中小企業診断士として生きる−3 〜その価値とあり方の考察〜

小生は、平成19年4月に中小企業診断士登録のために、法政大学経営大学院で1年間学びました。

37歳の時です。その1年は、小生の人生にとって大きな転機になったことは、このブログで書いてきたとおりです。

中小企業診断士が、いかにクライアントに喜ばれる仕事か…ということについて話したいと思います。

これを語る前の前提として、中小企業経営の実態について書きます。

中小企業経営の実態を知らなければ、間違ったコンサルティング提案をすることになりますし、何より”実態に寄り添った”仕事ができないからです。

まず中小企業は、経営資源が圧倒的に不足しています。

経営資源というのは、俗に「ヒト、モノ、カネ、ジョウホウ…」と言いますよね。

それは大企業の話です。中小企業の経営資源は「ヒト=人財」だけです。

だけどそれでいいのです。優秀な人財を育めば、いいモノも多額のカネも創り出してくれるからです。

ですので、中小企業診断士は人財を育む支援をしていかなければなりません。

具体的には、研修制度を作り研修講師として活動したり、人事(考課や評価)制度を創る支援をしたり、人財が育つカウンセリングをしたり…などの活動です。

また、中小企業の経営者の特徴を知ることも大切です。

毎日毎日、”切った張った”の勝負をしている中小企業経営者に対して、中小企業診断士はリスペクトしなければなりません。

中にはどうしてもリスペクトできない経営者がいますが、そのような企業とはご縁がなかったと支援をしない選択が賢明です。

次回は、このあたりを詳しく述べましょう。

投稿日: 2019年8月4日 | 11:00 pm

中小企業診断士として生きる−2 〜その価値とあり方の考察〜

名称独占資格の中小企業診断士には、既得権益がありません。俗に士業とよばれる専門職の中でも、珍しい国家資格と言えるでしょう。

また、他の士業資格はほとんどが法律系の資格です。

中小企業診断士は、法律家ではありません。法律の専門分野もありません。

強いて言うならば、「会社法」に詳しいくらいでしょうか?

しかし、経営のコンサルティング局面で、経営者から法律に関する相談を受けることがあります。

もちろん、適当な答えをすることはできません。その場合は、人的ネットワークを持っているかが経営者からの信頼を得るかどうかを決めます。

一番いけないのが、「専門分野ではないので…」と放置すること。

あるべき答えは「専門分野ではないので、適当なことは言えません。後ほど調べてお答えします」です。

中小企業診断士は、他の士業資格と比較して守備範囲が広いのが特長です。

そのため、広い見識と視野を備える必要があります。

ところで、弁護士はさまざまな他の資格(税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士など)への登録が可能です。 ※司法書士は、代理業務が可能

法律系の資格で弁護士が登録できない(代理もできない)資格は、公認会計士、土地家屋調査士です。

もちろん中小企業診断士も登録できません。専門分野が全く違うからです。

他の法律系資格が「過去の事例を基にした課題解決」を専門とするならば、中小企業診断士は未来の問題解決を担う専門家です。

時には過去の根拠に基づかない、コンサルティング提案をする場面があります。

そのために、日々日々、自らのスキルと皮膚感覚・経験、知見・知性、五感を使った観察力などを磨いておく必要があるのです。

投稿日: 2019年8月3日 | 11:16 am

中小企業診断士として生きる−1 〜その価値とあり方の考察〜

国内で2万人超と言われる登録者数の中小企業診断士。小生も保有する国家資格(経済産業省登録)です。

中小企業診断士は、別段に既得権益(その資格でしかできない守られた業務)がある訳ではなく、それだけに守備範囲の広い無限の業務があると言ってもいいでしょう。

平成20年4月に登録し、プロコンとして活動して12年目に入りました。

中小企業診断士の仕事は、本当に価値のある魅力的な仕事であるとつくづく感じますし、困っている中小企業が数多存在するこの社会で、その活躍の分野は無限です。

自分は、中小企業診断士の仕事やミッションに誇りを持っています。

この仕事に巡り合ったことは、人生の大きな財産ですし、社会を生き抜くための強大な武器を手にいれた気持ちでいます。

あとは、手にしたこの武器を磨きに磨き上げ、社会のお役に立っていきたいと願っています。

同時に、中小企業診断士は「プロの経営コンサルタント」の資格です。

プロである以上、”稼がないと”いけません。

稼ぐ=収入を得て、収入を上げていく…ことがプロの姿です。

ただし、稼ぐことには数多くの前提条件があります。

その前提条件を満たさないと、中小企業診断士は「宝の持ち腐れ」となり、魅力のない仕事になってしまいます。

このブログでは、中小企業診断士として生涯生きていこうと決めている小生が、自分勝手に”価値とあり方”を考察していこうと思っています。

 

 

