起業家が軌道化するために−5 〜起業後のマーケティング考察〜

損益計算書(P/L)に記載されている利益の中で、営業利益の次にあるのが「経常利益」です。

求め方は、営業利益に営業外をプラスマイナスするのですが、この指標は「営業外費用」の代表勘定科目「支払利息」に着目します。

支払利息は、借入金に関して支払う利息金のことです。

ですので、借入金が多ければ多いほど「支払利息」も高額になっていきます。

逆に「受取利息」というのもあります。これは、営業外費用に対して営業外収益と呼ばれる勘定科目に該当します。

受取利息は、他者に貸し付けた貸付金に関して受け取った利息金などです。

ですので、起業間もないスタート時の経営には、ほぼ関係ない指標になります。

起業家が事業を軌道に乗せるまでに、気にしなければならない利益は3つ。

「売上総利益」「営業利益」そして「経常利益」です。

経常利益から、特別損益をプラスマイナスした利益指標が「税引前当期利益」。

法人税をマイナスした利益が「当期純利益」と呼ばれるものですが、起業家にとってはあまり気にする指標ではありません。

まずは事業(商売)を軌道に乗せて、利益叩き出せるような高品質経営を目指しましょう。

損益計算書の中の利益指標よりも、起業間もない頃に気をつけるべき考え方があります。

それが「キャッシュフロー経営」と呼ばれるものです。

起業後に大概の事業者が直面するお悩みに、資金繰りと呼ばれるものがあります。

これがとても大切で厄介なものなのです。

次回、解説しましょう。

投稿日: 2019年9月11日 | 6:00 am

起業家が軌道化するために−4 〜起業後のマーケティング考察〜

営業利益の確保は、起業時にもっとも思索考察を深める必要があります。

何度も言うようですが、「営業利益」こそ「本来の商売でいくら儲けたか?」を計る指標だからです。

営業利益確保のために、販管費(販売費および一般管理費)を検証していく必要があるのですが、どの経費も「削減すればいいというものではない」ということは明白です。

下手なコンサルタントや、これは「コストカッター型」の税理士や会計士にも多いのですが、真っ先に「人件費に手をつけよ」という提案をする輩がいます。

経費(販管費)には「現在経費」と「未来経費」があることを、起業家は認識しなければなりません。

考え方ですが、「現在経費」とはいわゆるコスト呼ばれるものです。

では、「未来経費」は投資型経費といってもいいでしょう。

検証するべきは、「現在経費」です。現在経費には「地代家賃」「水道光熱費」「消耗品費」「交際費」などがあります。

コストカットを模索するには、現在経費を削減することを第一に考える必要があります。

逆に未来経費には、「研究開発費」「教育費」「研修費」などがあります。

未来経費は、過度に削減すると「企業力(商売の推進力)」が削がれます。

では、人件費は何でしょう?「人件費」こそ、未来経費の最重要指標なのです。

事業(商売)は、ヒトが主人公であり、人間の営みです。そのため、人件費を削減することは、商売そのものの破滅を招きかねない愚策です。

投稿日: 2019年9月10日 | 6:00 am

起業家が軌道化するために−3 〜起業後のマーケティング考察〜

起業家が事業を軌道に乗せるために、最低限の計数知識と計数を操るスキルが必要であることは言うまでもありません。

経営にはざまざまな利益計数があります。

今回は「営業利益」について説明します。「営業利益」は、「本来の事業(商売)でいくら儲けたか?を示す指標」です。

なので、経営自体のブランド力やマーケティング戦略の投下結果を計る指標として、最も重要なものです。

もし、営業利益がマイナスになっている場合は、「事業(商売)自体がうまくいっていない」と判断すべきです。

逆に、最終利益(当期利益)が最終的にマイナスになっても、営業利益自体がプラスであれば「商売自体はうまくいっている」と判断できます。

営業利益を上げるためには、

①売上(収入)を上げる

②原価(モトデ)を下げる

③販管費(販売費および一般管理費)を下げる

この3つしかありません。では、①〜③の優先順位はどうでしょうか?

税理士の先生は、会計監査月次報告の際に営業利益がマイナスであれば「販管費を下げる(コスト削減)」を示唆する傾向があります。

しかし、コストカットは言わば「いつでもできる戦略」です。

まずは、お客様を増やす(増客)戦略の立案と実行による「売上を上げる」ことを模索しましょう。

売上のUPには「マーケティング戦略」の実行が不可欠です。

次に原価を見直します。しかし、前にも述べたように、原価は下げればいいというものではありません。

原価は”適正”を模索すべきです。経営コンサルタントの中には、「原価を下げて粗利を確保する」ことに固執する人もいますが、間違いです。

原価というのは、中小企業経営において最も大切な”品質”と密接に関係しています。

次に販管費を見直します。

販管費にも、「現在経費」と「未来経費」があることに注意しましょう。

 

