蘇る、ぞうさんギター

およそ27年前。大学4年生の時です。ハウスクリーニングのアルバイトをしていた小生は、ある友人と知り合いになりました。

彼は、家庭に特別な事情を抱えている青年で、年齢は小生より2歳年下でした。

学歴はなく、中卒で働いている男でしたが、とてもしっかりとした考えを持っていたことを覚えています。

アルバイトの休憩中、様々なことを話しました。

彼が置かれた特殊な環境、そして価値観、これからの人生のこと…。

触れ合った時間は短く、半年ほどだったと思います。

卒業をまじかに控えた小生は、ハウスクリーニングのアルバイトを辞めました。

アルバイト最終日、その友人は、小生に自分が使っていたギター「ぞうさんギター」をくれました。

その時、「あなたのように僕に接してくれた人は、はじめてでした。これからもお互いがんばりましょう。これは友情の証です。」と言ってくれたことが忘れません。

今では、名前も忘れてしまった友人。顔や表情だけははっきりと覚えています。

昨日、20年ぶりにその”ぞうさんギター”を押入れから引っ張り出し、弦を張り、電池を入れました。

スイッチオン…。

たどたどしいけれども、ちゃんと音を出してくれます。

ぞうさんギターは、ちゃんと生きていました。さっそく、弾いてみます。

まだまだ若かったころの思い出。短い期間でしたが、さまざまなことを語り合った友人との思い出とともに、ぞうさんギターは蘇りました。

 

平成最後の投稿になりました。その投稿をなぜか、おそらくもう会うことはないであろう友人のことを、思い出の大切なギターとともに思い出せたこと。

感慨深いものがあります。

 

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