中小企業診断士の実際 〜中小企業診断士とは何者か?

経営コンサルタントという職業柄、その実態における守備範囲はあまりにも広く、定義付けすることは難しいと言えます。

コンサルタントには、実に様々な業種が存在します。士業でいうと、公認会計士や税理士も経営コンサルタントと言えますし、司法書士や行政書士も法務コンサルタントということができるでしょう。

では、中小企業診断士は何者でしょうか?

この命題に対して、明確に答えられる診断士も意外に少ないような気がします。

プロの経営コンサルタント!という答えは間違いではないでしょう。しかし、それでは公認会計士や税理士と何ら変わりません。

小生の見解ですが、中小企業診断士とは「価値と価値を掛け合わせて、新しい価値を創造する(あるいはそれを支援する)専門家である」と考えています。

つまり、完全な未来志向型。

クライアントの未来を描き、帆走して支援する専門家です。

後ほど詳しく説明しますが、未来を創造するとはどういうことか?何をミッションとするのか?常に念頭に置いておく必要があります。

投稿日: 2018年10月20日 | 10:45 pm

中小企業診断士を志す君へ プロローグ〜中小企業診断士とは?

毎年11月4日は、中小企業診断士の日です。中小企業診断制度が施行されたことがきっかけのアニバーサリーだそうです。

中小企業診断士として登録して10年。

新しい船出として、まだこれからこの資格にチャレンジしていこうとする仲間たちに、この資格・仕事の素晴らしさと価値を主張していこうと思っています。

中小企業診断士は、経済産業省登録の国家資格です。しかし、既得権益があるわけではない、名称独占資格と言われる分野に入ります。

経営コンサルタントして、国が認めた名称独占の専門家ですが、決定された(固定された)仕事があるわけではありません。

よれゆえに、その活動分野は無限なのです。

中小企業診断士は、誰でも名乗れるわけではありません。難しい国家試験を突破して、経済産業省の登録手続きが必要です。

第一次試験を突破したら、二次試験(事例:記述試験)を突破、面接試験をクリするか、大学院や経済団体などが開講している養成課程を経るかという選択肢が必要になります。

自分は約11年前に法政大学経営大学院・イノベーションマネジメント研究科・MBA特別(中小企業診断士養成課程)をセレクト・終了しました。

今振り返ってみると、約1年にわたる養成課程でのカリキュラム・プログラム・経験は、何事にも変えられない貴重で価値ある体験でした。

今回、中小企業診断士を志しているまだ見ぬ仲間たちに、その仕事の意義や価値・愉しさ・魅力などを赤裸々に伝えることで、困っている中小企業経営者を共にサポートしていきたいと思っているからです。

 

投稿日: 2018年10月19日 | 10:03 pm

小さな会社こそメンバーの結束を!

中小零細企業が経営戦略実行に取り組むとき、最も大切なのはチームの結束力です。強力なチームワークと言ってもいいでしょう。

目の前に立ちはだかる課題、中期的な展望を阻害する要因、長期的なビジョンを達成するための計画をクリアしていくためには、チーム一丸となって同じベクトルで”がんばる”ことが重要です。

ところが、チーム一丸となってことに当たろうとするとき、背後から”うたれる”事態が、ときどき生じます。

目の前の課題(特に対お客様、対競合先)対策に当たるときにこそ、日頃のチーム力・組織力が試されます。

中小企業こそ、チームづくりが必要不可欠なのです。

では、チームをつくる秘訣は何か?

それはひとえに経営理念を語り、また、企業のビジョンをメンバーと常日頃から共有する時間と手間を惜しまないことに他なりません。

カネない、モノない、ジョウホウも不足しがちな中小企業においては、メンバーの知恵(叡智)こそ発揮すべき財産と言えましょう。

いざ革新的な経営判断を下すときに、前向き・建設的な立案をしてくれる組織づくりのために日頃から価値観を共有できる会議・ミーティング・打ち合わせを配慮することが大切なのです。