投稿日: 2019年8月2日 | 11:55 pm

小規模企業持続化補助金

平成30年度第二次補正予算による、小規模企業持続化補助金の採択企業が、中小企業庁のホームページに掲載されていました。

この補助金に応募できる事業者の定義。

小規模事業者とは、「製造業その他の業種に属する事業を主たる事業として営む商工業者(会社<企業組合・協業組合を含む>および個人事業 主)」であり、常時使用する従業員の数が20人以下(商業・サービス業 [宿泊業・娯楽業を除く]に属する事業を主たる事業として営む者につい ては5人以下)の事業者。※中小企業庁HPより抜粋。

とされています。

毎回、採択率にはバラツキがあり(3〜6割)ますが、今回は8割超という高い採択率でした。

多くの小規模企業が資金難にあります。

この制度は、使い道は限られていますが、広報費や新商品の施策費用などに使用できることから、採択された企業にとってはとてもありがたい補助金です。

補助率2/3で上限50万円(一定条件を満たすと100万円の上限)というのが、その補助内容です。

今回、小生が応援するクライアントが3社採択されました。

どのクライアントも、一生懸命本業に励み、厳しい経済環境を生き残るのに必死でがんばっている企業様です。

今回の補助金採択で、やっとホームページが作れる、新しい商品開発ができる…など様々ですが、とにかく採択されたことを喜ばれています。

先日も書きましたが、経営とは「三歩進んで二歩進む…やっと一歩進む」ものです。

この一歩進むというところが難しい…のです。

 

投稿日: 2019年8月1日 | 11:00 pm

三歩進んで二歩下がる…やっと一歩進む

昨日から1泊で、福岡市内のクライアント様にて「経営計画書策定研修会」をご支援してきました。

とても充実した、愉しい時間でした。

改めて、素敵なクライアント様とのご縁に感謝しています。

さて、経営計画書は社員(少なくとも幹部以上)を巻き込んだモノでないと意味がありません。

また、数字の羅列だけの「味もそっけもない」経営計画書は、その存在価値すらありません。

数字はあくまでも、目標であり結果現象です。

大切なのは、その目標にいかにしてアプローチするかを表現した「行動計画=アクションプラン」なのです。

ですので、アクションプランを策定していない経営計画書は、”計画書”とは言えないシロモノです。

経営計画書策定のポイントはいくつかありますが、最も大切なことは「無理な計画を立てない」ことです。

経営者によっては(コンサルタントにもいます)、高ければ高い目標を立てた方が、結果的にはいいと主張される方もおられます。

しかし、無理に高い目標を掲げた経営計画書は、現場スタッフのモチベーションを下げます。

これぞまさに「絵に描いた餅」「取らぬ狸の皮算用」なのです。

現場スタッフがもっともモチベーションを上げる目標は「頑張れば届く、頑張り方も分かっている」目標です。

無理目標を立てて、V字回復したとしましょう。

経営はその後が大変です。永続発展していかなければならないのですから…。

「三歩進んで二歩下がる…やっと一歩進む」のが経営のあるべき姿です。

投稿日: 2019年7月26日 | 9:52 pm

理念経営は簡単ではない…

理念に基づいた企業経営を推奨している者にとっては、この”理念経営”たるものの難しさに直面します。

それほど、理念経営の推進は甘くないし、簡単なことではないのです。

しかし、企業は理念(共通の価値観)に基づいた共感を進めて、運営していかなければなりません。

企業経営は”ヒト=人材”の業であり、ヒトが最大最強の経営資源だからです。

経営理念は大切で、明文化しましょう!ということを主張しても、あまり響いてもらえない経営者もいらっしゃいます。

経営理念(社是、クレドなどとも言います)というものが”何か?”ということが腑に落ちていないと、間違った解釈をしてしまいがちなのです。

明文化した理念を”ただの”キャッチフレーズだと思われている経営者…。

策定した経営理念を、社員の共通の価値観として浸透させようとしない経営者…。

口では理念が大切だと言っても、社員の行動に表れていない企業…。

理念経営の失敗例は、たくさんあるのです。

断言しますが、経営理念はただのキャッチフレーズではありません。

ましてや、ただの宣伝文句でもありません。

企業が大切にしている価値観を表現した、社会に対する約束事なのです。

経営理念を、朝礼や会議の始まりに唱和している企業があります。すばらしい取り組みだと思います。

なぜ、唱和するのでしょうか?

答えはただ一つ。

”初心を忘れず、今日も業務に取り組むため”なのです。

 

