中小企業診断士の実際 〜価値創造のスキルを上げよ

中小企業診断士は「価値と価値を掛け合わせて新しい価値を創り出す(あるいはその支援をする)専門家である」という主張は、これからも変わることはないと思います。

求められるスキルの多くは、クリエイティブ・スキル(つまり、ゼロからイチを創り出すスキル)でなのです。

多くの診断士が、クリエイティブスキルを苦手分野としているような気がします。

小生もその実、”ものすごく得意!”という訳ではありません(時々、神が降りてきたように資料やワークシートを創り出すことができる時がありますが…)。

 

価値を創造するスキルは、何も自分一人で完結する必要はないのです。

 

つまり、各分野の専門家とネットワークを組んでおくことが重要になります。

小生も、士業(弁護士、税理士、社会保険労務士など)をはじめ、デザイナーやイベンター、広告代理店などとのネットワーク(人脈)を大切にしています。

また、尊敬する先輩コンサルタントから様々な資料や情報をいただくこともあります。本当にありがたいですね。

 

知的財産は、経営コンサルタントしての生命線です。

その知的財産も、「価値と価値をかけあわせて新しい価値(知的財産)を創り出す」ようにできる”日頃からの人的ネットワーク(信用と信頼、ギブアンドテイク…)の構築が大切なのです。

 

投稿日: 2018年11月11日 | 1:00 am

原材料の高騰に対応する経営戦略

食品をはじめとした原材料費の高騰は、売上原価(モトデ)を直撃します。

売上が3000万円の飲食店経営の場合、売上原価の1%高騰は利益を30万円圧迫するという事態になります。

つまり、原価マネジメントは中小零細企業にとって重要な経営戦略なのです。

 

では、原材料の高騰に対応するにはどのような経営戦略を取りますか?

もっともよくない禁じ手は、何もせずに利益圧迫を受け入れることです。

 

で、理想的な経営戦略は、原価率高騰に従い販売価格も上げることです。

つまり客単価を下げないどころか、上げるという選択肢です。その選択は、日頃からブランディング戦略に取り組んでいく必要があります。

お客様に”原材料費の高騰により、値上げしました”というアナウンスをするかどうかは別として、オンリーワン商品開発を手がけてブランディングしていれば、お客様が離れていくことはないのです。

もうひとつ、セット販売を徹底して(小売店の場合ですが)、利益率でなく利益額を確保するという方策もあります。

 

いずれにせよ、地道で長期的なブランディングの取り組みさえしていれば、原材料費の高騰という事態にも動じない経営戦略が可能になるのです。

投稿日: 2018年11月10日 | 1:00 am

リクルーティング(採用活動)のための情報発信

中小企業として人材の確保と活用および人財への育成は、今後の業績趨勢を決定する最大の戦略であると言えます。

とはいえ、特に地方の中小企業にとって、そもそも人財が集まりにくいというハンデの存在は否めません。

一方で人財確保が難しい業種でありながら、採用希望の人材が次々とアクセスしてくる中小企業があることも事実です。

では、そのような企業がどのようなリクルーティング活動をしているのか?気になりますよね。

15年にわたるコンサルタント経験から導き出した、共通ポイントを列挙します。

ぜひ、参考にしてください。

 

①HPやSNSなどを活用して企業努力をアピールしている。

②同じく情報発信ツールにより、活躍するメンバーの顔写真や仕事中の写真・動画をアップしている。

③安易な求人情報をアップしない。例)希望業種、給与など

④求人情報よりも企業情報(特にメンバー、経営理念、商品価値など)をアップしている。

⑤写真や動画をふんだんに使い、企業のイメージをしやすい情報発信をする。

⑥学校やハローワークと、リレーション(関係性)を強固にするようなコミュニケーションをとる。

⑦風通しのよい、社員がイキイキと頑張れるような社風を創る。

 

とまあ、こんなところでしょうか?