投稿日: 2018年10月18日 | 8:19 pm

はがくれ経営者塾 講師登壇にて

今日は、佐賀県中小企業診断協会の事業「佐賀県プロフェッショナル人材戦略拠点事業」活動の一環として開催されている「はがくれ経営者塾」の講師を務めました。

約25人の参加者様の前で、「中小企業経営戦略」に関する立案手法、考え方、着眼点などを約3時間にわたりお伝えしました。

いつものことながら、お伝えしたい内容の3割を網羅できただろうか…と反省しきり。

質問なども多く、一定の手応えは感じましたが…。

時間配分とプレゼンテーションスキルは、まだまだ成長の余地があるなと感じております。

もっともお伝えしたかったことは、

①中小企業経営の基本戦略は「高付加価値、高品質、高価格戦略」であること。

②経営戦略の目的は、”儲けること”でなく、「いい会社になる」こと。

③経営における各種戦略は、経営理念にベクトルを合わせたものであること。

④経営戦略を立案・実行するためには「オンリーワンの組織づくり」が不可欠であること。

⑤戦略立案ツールのSWOT分析を使いこなすコツ。

以上の5点です。

参加された経営者・幹部の方、いいご縁を本当にありがとうございました。

投稿日: 2018年10月17日 | 10:36 pm

経営会議のあり方 〜空気感が会議を変える〜

企業には各種会議が存在します。会議・ミーティングのない会社は、皆無と言っていいいでしょう。

会議の本質は、”メンバーが遠慮ない屈託のない、建設的な発言ができる”ことにあります。

ほとんどダメな(無駄な)会議も散見されますが、

もっともダメな会議は、経営者や幹部の独壇場で、上位下達(ジョウイカタツ)の一方通行方会議です。

これは会議とは言えない。

ただのレクチャーにしか過ぎません。

また、決定事項(アウトプット)が何もない会議も避けなければなりません。

ただの愚痴会になっていまします。

 

会議というのは、意思決定の場であり教育・成長を促す場と心得ましょう。

大切なのは”空気感”です。参加メンバーが、自分の”想い”を自由に発言できるような雰囲気作りが大切です。

萎縮した組織は成長しません。なぜなら、人財の成長が企業の成長に直結するからです。

 

会議を変えたい、前向き型・建設型会議を経営に導入したいという経営やの皆様は、空気感をガラッと変えることから始めましょう。

投稿日: 2018年10月16日 | 11:52 pm

経営幹部・リーダーを育てる方法

中小企業にとって、唯一の経営資源は”ヒト=人財”です。カネ(資金)やモノ(商品・サービス)は人財が創り出す産物にしか過ぎない。

この主張は、これまでもこれからも変わることはありません。

では、人財を育成(成長)するのは、経営幹部(経営者も含む)の仕事です。

これまで(独立するまで)、さまざまなスタイル・タイプの経営幹部と接してきました。

残念ながら、経験上、リスペクトできるような経営幹部は数少ないですね。

中には、もう会わなくてもいい、会う必要もない…ような輩もいらっしゃいます。

 

経営幹部・リーダーを育てるコツ(あえてコツという言い方をしますが…)は、ただ一つ。

経営理念を”語れるようになる”ために、心の底まで落とし込むことです。

理念に込めらられた文言・フレーズ、意味・意義などを理解して咀嚼し、落とし込むことが必要です。

 