投稿日: 2019年7月25日 | 11:00 pm

社員研修は愉しみながら…

研修の依頼が増えています。社員の成長が、企業の成長であるというのは小生の主張ですが、研修の依頼が増えることは喜ばしいです。

研修・社員勉強会にも様々な形があります。

接遇研修やリーダーシップ、カイゼン活動など…。切り口は様々です。

以前、某接遇研修講師が、テレビで祭り上げられているのを見たことがあります。

その方の研修スタイルは、完全な威圧型。

参加者を怒鳴り散らし、叱咤し、競わせ、厳しい言葉を浴びせる…そんな研修でした。

もっとも、小生はそんな研修風景を虫酸が走るような思いで見ていましたが…。

ちなみに、その当時の上司(自称経営コンサルタント)は、早速その某研修講師の真似をしていましたね(笑)。

現在の研修スタイルは、参加者が愉しみながら受講できるアウトプット型です。

そこには、心から参加して愉しいなと思える研修内容が、立案されている必要があります。

また参加したい…と思える研修です。

ですので、圧迫スタイルのインプット研修はナンセンスです。もっとも参加者が「つまらないな」などと思っています研修はウケません。

昨日は、あるクライアント様で研修を実施してきました。

内容は「発言力、自分アピール力向上研修」です。

入社歴が浅いスタッフの方々が対象でしたが、とてもハイレベルなプレゼンテーションを見せてくれました。

講師を務めた小生も、心から愉しめた研修になりました。

双方向方のアプトプット重視、愉しみながら参加できる研修が正しいあり方だということを、改めて確認した一日でした。

投稿日: 2019年7月17日 | 11:00 pm

「仕事観」を考えてみる

一日24時間という、全世界の人に対して唯一平等に与えられている条件。

この「時間」という観念と「仕事観」は密接に結びついています。

時間は「生きている、かけがえのない期間」と小生は考えています。

そして「仕事をしている時間」を、ただ労働力と報酬の取引の時間として捉えると、とてももったいないのではないか?と考えています。

どんなお仕事でも価値があると思いますし、世の中の役に立たない仕事はないと思っています。

であるならば、仕事ができる環境と立場に感謝し、”愉しみながら仕事をする”方が幸せですよね。

ところが、仕事を作業として考え「やらされ感や義務感まみれ」で働いている人々があまりにも多いような気がしています。

断言できますが、発想を転換し行動を変えるだけで、仕事自体を愉しみことができます。

つまらない人間関係は別として、仕事自体をやりがいと愉しみに溢れた「幸せな時間」として前向きに取り組むこと。

「このタスクやミッションが、社会の役に立つ、困っている人の役に立つ、人の幸せに貢献する」という考え方をしてみましょう。

きっと仕事観が変わってくるはずです。

「働き方改革」が社会的に叫ばれている今日。

本当の意味での「働き方改革」は、企業側だけでなく「働く側」にも、発想と行動の転換を求められているのだと思う今日この頃です。

投稿日: 2019年7月14日 | 12:47 pm

起業のススメ

日本という経済風土は、起業(業を起こす=ビジネスを始める)という行為に対して、決して追い風ではありません。

セーフティーネットも十分に機能してはいないと思いますし、一度事業に失敗した起業家が、再チェレンジする公的支援は、万全ではないと思っています。

また、大学などの高度知性養成機関において、就職活動とともに”起業活動”なるものがあってもいいのではないでしょうか?

ちなみに小生は、37歳でビジネススクール(法政大学経営大学院)の門をくぐりました。

1年間の、とても充実した期間でした。今でも財産です。

ビジネススクールでは、起業経営とは何か?事業とは何か?ビジネスの目的は何か?…

ビジネス自体の体系を、多面的かつ立体的に学びことができました。

同級生には、すでに起業している仲間もいましたし、商売をいちから学び直したいというベテラン経営者もいらっしゃいました。

ゲストスピーカーとして、様々なベンチャー企業経営者の話も聞くことができました。

その時に学んだマインドは、起業(創業)して5年目を迎えた小生の心の糧と自信になっていることは言うまでもありません。

何より、失敗(事業が途中で終わってしまうこと)しないための基本と定石(やるべきこととやってはならないこと)を学ぶことができました。

起業の素晴らしさ、面白さ、大変さ、難しさは学ぶに値するものだと確信します。

大企業を狙って就職活動するのもいいでしょう。

公務員になりたいという夢も否定はしません。

しかし、一度しかない人生。自分自信の叡智をかけて、ビジネスを起こす”起業”も構想するのもいいのではないでしょうか?

若者よ!大志を抱け…です。

投稿日: 2019年7月13日 | 11:18 am

中小企業が投資すべきもの

企業は”投資”をしていきます。投資には、さまざまな形・対象物がありまして、代表的なものは設備投資です。

設備には、マシンや道具、車両、建物などがあります。

中小企業が投資すべき、最強の対象物は”ヒト=人材(人財)”であることは言うまでもありません。

企業にも人にも、身の丈という物があります。

過度な設備投資は、資金繰りを圧迫し、経営自体を困窮させる原因になりかねません。

設備投資も重要であることに間違いありません。

しかしながら、優先順位から言えば、人財に投資すべきなのです。

とりわけ中小企業は、”人を採用し、人を育て、人が愉しんで働く”環境づくりに投資する。

設備投資も、人財のマンパワー・スキルが最大限発揮できるかどうかを基軸に判断すべきです。

人財が揃っていれば、いい商品も開発(含:発見・仕入れ)できます。

人財が揃っていれば、お金も稼ぐことができます。

投資した設備を最大限活かして、経営のパフォーマンスを上げるのも人財に他ならないのです。

 

 

 

 

投稿日: 2019年7月12日 | 11:00 pm