投稿日: 2019年9月9日 | 6:00 am

生きている実感を… 

今月14日(土)〜16日(月)にかけて、岐阜県岐阜市にて日本マスターズ空手道大会が開催されます。

小生も組手第2部にエントリーしています。

大会まであと1週間。いよいよ…という気持ちです。

空手を41歳から始めて8年の月日が流れました。

当時幼稚園の息子と、同じ趣味を持ちたいと思い始めた空手。今では、すっかりライフワークになりました。

半年に一度のペースで試合に出場しています。今回は全国大会。

時々、何のために出場するのだろう??と、ふと思うことがあります。また、そもそも何のために空手に熱中するのだろうか…と。

いつも行き着く答えはいたってシンプル。

「愉しいから」なのです。おそらく、人生の折り返し地点をすぎたであろうこの年齢で、夢中になるものがあるという幸せ。

 

生きている実感を存分に味わいたいと思います。

さあ、試合まであとわずか…。

投稿日: 2019年9月8日 | 6:00 am

起業家が軌道化するために−2 〜起業後のマーケティング考察〜

次に説明する経営計数指標は、”売上原価”と”売上総利益(粗利益)”です。

原価管理(コストマネジメント)は、経営の行方を決める…といっても過言ではないでしょう。

原価が意味するところは、商売の”モトデ”であるということです。原価というものは”適正原価”を追い求めるべきであり、「原価は高すぎても、低すぎても問題である」ということを認識しましょう。

原価計算の方法はここでは避けますが、例えば飲食店の場合「ひとつのメニューにどれくらいの原価がかかっているか?」を明確にする必要があります。

なぜなら、原価計算が明確になされていないと「値決め」ができないからです。

「一杯のラーメンにかかる原価を計算して、付加価値(粗利益)を乗せて値決めする」ことが基本です。

起業家の中には、値決めを「競合他社と比較したら、これくらいでいいだろう」とテキトーに値決めする方がおられますが、これこそ「どんぶり勘定」と呼ばれるものです。

そして、原価は高すぎれば利益が出ない(儲からない)し、低すぎても品質が落ちます。

コンサルタントの中には、「原価できるだけ落として粗利を稼ぎましょう」と主張する輩もいますが、これこそ机上の空論で、商売はそんなに甘くありません。

「高品質を保ちかつ高付加価値を実現する価格」を追い求めることが、商売のイロハです。

売上から原価を差し引いたものが”売上総利益(粗利益)”です。

一般的に「粗利益率」という指標は、売上原価/売上×100で計算します。

この粗利益率(売上総利益率とも呼ばれます)は、例えば売上が1億円の場合、粗利益の1%向上は実に100万円(1億円の1%)の利益貢献をもたらします。

それだけ、粗利益率の管理(マネジメント)は重要かつ難しい試みなのです。

投稿日: 2019年9月7日 | 6:00 am

起業家が軌道化するために−1 〜起業後のマーケティング考察〜

仕事上、起業家についての研究と研修をする機会が多いのですが、アントレプレナーを応援する立場として様々な提言をしています。

今回は、数回にわたり起業家が商売をキックオフした後のことについて記述していきます。

起業家の特徴として、経営計数に弱点を持っている方が多いことが挙げられます。

あくまでも特徴ですので、「自分は経営計数に強い!」とお考えの方は、お許しください(笑)。

経営計数として抑えるべきものは、実は多くありませんし、そんなに難しいものでもありません。

勉強するととても便利だし、商売を愉しんで営むことができる知識です。

そして、いわゆる経営の本には書かれていない「現場型の経営指標に対する考え方」を記述していきます。

まずは、一番目立つ指標「売上(うりあげ)」について述べましょう。

売上は、損益計算書(P/L)の一番上(最初)に記載されている指標です。この指標は深い深い意味があることを認識する必要があります。

売上は公式があります(いくつかあります)。ここではもっとも大切な公式を教えます。

売上=客数×客単価…です。な〜んだそのことか…と思うことなかれ。

では売上を上げるためには、客数と客単価のどちらを上げていきますか?という質問に答えられますか?

「そら、どちらもさ」と思いますが、当然です。では、どちらを先に上げますか?

答えは…明らかに客数です。なぜか?客単価というのは、とどのつまり「お客様の財布の中身」だからです。

財布の中身には限界がありますよね。小生が、客数を増やすことが最優先事項だと主張するのは、その意味からです。

それに客数は、経営基盤そのものです。客数さえ確保・増加していくような商売をされていると、経営基盤ば簡単には崩れません。

投稿日: 2019年9月6日 | 6:00 am

企業が変わるとき…。

中小企業経営を見つめていると、この組織は「変わる必要がある、変わらなければ未来がない」という局面に出会うことがよくあります。

経営は生き物ですから、自然に変わっていくことはありません。

つまり、変えていくような意識と行動をしていかなければ、変化は望めないのです。

では、中小企業が”いい方向”に変わっていく(経営革新とあえて言います)ための、”きっかけ”は以下の3局面に集約されます。

ひとつは、「新商品の開発」です。

新しい商品の開発に成功すると、企業は”夢”を描くことができます。

その商品に、新規性が備わっているとなおさらです。中小企業は高付加価値経営です。

高付加価値の源泉は、新規性にあると言ってもいいでしょう。

ふたつめは、「新顧客の開拓」です。

新しい取引先が開拓できたとき、企業経営は革新の機会を得ます。この顧客が優良企業や優良顧客の場合、その変革は大きいものになります。

収入が増えますし、新しい取引先はさらなる取引先を開拓できるチャンスも演出してくれます。

みっつめは、「新しい組織・制度を創る」ことです。

企業の仕組みや、制度をゼロから見直してリフォームしていくことです。

例えば、指示命令系統の見直し、新人事・評価制度の構築、人財の抜擢…などなど。

中小企業は、環境適応業であると言われます。

取り巻く経済環境は、当然のように変革していきますし、企業自体が変わるきっかけの演出には絶えず注意しておく必要があるのです。

 