部下(メンバー)を導く際の基準は、経営理念に他なりません。

間違っても、損得勘定や幹部の都合(わがまま)などで判断していくと、リスペクされない、メンバーを育てられない”つまらない”経営幹部が育ってしまいます。

投稿日: 2018年10月13日 | 7:44 pm

アントレプレナー(起業家)へのエール〜資金繰り管理のコツ〜

起業して間もない頃は、現金が不足して資金ショートになる傾向があります。

資金繰り管理というものが、起業発動期には特に重要となります。

資金繰り管理の最大のコツは、日々の現金の出し入れを面倒がらずにつけていくことに他なりません。

これをついつい面倒臭がってやらないと、気づいたら資金不足に陥り、カードローンなどに手をつけざるを得ない状況に陥るのです。

起業期は、現金管理で現金商売するくらいが丁度いいと思います。

事業が起動に乗り、売上や利益の安定感が出てきたころに、追加融資やカードによる資金繰り管理をするようにしたほうが無難です。

賢者身の丈を知る」です。

自らの事業の現状を顧みず、無駄遣いや散財を繰り返せば、たちまち現金がなくなります。

赤字より怖い資金ショート

現金(キャッシュフロー)経営が、特に起業期の健全な姿です。

投稿日: 2018年10月9日 | 1:00 am

経営理念・企業理念の重要性を主張する理由

いい企業・いい中小企業の趨勢は、経営のやり方(手法)ではなく経営のあり方(姿勢)が決定するというのは恩師・坂本光司先生の言葉。

日々、中小企業経営の現場を駆け回っていると、そのことが本当に正しい主張だということを実感します。

企業理念や経営理念は、「現場社員から、幹部・経営者に至るまで、可能な限りメンバー全員の想いを込めましょう」というのが小生の主張です。

最も良くない事例…。

何の想いも込めずに、インターネットなどから引っ張ってきた言葉をつなげただけの経営理念。これを推奨していたエセコンサルタントも知っています。

経営陣もしくは経営者だけで、自分たちだけの価値観を言葉にした経営理念

理念は目的であり、共通の価値観・絶対的合意事項のはず。

経営陣だけで策定するのはナンセンスです。

少なくとも、現場に最も近い幹部・リーダーは策定に参画すべきです。

マーケティング戦略や営業戦略、組織づくり、情報発信(IT化)戦略などの各種戦略。

財務管理や節税、M&Aなどに至る一連の事業活動は、経営理念から一貫した価値観が統一されていないとうまくいきません。

経営者・幹部が「何のためにその事業をしているか?」、現場スタッフが「何のためにその仕事をがんばるのか?」が一貫した価値観で統一されていないと、その活動はチープなテクニックにしか過ぎないのです。

投稿日: 2018年10月8日 | 1:00 am

正しい人事考課制度とは?〜定性評価の策定こそ肝〜

静岡の某大手地銀◯◯◯銀行の不正融資が事件となっています。

原因には、利益偏重の人事考課制度が上げられるという報道もありますね。

一昔前の経済環境ならいざ知らず、近年における人事考課制度は、利益偏重主義は絶対に通用しません

特にコンサルティング会社や会計事務所、その他士業における人事考課制度は定性評価(数字では計れない評価)の策定が肝です。

以前「数字こそ最も分かりやすい結果だから、数字がすべての評価要素」とする税理士の発言に怒りを覚えたことがあります。

今回の地方銀行における不正融資事件の原因は、おそらく数字(業績)がすべての人事考課制度にあるものと推察されます。

結局、その人事考課制度は社風の悪化を招きます。社内がギスギス感で溢れ、いびつな(部下に責任転嫁するような)幹部を生んでしまします。

実際に私が体験したことです。

これでは、正しい人事考課制度はできません。

前にも述べましたが、人事考課制度策定・導入の目的は「社員のモチベーションを上げる」ことにあります。

数字のみで評価基準を策定する人事考課制度など、ある意味誰でも(素人でも)創れます。

我々のようなプロコンが策定する制度は「正しく評価され、モチベーションを上げ、長く使用される」シロモノでなければならないのです。

投稿日: 2018年10月7日 | 1:00 am

中小企業の業績を決めるもの

経営者がよく言われる言葉に、「景気が良くないからね。」とか「もっと好景気だったら。」などという声があります。

もうお気づきだと思いますが、バブル時代のような超好景気というものは期待できません

また、好景気だからと言って倒産率がゼロになることもあり得ません。多少の影響はありますが、好景気においてもずさんな経営は、淘汰されるのです。

所詮、好景気や不景気などというのは、外部環境と言われる「企業努力」が及ばないところでの現象です。つまり、企業側でコントロールできない外部の力です。

恩師、坂本光司先生は「有効需要でなく、有効供給が中小企業の業績を決める」と言われました。

有効供給は、「お客様が喉から手が出るほど欲しいと思われる、サービスや商品を開発する努力」です。

なるほど日本全国津々浦々、景気に左右されず好業績を叩き出して躍進してる中小企業は、たくさん存在しています。

その企業群が、何をしているか?

それが有効供給の創出です。

人間も企業も同じ。普遍的で不断な努力こそ、結果を左右するということなのでしょう。

投稿日: 2018年10月6日 | 4:51 am