稼ぐ社員を好む経営者

中小企業診断士である以上、この世の中の中小企業経営者は須くリスペクトしなければならないと自覚しています。

コンサルタントはあくまでも、経営者のサポーターであり補佐役であり応援者であるためです。

中には、先生気取りで経営者を馬鹿にしたような中小企業診断士(経営コンサルタント)も時々見ますが、恥ずかしくないんでしょうかね。

さておき、経営者の中にも「この人(経営者)はどうか…」と思わざるを得ない方もおられます。

例えば、「稼ぐ社員を重要視して、幹部に登用したがる経営者」。

実際、そのような経営者に会いましたが、その方の理屈は「数字は絶対的な結果指標。仕事は結果が全て。」というもの。

しかし、考えてもみてください。

この世の中の仕事は、営業や販売だけでしょうか?

業務というのは実に多様です。

商品開発部もあれば、配送部もあります。営業部もあれば、総務部もあります。

それぞれの業務が、大切な価値があり、重要なのです。残念ながら、稼ぐ人を重要視する会社は、社内の雰囲気が悪くなる傾向があります。ギスギス感が強まるからです。

どのような部署でも、大切な価値があり経営者はその価値に目を向けなければならない。

ましてや、人事考課・評価制度を「定量評価(=業績評価)」だけで設定している会社は、制度自体が破綻するか、社内の雰囲気が悪くなるか…いずれにせよハッピーなことにはなりません。

中小企業のすぐれた経営者は、自分の会社の社員の業務に対し「価値を認めて評価する」公平な目が必要です。

その目は、社員(メンバー)から逆に見られているということを自覚する必要があるのです。

投稿日: 2019年11月7日 | 11:56 pm

減収時代にこそ経営革新を…。

損益計算書の中の勘定科目で、最初の計上されるのは”売上”ですよね。なぜか?売上から全てが始まり、最終利益につながる”見えやすい配列”にしているからでしょう。

減収という言葉は、売上(収入)がダウンするという意味です。

この配列は、経営者が気にする勘定科目の順番といっても過言ではありません。

売上に関する意義は、このブログでも再三記載していますので、今回は割愛します。

今は、なかなか売上が伸びない減収時代と言えましょう。

特に高付加価値経営を目指すべき、中小企業においてはなおさらです。

禁じ手の代表、”価格競争による安売り”だけは、絶対に避けましょう!

このような時こそ、中小企業はイノベーションを起こす努力が求められます。

イノベーション(=経営革新)は、主に新商品・新サービスの開発、新取引先・新仕入先の開発、新組織の開発を言います。

つまり、”開発”が伴うのです。

開発というのは、クリエイティブ活動です。ゼロからイチを想像する行為。

この経営革新は、新しい価値を創造して高付加価値経営の足がかりとなります。

今は様々な業界における中小企業が、このイノベーションを求められています。

イノベーションを起こすのは、人財です。

ですので、中小企業がもっともやってはならない禁じ手は、”安売り”と”人財切り(リストラ)”であることは明白なのです。

今こそ、イノベーション経営に挑戦し、新しい価値を創る「高付加価値、高価格、高品質」経営を実現しましょう。

投稿日: 2019年11月2日 | 10:58 am

使えない人事考課制度−2

人事考課制度の目的は、前回の記事で述べました。今日は、「使える人事考課制度はこう創る」という話をします。

人事考課制度を策定するとき、専門家に丸投げで作ることは失敗への近道です。

専門家は所詮外部の支援者(サポーター)です。ですので、自社の実情にマッチした”使える人事考課制度”を創るためには、社内の有志を交えたプロジェクト型で作り上げることがベターです。