投稿日: 2019年9月5日 | 6:00 am

事業承継成功の最大のコツ

中小企業の事業承継が、身近な課題として皮膚感覚で感じられるようになりました。

後継者が明確になっている中小企業はまだいい方で、後継者が見つからない、あるいは誰も後継しようとする人財がいないという中小企業は、いく末が不安になりますよね。

行き着く先は、M&Aや廃業などの処置を取らざるを得ないことになりかねません。

M&A(吸収合併)は、まだいいとしても、廃業はできれば避けたいものです。

理想は、中小企業の場合はご子息や、信頼できる経営幹部に承継することですし、この姿が最も美しいと思っています。

ただし、ご子息に承継するときは注意が必要で、能力やマインド・ハートに経営者としての資質を見出せない場合があります。

そのときは、能力ある他人への承継がベターでしょう。

事業承継は本当に難しい。

ただでさえ難しい事業承継をスムーズに進めていくコツは、ただ一つ。

「早期の承継計画立案」以外にありません。特に、計画は10年の長期的プランが必要であると考えています。

大枠は4年間の事前準備計画、2年間の承継計画、4年間の軌道化計画というイメージです。

特に、軌道化が難しいフェーズになります。事業承継となると、「承継して終了…」というイメージを持ち安いですが、根本的に間違っています。

「承継してからが、事業承継の本当のスタートである」ことを認識しなければなりません。

投稿日: 2019年9月4日 | 6:00 am

イマドキの広告戦略

インターネットの普及と席巻により、個人や組織が手軽にPR戦略を実行できるようになりました。

このことは、広告代理店業界にとって死活的な環境を形成したことになります。

本来の広告代理店のミッションは、クライアントのマーケティング戦略の立案とブランディング支援などになります。

しかし地方の広告代理店を中心に、マスコミに契約を結んだ既得権益を武器にして、いわゆる”広告屋さん”になってしまった企業も少なくありません。

一昔前と違い、広告代理店の「お願い営業」は全く通用しない時代になりました。

SNSを通じて、広告・PR展開は手軽になりましたし、無料動画サイトも発達して、自分で番組のような情報発信も可能になりました。

テレビ以外の番組も、インターネット内で楽しむことができます。むしろ、様々な制約がない分ネット番組の方が刺激的で面白かったりしています(笑)。

会計上でいうと、広告宣伝費という勘定科目が、以前は販管費(今でも法律上はそうですが)として扱われていました。

ところが、現在の広告宣伝費は明らかに”投資”となっています。

また、中小企業経営は使える経費が限られています。

限られた広告予算を、何にどれだけ、いつ、どのような方法で投下するか…。

このことを、熟考しながら戦略実行していくことが求められます。

従って、広告代理店業界は本来クライアント(スポンサー)が何を求めているかを常時考え、ホンモノの提案をしていくスキルとマインドが求めれているのです。

投稿日: 2019年9月3日 | 6:00 am

ブームをどう捉えるか?

中小企業経営はいくつかの禁じ手(タブー)があります。

その一つに、流行り廃りの「ブーム」に乗る商売というものがあります。

このことは、近年の商売における歴史が証明しています。

ボーリング場、カラオケスタジオ、岩盤浴…。最近では、タピオカ店などがその例でしょうか?

継続的な設備投資に限界がある、中小零細企業の経営は、次々とやってくるブームに乗っていくだけの体力はありません。

時々、「これからどんな商売がいい(流行る)と思いますか?」と創業者や起業家から相談されることがあります。

小生の答えはいつも同じ。「何でもいいのではないでしょうか?」です。

つまり、どんな商売でも成功や失敗というチャンスとリスクは付き物ですし、タブー(禁じ手)を犯さない限り、商売を継続していくことはできると確信しているからです。

このブログで何度も訴えていますが、商売(経営)に成功と失敗の定義があるとすれば、成功は「永続発展」であり、失敗は「事業そのものの終了」です。

儲かることが成功ではありませんし、一時的な赤字が失敗ではありません。

そして、中小企業経営のあるべき姿は「高品質・高付加価値・高価格」であることに間違いはありません。

ブームを追い求めたビジネスは、価格競争に陥ることも多い。

ブームを追い求めるよりも、足元(本来)の事業における商品の品質を磨き上げて、等身大のビジネスを推進されていくことをオススメします。

投稿日: 2019年9月2日 | 6:00 am