中小企業診断士の現場観察力

少し前に、「中小企業診断士の営業力」という投稿において、現場観察力(調査力)×ヒアリング力×執筆力(企画書)×プレゼン力である、という内容を記載しました。

その中の「現場観察力(調査力)」について書きたいと思います。

中小企業診断士の仕事は、現場を観(診)なければスタートしません。つまり現場観察力は、プロコンとしての登竜門なのです。

これまで触れ合った同業者の中に、稀にですが経営数値や業績数値、決算書のみで今後の方向性を提案する輩がおられます。

他の士業の方々にもよく見受けられますが、経営の業績数値(財務諸表)だけでは的確な戦略は浮かびません。絶対に!

インターネットで収集する情報も同じです。

中小企業の課題と解決策のヒントは、現場にあります。

小売業ならば店舗内に。卸売業ならば倉庫や在庫場、営業会議に。製造業ならば工場内に…。

現場に入り、現時(タイムリー)に、現物(商品や出来事)を観察することで、改善策や戦略が浮かび上がるのです。

SWOT分析をはじめとしたフレームワークは、現場で観察した情報を整理するための重要なツールなのです。

現場に入って、写真・動画を撮り、メモに記録するという地道な作業が重要です。

投稿日: 2019年5月8日 | 8:00 am

独立診断士−3

経営コンサルタントの仕事は、クライアントの個別具体的な課題を見つけ、個別具体的な戦略を立案し、個別具体的な施策実行を推進することです。

つまり、書籍やセミナーで学んだことをそのままクライアントに提案しても、経営者のハートには響きません。

響かないということは、支援依頼を受けることができないということです。

当然、中小企業診断士(経営コンサルタント)として仕事になりません。

結果として、稼ぐことができないということになります。

 

経営コンサルタントを「首から上で」仕事する、という表現をした自称コンサルタントもいました。

恥ずかしくなりますね。

中小企業診断士は違います。

全身全霊を傾けて、ご縁をいただいたクライアントが”いい会社”になるための施策実行を支援しなければなりません。

まあ、その自称コンサルタントは、前日に本を読んで覚えたランチェスター戦略理論を、翌日クライアントに講義するという愚行を平気でするような輩でしたから、何をか言わんやです。

 

独立診断士は、コンサルティング手法(あえてノウハウという言い方をします)を自分で研究開発していかなければなりません。

脳みそフル回転です。

参考にする理論やフレームワークはあります。

公開されたフレームワークを、自分のノウハウとして個別具現化すればいいのです。

中小企業の経営者は、常に課題をもって事業を推進されています。

 

個別具体的な課題に対し、個別具体的な戦略を立案し、個別具体的な施策を実行支援して、”喜ばれる独立診断士”になってください。

投稿日: 2019年5月7日 | 7:00 am

独立診断士−2

”たのしくなければ仕事じゃない”というのは小生の信条です。

仕事を「苦労するもの」「きついもの」「負担となるもの」と考えると、人生はあまり幸福とは言えないのではないでしょうか?

こんな話をすると、「楽してどうするの?」という質問を受けることがあります。

小生が提唱する「たのしい」とは「楽しい」ではなく「愉しい」です。

つまり、課題に立ち向かう愉しさ、目標を達成する愉しさ…です。

独立診断士になると、こんな愉しい(ワクワク)するような仕事ができます。

クライアントを支援し、ともに夢を見て進んでいける仕事だからです。

クライアントの未来をともに創れる、クライアントを幸せな企業に導ける・インキュベートできる仕事だからです。

残念ながら組織所属型診断士では、この高揚感を味わうのは難しいでしょう。

 

また、独立診断士は”稼ぐこと”ができます。「中小企業診断士は食えない資格」という俗説がありますが、それは真っ赤な嘘です。

どんな士業も、開業しただけでは食べていくことはできません。

クライアントとのご縁を仕事にできる姿勢・心を備え付ける必要があります。

お客様(クライアント)とのご縁を仕事にできない…何かが間違っているのです。

そして、独立診断士こそテクニックに溺れてはダメです。「やり方」じゃなく「あり方」。

ハートや熱意、姿勢をブラさないことが最も重要です。

 