中長期的な視野で普段から、いい会社にしていこうとする努力が、人材が集まる会社になるための取り組みなのです。

投稿日: 2018年11月8日 | 11:51 pm

中小企業診断士の実際 〜コストカッターと対極にある診断士

利益を獲得するために、人件費をはじめとした”未来型経費”を平気でカットするよう指導するコンサルタントがいます。

後述しますが、経費には「現在型経費」と「未来型経費」とがあります。

未来型経費の代表格は、もちろん人件費です。

人件費が、経営の最終目的であると断言する優良企業もあるほどです。

中小企業型家の根幹は、ヒトが決定するという至極あたりまえの原理原則を実践されている証でしょう。

 

はっきり断言します。コストカッターは、誰にでもできる稚拙なコンサルティング施策です。

特に未来型経費である「人件費」「研究開発費」「教育費」「広告宣伝費」などカットしてしまうと、企業体質がやせ細ってしまいます。

結果、負のスパイラルに陥り、回復自体が困難になっていくのです。

 

中小企業診断士は、コストカッターではありません。

「価値と価値を掛け合わせて新しい価値を創り出す専門家」です。

ですので、コストカットではなく新しい価値を産み出して売上・利益を創出する支援をしていかなければなりません。

まさに経営革新(イノベーション・マネジメント)を起こす支援をしていくスキルが求められます。

 

投稿日: 2018年11月7日 | 1:00 am

唐津くんち2018 宵山(よいやま)を愉しむ!!

今年の唐津くんちは、11月2日(金)・3日(土)・4日(日)の4日間です。

今日は、唐津市内の老舗酒屋さん、ワインセラーカワハラ様が主催されている「夜な夜なワインバー」を心ゆくまで愉しんできました。

宵山は、祭りの初日を飾るイベント。

なんでも、昭和37年から行列による宵山が行われるようになったそうです。

2日(金)の19時半。刀町の曳山が大手口から曳き出されて東に向かいます。

そして各町の曳山が通りに一番近い場所から参加。最後に唐津神社前に勢ぞろいするのです。

この光景は本当に幻想的。観光客は、心から魅了されます。

さて、今日の夜な夜なワインバーは、本当に楽しかった。

バイキングでのビュッフェスタイルの料理と、ワインや日本酒、焼酎が飲み放題。心ゆくまで愉ませてもらいました。

唐津くんちは、お酒と合います。

 

投稿日: 2018年11月2日 | 11:59 am

中小企業診断士の実際 〜儲け方の指南は不可能である

中小企業診断士として日々活動していると、経営そのものの目的を履き違えている経営者に時々遭遇します。

「中小企業経営の本質は、儲けることが目的でなく、関わる全ての人を幸せにすること」とは恩師、坂本光司先生の言葉です。

つまり、「いい会社」になることが経営の目的なのです。

であるならば、”儲けること”は何でしょう?

売上・粗利・営業利益・経常利益…などは、すべて”結果現象”にしかすぎません。

結果現象ならば、未来にあるものは”目標”ということになります。そうです。業績というものは、「目標であり、結果現象にしかすぎない」のです。

 

中小企業診断士として経営者の寄り添う時、「儲け方教えますよ」という言葉・指南はダブーです。

もしそのようなスキルを備えた診断士がいれば、お目にかかりたい。

実際に、そのような言葉を憚りなく口にする人もいますし、「私は失敗したことがありません。」と断言していた経営コンサルタントも知っています。

 

中小企業診断士は、クライアント企業が「いい会社」に近づいていくための支援をする専門家です。

前にも書きましたが、診断士は魔法使いではありません。

ましてや、錬金術師でもありません。

後述しますが、コストカッターでもありません。

 

中小・零細企業(個人事業含む)経営の町医者的存在として、縦横無尽に走り回るスペシャリストです。

また、処方するのは明らかに漢方薬です。

この辺りについては、後述したいと思います。

 

投稿日: 2018年11月1日 | 1:00 am

中小企業診断士の実際 〜中小企業診断士は魔法使いではない

経営コンサルタントの国家資格である中小企業診断士。

この資格を志している仲間たちの中に、「診断士は経営のエキスパートであり、何でも解決出来る専門家」という妄想を持っている人がいたら、それは大間違いです。

実際に、そのような考え方を持って中小企業診断士を志していた人も知っていますし、それが試験勉強に取り組むモチベーションになるならば、よしとしましょう。

しかし、中小企業診断士は「経営課題を何でも解決出来る魔法使い」ではありません!