プロジェクトメンバーは、”やる気”を重視して構成します。

プロとしての経験から、”使える人事考課制度”を策定するためには、丸一日(約6時間)のプロジェクトディスカッションを実施して、最低12日はかかります。

月に一度のプロジェクト会議を開催するとすれば、1年のプロジェクト期間を想定することが必要となります。

プロジェクトメンバーは、あまり多いと議論が進みません。

メンバーの数は、会社の規模や部署数にもよりますが、50人規模の会社として5〜7人ほどがいいでしょう。

中小企業診断士をはじめとした、プロの専門家はファシリテートし、アイデアが出やすい、また議論がしやすい空気感を演出します。

ゼロからイチを創り上げる長期間の議論を遂行するためには、”愉しく創り上げる”取り組みが不可欠だからです。

また、人事考課シート(評価シート)の理想はA31枚のボリュームに収めましょう。

評価項目は、定性評価項目で10〜12項目がベターです。評価項目が多すぎると、評価者が疲れます。

そして、できる限り定量評価(業績評価)を盛り込んで、業績達成の喜びを皆で分かち合うような考課制度に仕上げましょう。

投稿日: 2019年11月1日 | 10:59 pm

使えない人事考課制度−1

人事考課制度を策定するプロジェクトをいくつか進めています。最近は特に、人事考課制度を新しく作りたいというニーズがとても多いような気がします。

要望は…

「そもそも人事考課制度がないので、作りたい」

「以前、人事コンサルタントに作ってもらった人事考課制度が使えない制度で困る」

「人事考課制度が社風や会社の制度にマッチしていないので、改訂したい」などなど。

人事考課制度の目的は何でしょうか?

以外と答えられない(答えても的外れな)経営者が多い。コンサルタントや社労士もしかり。

この目的が明確に定まっていないから、使えない人事考課制度が出来上がるのです。

信賞必罰を明確にするため。人件費を適正配分するため。

どれも副次的効果にしかすぎません。

人事考課制度の目的…。本当の目的は、「社員(メンバー)のモチベーション(やる気)を上げるため」です。

ですので、モチベーションを下げてしまうような人事考課制度は「失敗」です。

「以前、コンサルタントに数百万円かけて作ってもらったけど、全く使えないんだよなあ」

経営者の言葉です。

使えない理由は様々ですが、最も多いのは「評価基準も文言が抽象すぎて曖昧」というもの。

評価基準のフレーズは、具体的な行動で測定できるものでなければ全く意味がありません。

例えば、「明るい挨拶ができる」「役割を認識して自主的な行動ができる」…などのフレーズ。

誰がどうやって測定できるのでしょうか?

また、こんな曖昧なフレーズでは被評価者(評価される社員側)のモチベーションは下がります。

何よりも、評価者(普通は上司)の主観が入りすぎて、不公平感が高いです。

結果、使えない制度となって、かけたコストが損失となってしまうのです。

投稿日: 2019年10月31日 | 1:52 am

淘汰される会社、生き残る会社

事業承継が、企業経営における大きな課題となっていますが、承継する前に淘汰される企業も数多くあります。

淘汰…悪いものが除かれることと言う意味ですが、志が達成できずに市場から退場せざるを得ないとなると、残念ですよね。

中小企業経営は、「永続発展(えいぞくはってん)」が目的です。

今日のように、ものが溢れて情報化が進んだ社会においては、業績拡大を目的とした企業経営は限界があります。

世の中から淘汰されない、生き残れる会社を、経営者は作り上げていく必要があります。

淘汰される会社の特徴…。

損得勘定で意思決定する会社…意思決定の基準は、損得でなく”善悪”でなされなければなりません。善悪の基準は、社員やお客さまにとって”良いことか悪いことか”です。

社風(会社の雰囲気)が悪い会社…社員が居心地の悪い会社は、人財が流出(退社)しがちです。人財の損失は、淘汰に直結します。

責任転嫁する会社…経営者が、社員やお客様、景気や外部関係者に”うまくいかない”原因をなすりつける会社は、周囲から支えられなくなります。

現状認識できない会社…自社の現状(業績やモチベーション)を客観的に認識できない会社は、リスクが高まります。結果として、生き残るための”打ち手”が限られてきます。

人を大切にしない会社…社員を駒のように扱う会社。業績至上主義で”稼いでナンボ”の会社は、最強の経営資源(ヒト)が枯渇していきます。

中小企業経営者の皆様。自社の現状はいかかがですか?

