資料によると、中小企業診断士の年収は300万円〜700万円とバラツキが大きいそうです。

無理やり平均すると、500万円前後であるとか…。

サラリーマンの平均年収が420〜30と言いますから、それより少しだけ高いぐらいでしょうか…。

フリーとして独立し、現場型実地コンサルタントを自負する小生からすれば、中小企業診断士はもっと稼ぐことができます。

中小企業診断士が収入を上げていくためには、提供するコンサルティングサービスの価値を上げていかなければなりません。

価値は、お金で表現ですることができます。

クライアント様から、「こいつと付き合うと役に立つな」とか「こいつから手伝ってもらえれば、会社が成長するな」などと思ってもらえれば仕事になるわけです。

ときどき見かけますが、できもしないことを宣う経営コンサルタント。

コンサルティングではできもしないから、いざ仕事が始まっても効果が現れず、クレームにつながります。クレームですむならまだいい。

契約解除になると、せっかくのご縁が台無しです。

投稿日: 2019年12月1日 | 1:32 am