 

中小企業診断士に出来ることは、”経営者に寄り添い、伴走し、ともに悩みながら解決策を探っていく”ことです。

そのために全知全能・人的ネットワーク・情報収集力を駆使していくのです。

もしも、経営課題の全てを解決出来る専門家ならば、自分で他の商売を始めても全てがうまくいくはずです。

そんなはずはないですよね。簡単な理屈です。

あえて言うならば、「中小企業診断士は、失敗(事業の断念)の可能性を限りなく低減させる専門家」なのです。

その実像は、経営者をクレバー(賢く)するサポーターではなく、「経営者の頭の中をクリアにする」支援者と心得ましょう。

投稿日: 2018年10月31日 | 1:00 am

中小企業にとっての「働き方改革」とは?

政府が国策として取り組んでいる「働き方改革」。この考え方自体は、ワークライフバランスの重要性を訴えるコンサルタントして賛同しています。

法令によって就労時間の制限を設定して、長時間労働の解消をする。

非正規社員と正規社員の格差を是正し、高齢者の就労を促進する様々な制度を設定することも世の中の流れなのでしょう。

また、国としては、このような法令や制度をつくることが、”できる”ことなのでしょう。

 

しかし、中小企業が取り組むべき「働き方改革」は、根本的な考え方を”やり甲斐のある、仕事が愉しい”と思われる社風づくりと言えます。

もちろん、法令の順守や制度の取り組みは大切です。

しかし、全社的な社風をつくりやすい中小企業は、「社員・メンバーがイキイキと働くことのできる、愉しい社風づくり」こそ、真の働き方改革として取り組んでいくべきだと思うのです。

投稿日: 2018年10月30日 | 3:38 am

『下町ロケット』に見る中小企業経営学

日曜劇場「下町ロケット」を観ていますか?この時期、毎週日曜日の21時からTBS系列で放映されています。

TVドラマもいいですが、この物語は本で読み、味わうことがオススメです。

今回の舞台は、農業。トラクターの自動運転システムに関する物語です。

技術や品質に裏打ちされたUSP(独自のウリ)が、中小企業経営にとってとても大切なファクターであることを教えてくれます。

 

中小企業が大企業に打ち勝つ、勝負を挑むためには「高品質・高付加価値・高価格」で突っ込むしかありあません。

フィクションとはいえ、中小企業経営にとって、この物語はとても参考になります。

特に、印象に残ったセリフがあります。

大企業、帝国重工の幹部、財前部長の言葉。

「理念と金儲けは、必ずしも一致しない。」「しかし、理念がない金儲けh、ただの金儲け。我が帝国重工がなすべきことではない。」

この言葉は、経営の目的が”企業理念”であり、利益追求ではない。

売上・利益・業績目的型経営は、いつか限界がくるということを示唆しています。

 

本を何度も何度も読み返しましたが、やはり名著。

経営者には、一読をオススメします。

 

 

投稿日: 2018年10月28日 | 11:53 pm

中小企業診断士の実際 〜中小企業診断士とMBA

MBA(Master of Business Administration)というものがあります。これをビジネス資格として捉えている方もいますが、MBAというのは経営大学院を修了したという経営学修士の学位のことを指します。

ちなみに、自分は法政大学経営大学院を平成19年に終了しました。

当時、第1期を開設したイノベーション・マネジメント研究科、MBA特別プログラム(中小企業診断士養成課程)の卒業生です。

 

11年前、当時37歳だった自分は、市ヶ谷の法政大学経営大学院の門をくぐりました。

1年間にわたる研究の日々。今でも懐かしく、充実したというには表現が薄すぎるほど、熱く燃えた1年間でした。

 

中小企業診断士は、MBAと比較されることが多いような気がします。しかし、意味は全く違います。

中小企業診断士は、あくまで名称独占の国家資格です。MBAは学位にしか過ぎません。

 

法政大学大学院で、MBAのカリキュラムに沿って研究したプロセスは、ビジネスの根幹・基本と定石を学ぶには最適な環境でした。

何より、志の高い仲間と苦楽を共にした夢のような時間。

人生の財産です。

 

これから、経営大学院でビジネスを学ぼうとする方へ、あえてエールを送るとすれば…。

机上の空論でビジネスを学ぶのでなく、経営現場で何が起こっているか?その実態に肉薄して、観察・確認・研究して欲しいということです。

特に中小企業診断士のスキルは、現場確認力からスタートします。

投稿日: 2018年10月21日 | 6:39 pm