”継栄(継続して栄える)”ことが企業経営の目的です。正しい経営を志していきましょう。

投稿日: 2019年10月30日 | 8:02 am

『商品』と『製品』の本質

中小企業経営を考えるとき、”商品(商いをする品物)”と”製品(製造された品物)”というのは別々に捉える必要があります。

そもそも、その本質は根本的に違うからです。

中小企業経営の”商品”は何でしょうか?文字通り「商いをする品物」ですが、商いとは何でしょうか?

商いとは「価値をお金に変えること」だと断言できます。

では、価値とは?中小企業経営にとっての価値は「企業努力」に他なりません。

努力するのは”人=社長、幹部、スタッフを含めたメンバー全員”ですから、価値を創造してお金に変えるのは、唯一無二の経営資源たる”ヒト”ということになります。

例えば靴を作っている会社であれば、その靴に込められた「経営者やスタッフの想い」が商品の本質であり、靴は「想い」を形にした物体にすぎません。

決して”靴”が商品ではないのです。

靴は製品にしか過ぎない。

製造された靴に想いを込めて、その想いをお客様にお届けする…この行為を販売・営業というのです。

ですから、靴を売ろうと思わない。

靴を履いておしゃれな生活シーンを演出する”幸せ”をお届けするのです。

その想いが、お客様のハートに響き、価値をお金に変えてくれる行為につながります。

”こだわりのある”いい商品(高品質商品)を作っている(仕入れている)のに、なかなか売れない…などとお悩みの経営者を見ます。

そんなとき、製品を売らずに”商品を売る”というパラダイムシフトを徹底してみてください。

売上増大の突破口が見つかると思いますよ。

投稿日: 2019年10月26日 | 8:00 am

”挑戦し続ける”ということ。

昨日は、同じ経営コンサルタントとして活躍されている大先輩と、食事をいっしょにいただきました。

大学を卒業して入社した経営コンサルタント会社の時の、直属の上司です。

会計事務所のコンサル部門に勤務していた時、約20年ぶりに再会。

それから公私にわたり、様々な方面からアドバイスや支援をいただきました。感謝しても仕切れない大先輩です。

経営コンサルタントとしても、心から尊敬できる大先輩です。

昨晩もとても楽しいひと時でした。

会話の中で出てきたのは、「挑戦することに価値がある」ということ。

年齢を重ねると、挑戦することから逃げていく傾向にある…。だけど挑戦を止めてしまったら「愉しくないよね」と。

その通りだと思う。空手もコンサルタントの仕事も、様々な趣味においても、何歳になっても”挑戦して”行こうと思います。

中小企業経営も、様々な局面で「挑戦」が必要です。

そこには、現状を打破する勇気、構想力、実行力、継続力…。様々なパワーが必要です。

まだ見ぬ世界を見るために、そしてその風景の中を愉しみながら歩いていくために、人も中小企業も”挑戦していくこと”が大切だと、改めて考えさせられた貴重な時間でした。

投稿日: 2019年10月17日 | 7:35 am

コンサルタントのクレームマネジメント

経営コンサルタントを現地現場で生業としていると、ビジネスですので当然クレームと向き合わなければなりません。

独立してから(以前もでしたが)、クレームというものを受けたことがありませんが、コンサルタントがクレームを受ける話はよく聞きます。

リスペクトしてやまない先輩コンサルタントが何人かおられますが、おそらくクレームなど皆無の方々であろうと確信しています。

テレビドラマじゃあるまいし、「私、失敗しませんから…」と宣うエセコンサルタントは知っていますが、少なくとも「クレームは受けたことがありません」と断言できるコンサルタントでありたいと思っています。