投稿日: 2019年5月6日 | 8:00 am

独立診断士−1

令和元年5月1日をもって、小生が経営するコンサルオフィスは第5期目に突入しました。

この4年間を振り返ると、常に走って走って来たような気がします。

まさに、あっという間の4年間でした。

さまざまな中小企業経営者と会い、語り合い、触れ合ってきました。

仕事自体、本当に愉しいものですし、経営コンサルタント(中小企業診断士)として活動することの幸せと喜びを、心から感じているこの頃です。

独立コンサルタントを生業として、本当に良かったと思うことがたくさんあります。

縁あって、中小企業診断士として活動する仲間には是非とも独立し、フィールドに飛び出して、課題多き中小企業経営の支援に携わっていただきたいと切に願います。

会計事務所のコンサルティング部に所属していた時には、「クライアントをセレクトする」ということができませんでした。

なぜなら、クライアントは”会計事務所のクライアント”でもあります。

仕事を断っていまうと、失礼になるからです。

しかし、独立すると「クライアントをセレクトする」ことが可能になります。

善くも悪くも、責任は自分に覆いかぶさります。しかし同時に、自由と権利も自分に付いてきます。

経営コンサルタントは、「経営者と価値観を共有・共感する」ことが極みて重要です。

経営に向き合う価値観が違えば、提案・立案する戦略実行案が全く違う物になっていくからです。

独立して良かったと思うことは、まず「支援したいと思うクライアントを選べるようになった」ということです。

投稿日: 2019年5月5日 | 8:00 am

勝って兜の緒を締め続ける…。

「勝って兜の緒を締めよ」という言葉。日露戦争時、日本海海戦にてバルチック艦隊を打ち破った東郷平八郎司令長官が言った言葉として有名です。

中小企業経営においても、この言葉の意味を鑑みることができます。

中小企業の経営は課題の連続です。

解決しても解決しても、次の課題に直面する…逆に言うと、課題が浮かばない経営は成長が止まってしまうということなのです。

特に、ブランディングを推進するような「高付加価値・高品質・高価格」戦略を実行していく際、気を緩めるコトなく走り続けるという覚悟が必要です。

企業や商品のブランディングが進めば進むほど、直面する課題も、大きく深くレベルが高くなっていくからです。

ネット社会の今日。いつ何時、悪い情報が流れて企業イメージが落ちてしまう事態になりかねません。

いい情報も早く伝わりますが、ネガティブな情報はもっと早く社会を駆け回る…怖い時代です。

ブランディングを推進していくコトに比例させて、人財教育・育成に注力しなければ、せっかく創り上げたブランド基盤が、根幹から崩れていくコトになりかねないのです。

まさに「勝って兜の緒を締め続けよ!」です。

投稿日: 2019年5月4日 | 4:39 pm

目標達成がコンサルタントの仕事か??

前にも書きましたが、「私は絶対に失敗しません。」とか、「必ず成功させます。」というコンサルタントに本物はいないと断言できます。

失敗?成功?その定義はともかくとして、業績が上向く事や、利益目標を達成する事が成功とするならば、なおさら「必ず」や「絶対」という言葉は信用できませんね。

もし成功法則が明確にできるコンサルタントがいるならば、自分でビジネス(事業)を始めていますよね。だって、ぜったい儲かる方法を熟知されているんでしょうから…。

また、経営コンサルタント(少なくとも中小企業診断士ならば)は、業績目標達成を絶対使命とすると、誤った経営判断を提案してしまいます。

コンサルタントの使命は「クライアントを”いい会社”にする事」であって「クライアントの業績目標を達成する事」ではないのです。

前にも述べましたが、業績がいいから”いい会社”とは限りません。”いい会社”だから業績がいいのです。

ですので、経営コンサルタントの仕事は、業績目標を達成することではなく、クライアントを”いい会社”にする支援という事になります。

念のために言っておきますが、業績目標をコミットするコンサルタントは結構おられます。

むしろ、小生のような価値観を持ったコンサルタントが少数派でしょうね。

投稿日: 2019年5月3日 | 11:41 pm

賞与の考え方

俗にボーナスと呼ばれることが多い賞与。サラリーマンにとっては、ボーナスを貰えることがひとつの目標になっていることが多いですね。

ちなみに、賞与制度というのは労働基準法で定められたモノではありません。

また、企業独自の制度内容を設計できます。

企業が賞与を設計し、制度化するとき気をつけなけばいけないコトがあります。

絶対やってはならない禁じ手は、社長が鉛筆ナメナメで勝手に決めてしまうコトです。

以前所属した会社では、コンサルタント会社にもかかわらず正式な計算式がありませんでした。

代表者に聞いても、「そがんとなか…(そんなものないよ)」と言われる始末。

じゃあ、どうやって決めていたのか甚だ疑問です。

人事考課制度と考え方は一緒で、賞与も社員のモチベーションを上げないと経営的には意味がありません。

その制度が、不透明な決め方で社長が勝って決めたとなると、やる気も失せるというものです。

それが、コンサルティングを生業としている企業が、平気で実施しているから呆れます。

社員が一人でも入り賞与制度を設定した際には、是非とも科学的な根拠(計算式)に基づいて、面談を併用して賞与額を伝えるコトがオススメです。

 

投稿日: 2019年5月2日 | 10:59 pm

社員研修は業務とマインドを併用して。

令和の時代になりましたが、時代が変わっても、人間と営みである”商売=経営”においては不変のものがあります。

それが社員(構成メンバー)の成長促進や育成といったものでしょう。

中小企業経営の唯一無二の経営資源である”ヒト”。

ヒト=人財の成長が、企業の成長に連動・比例することは間違いないからです。

では、中小企業経営において社員が”学べる”取り組み「社員研修制度」はこれからも断続的に導入・継続していく必要があります。

社員研修は、異業種が集まるような集合研修もいいのですが、何よりも「自社の業務を勘案したオリジナルの研修プログラム」がオススメです。

業務内容を意識した、マインド(経営理念)教育を併用した内容です。

したがって、社員研修を企画するコンサルタントやインストラクターは、企業の業務内容を可能な限り”知る”必要があります。

入念なヒアリングや現場視察により、出来うる限り現場に肉薄した業務内容の把握が重要です。

 

令和の時代は、我々のような士業にとってAIの出現が脅威になる時代と言われています。

AIは過去の膨大なデータから、未来を予想していくでしょう。

しかし、中小企業診断士や経営コンサルタントの仕事は、完全に未来のクリエイトです。

過去のデータや慣例にとらわれない、企業の”これから”を創る中小企業診断士の活躍の場は、これからも無限に広がっていくでしょう。

投稿日: 2019年5月1日 | 6:00 am

蘇る、ぞうさんギター

およそ27年前。大学4年生の時です。ハウスクリーニングのアルバイトをしていた小生は、ある友人と知り合いになりました。

彼は、家庭に特別な事情を抱えている青年で、年齢は小生より2歳年下でした。

学歴はなく、中卒で働いている男でしたが、とてもしっかりとした考えを持っていたことを覚えています。

アルバイトの休憩中、様々なことを話しました。

彼が置かれた特殊な環境、そして価値観、これからの人生のこと…。

触れ合った時間は短く、半年ほどだったと思います。

卒業をまじかに控えた小生は、ハウスクリーニングのアルバイトを辞めました。

アルバイト最終日、その友人は、小生に自分が使っていたギター「ぞうさんギター」をくれました。

その時、「あなたのように僕に接してくれた人は、はじめてでした。これからもお互いがんばりましょう。これは友情の証です。」と言ってくれたことが忘れません。

今では、名前も忘れてしまった友人。顔や表情だけははっきりと覚えています。

昨日、20年ぶりにその”ぞうさんギター”を押入れから引っ張り出し、弦を張り、電池を入れました。

スイッチオン…。

たどたどしいけれども、ちゃんと音を出してくれます。

ぞうさんギターは、ちゃんと生きていました。さっそく、弾いてみます。

まだまだ若かったころの思い出。短い期間でしたが、さまざまなことを語り合った友人との思い出とともに、ぞうさんギターは蘇りました。

 

平成最後の投稿になりました。その投稿をなぜか、おそらくもう会うことはないであろう友人のことを、思い出の大切なギターとともに思い出せたこと。

感慨深いものがあります。

 

投稿日: 2019年4月30日 | 11:59 pm

ブランドはスタッフが創る

中小企業経営の基本戦略は「高付加価値・高品質・高価格」戦略であることは間違いありません。

これを一言で言うと”ブランディング”ということになるのですが、ブランドはカンタンに構築できるものではないのです。

中小企業診断士として活動する小生が直面する中小企業経営の課題の多くは、このブランディング構築であると言っても過言ではないでしょう。

ブランディング戦略を進めていくにあたって、「広報戦略をどう展開するか」とか「営業部をどう動かすか」などの相談を受けますが、ブランディングの根幹は「品質=クオリティ」に他なりません。

つまり、小手先のテクニックで成立するものでなく、経営の根幹(クオリティ)にアプローチし、コミット(担保)しなければ構築できないのです。

ブランドは経営者だけが頭の中で推進するものではありません。

ブランドを創っていくのは、現場で頑張るスタッフ、メンバー達です。

ブランディング戦略をうまく推進していくために必要な要素(ファクター)はいくつかあるのですが、最も大切なのは二つと考えています。

「その戦略が経営理念に沿っているか?マッチしているか?」

「スタッフ、メンバーの成長を促す施策が取られているか?」

当然、経営自体が理念に向けてブレずに邁進していることが、必要条件です。

投稿日: 2019年4月28日 | 11:52 pm