経営コンサルタントがクレームを受ける原因はいくつかありますが、代表的なものが「うそをつく」「偉そう」ということです。

できもしないコンサルティング成果を約束したり、理由もなく支援開始時間に遅刻したり、上から目線でものを言ったり…。

レポートや成果物(計画書や診断書など)の提出が大幅に遅れること…。

およそ社会人としてどうか??…と思われる基本的な言動が、その原因のほとんどなのです。

経営コンサルタントにとって、クレームは致命的です。

何よりクライアントとの相互信用・相互信頼が問われる職業だからです。

一度クレームを受けてしまうと、信用・信頼感が著しく薄れます。結果として、顧問契約解除やプロジェクトの中止などに繋がります。

中小企業診断士として、プロコンとして、「クレームを事前に防ぐタスクマネジメント」を絶対的に実行していきたいですね。

投稿日: 2019年10月13日 | 6:00 am

誇り高き士業でありたい…。

中小企業診断士が名称独占の国家資格である以上、それは国が認めたプロのコンサルタントであることを表すことだと思っています。

国家資格の士業は様々存在しますが、独占業務がある資格から名称独占資格まで、それぞれの業務に価値を高めければプロとは言えないと考えています。

ある公認会計士の話…公認会計士は登録すれば税理士業務が実行できます。

その公認会計士は、クライアントの税務顧問先であるにもかかわらず、月次の試算表は遅れる(というより催促しないと出さない)、経営改善計画書を策定し金融機関から追加融資を実現できたが、高い策定料をぶん取った挙句にモニタリングを一度も実施ない…などのエセ行為を繰り返していました。

あえて名前は伏せますが、同じ士業として、こんな仕事ではいけません。

国家資格ホルダーは、自らの業務価値を極限まで高め、クライアントの満足度を向上させるべきです。

士業としての誇りとプライド…。これは、名称や資格証明書に与えられるものではないのです。

クライアントにできるだけ寄り添い、支援していくミッションバリュー(業務価値)にこそプライド(誇り)が発生します。

士業の語源は「サムライ」由来するそうです。

サムライであるならば、困った人を見捨てたり、いい加減な仕事をしてお金だけ取るようなことはしないはず。

サムライ…なんという誇り高い響きでしょうか。

自分の信念(価値観)に基づいて、ひたすらクライアントのために奔走する…そんな士業でありたいですね。

投稿日: 2019年10月12日 | 10:56 pm

中小企業診断士が経営改善計画書を策定する目的

中小企業診断士として、財務的に課題のある企業に対して「経営改善計画書」を策定する仕事があります。

経営改善計画書を策定する目的は何か?

経営改善を進めていくための指針書とすることに他ならないのですが、時に目的を違えている企業様もあります。

その目的を金融機関(メインバンクを含めた融資先)に対するリスケ(返済猶予施策)であることになってしまうと、経営改善が進まない事態に陥ります。

時に、我々のような専門家でも、目的を勘違いしている人もいますから注意が必要です。

以前、ある診断士の先輩と口論になったことがあります。

先輩診断士「できるだけ早く改善計画書を作らないと。リスケすることが大切だから。」

自分「計画書の策定は、リスケが目的ではないでしょう。経営のパフォーマンスを上げることが大切でしょう。」

先輩診断士「……。」

結局議論は噛み合わず、結論は出ませんでしたが、リスケは所詮リスケです。

借入金返済を一定期間ストップさせ、資金繰りを楽にしてその間に収益構造を改善する…だけ。

大切なのは、具体的戦略の立案です。

ただの数字の楽観的羅列であれば、だれでも策定できます。

我々のようなプロの診断士が策定する経営改善計画書は、具体的な収益構造の改善戦略を”ふんだんに”盛り込んだ指針書であるべきです。

そして、中小企業診断士には、経営者に対しても「リスケは、目的でなく手段であり、経営改善を進めていく戦略を粛々と実行していく」ことを推奨する責務があります。

投稿日: 2019年10月9日 | 7:58 am